杏沙子

杏沙子

【杏沙子 インタビュー】
リアルを詰め込んだ曲を
集めた一枚にしようと思った

自分のために恋愛したいと
やっと思えた

「見る目ないなぁ」はMVも制作されていますが、今までにないくらいリアルで驚きましたよ!

この曲は歌っているストーリーをそのまま映像化してほしかったんです。その主人公の後ろ姿をずっと追っていくというのは自分の中で決まっていて、顔も最後までちゃんと映っていないんですよ。それは、同じような経験や同じような感情を持ったことがある人に自分を重ねてもらいたいと思ったからなんです。

そんな撮影はいかがでしたか?

あまりにも自然だったので、撮影されている感覚があまりなかったです(笑)。いつ撮られていているかも分からないような感じで一日が過ぎました。おかげで出来上がったMVが本当にリアルで! お気に入りになりました。

このアルバムでは杏沙子さんの恋愛観がより滲み出たものになると思うんですが、この数年で恋愛観はどう変化しましたか?

う~ん…確かに曲を書くことで学ぶことや気づくことは多いですね。最近はちゃんと自分ひとりで自立して、先に向かっていこうとより思えるようになったんですよ。以前は相手のために全てを動かすような恋愛観だったんですが、今は自分のための恋愛でもある、お互いのための恋愛をすることが理想ですね。

きっと執着がなくなって、うまく自分の心と付き合えるようになったのかもしれないですね。

そうかもしれないです。きっと書く曲もそうやって私自身の変化とともに成長していくのかなと思っています。

曲の書き方も変化してきましたか?

そこはあまり変わらないかもしれないですね。最初は結論がないまま、とにかく衝動で書き始めるんです。結末を考えないんですよ。…うん、そうだ! 私、そうだった!

もしかして、今、気づきました?(笑)

はい(笑)。だからこそ曲作りを進めてくと、“あっ、私こんなふうに思ってたのか!?”って感じることも多いんです。一番のサビは一番言いたいことを書くので最初に手がけるんですが、書いていくうちに結論やテーマがどんどん決まってくるんです。出来上がった曲が書き始めた時には想像もしていなかったものになっていることが多くて、すごく面白いんですよね。

となると、この自粛期間もよりいろんなことを考えたのではないでしょうか?

自分に必要なものと不必要なものが何かを、より考えるようになりましたね。あとは、自分の気持ちを抉り出した「ファーストフライト」を書いてから一年が経ってみて、さらに自分の思っていることを突き詰めたいと思いました。まだまだ不安になったり、焦ったりすることもあるんですよ。

それはひとつ上に行くために必要なことなのかもしれないですね。

そうですね。“まだまだ行けるぞ!”って思っているからだと思います。さらに、理想のペースで動けないことが悔しかったり、やりたいことができないことが焦りにつながってしまうんですよね。でも、まさにそれがひとつ上に行くために必要なものだって、もう今の私は知っているので、その感情にもっと向き合っていきたいと思っています。あとは、何かインプットをするというよりも、散歩に行って自分のことを考えたり、部屋の中で断捨離をしまくったり、より深く自分を突き詰めた期間だった気がします。

家に何もなくなるんじゃないかくらいの断捨離ができたのでは?(笑)

本当にそうなんですよ!(笑) 自分の部屋って自分の心が表れると言われるのが分かった気がします。本当に気持ちまですっきりさっぱりしましたから。それもあって、今回のアルバムのジャケ写は自分の部屋をイメージしたものになっているんです。

あと、初回限定盤にはライヴ音源が同梱されているんですよね。

はい。アルバムの曲もライヴ音源として収録されているんですけど、まったく違うんですよ。CD音源って自分の中にあるイメージや感情に向けて歌ったものなんですが、ライヴになると目の前のみなさんに向かって歌っているから矢印が違うんですよね。ぜひ聴き比べてみてほしいです。

では最後に、今一番やりたいことはなんでしょうか?

ライヴですね。自分の中で整理整頓ができたからこそ、より歌いたい気持ちがはっきりしているんです。その気持ちをライヴでみなさんに届けられる日を楽しみにしています。

取材:吉田可奈

アルバム『ノーメイク、ストーリー』2020年7月8日発売 ビクターエンタテインメント
    • 【初回限定盤】(2CD)
    • VIZL-1772
    • ¥4,000(税抜)
    • ※ポスタージャケット仕様
    • 【通常盤】(CD)
    • VICL-65383
    • ¥3,000(税抜)
杏沙子 プロフィール

アサコ:1994年4月4日生まれ、鳥取県出身。16年に初のオリジナル曲「道」を発表し、本格的に音楽活動をスタート。インディーズ時代は「道」他全3曲のミュージックビデオを公開。そのYouTube総再生回数は900万回を超える。18年7月にミニアルバム『花火の魔法』にてメジャーデビュー。松本 隆に影響を受けた表現力豊かな詞世界を、超絶キャッチーなメロディーに乗せ織りなす、自作の楽曲が高く評価される。群を抜いたポップセンスと、てらいのないチャーミングな歌声を併せ持つ次世代シンガー。杏沙子 オフィシャルHP

「見る目ないなぁ」MV

「こっちがいい」MV

OKMusic編集部

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