【Miyuu インタビュー】
自分の熱意や理念を込めた
血が通っているものを
届けたいと思えた
タイトルは誰が聞いても
パッと明るい気持ちになれるようにした
このアルバム、一聴すると心地良いサウンドや歌声に包まれてヒーリング効果抜群と思いきや、歌詞には自身の暗黒時代、ロック精神が散りばめられていて。例えば「indigo night」はロマンチックな曲なのに、そこに《歴史が僕らを引き裂こうとも》に《険しい旅路》というワードが綴られ、決定打が《光は闇でこそ輝いて/決して全てを奪えない/誰も僕らを支配できない》の一節があって。ここで、この人は闇属性を持ってる人だというのを確信しましたね。
えへへへ(照笑)。自分が生きる上で、自分が納得して行動していきたいというのを私は大事にしているので。その信念がたまに自分を邪魔することがあるんです。例えば、一緒になりたいと思ってても自分の信念が邪魔をして、好きな人と一緒になれなかったりすることもあるじゃないですか。周りからいろいろ言われたり、この先が険しい旅路でも、私は自分の信念を通して一緒にいたいという気持ちをそのまま書いた歌詞ですね。
《見上げたtiny stars》みたいなロマンチックなワードだけを歌詞に散りばめたら、もっとスイートな曲になったと思うんですが。
そうすると“私はスイートさしかない?”“この曲でほんまにハッピーなところだけを書きたい?”って自分に問いかけてしまうんですよ。しかも、“Indigo”はダーク系の色で。私は闇だけを書きたいわけじゃないし、ハッピーなところだけを書きたいわけじゃない。人って、そういう感情のバランスをうまくとりながら生きてるわけだから、そこをギャップなく伝えたいんですよね。だから、私の曲は一曲も“これはスイートな曲です”“これは闇の曲です”と言いきれない…そこが特徴でもあるんです。
「step it(pray)」も春色の晴れた空と死んだ人が旅立った天空が同じ曲の中に描かれた楽曲になってましたもんね。
これはコロナ禍で悲しいニュースが続いて落ち込んでる中、私はお会いしたこともないんですけど、三浦春馬さんの訃報が届いた時、衝撃を受けてしまって。でも、自分は生きてるし、前を向かないといけない、明日やらなあかんこともあるし。どうやってこの気持ちを受け入れたらいいんだろうと思って作った曲なんです。だから、最初は音源化しようと思ってなかったんですけど、これを配信ライヴの第1回目で歌ったら、みんなが“いい曲”と言ってくれて。“じゃあ、これはずっと残していったほうがいいんかな?”って気持ちになったのでアルバムに入れました。
その次に同じ空系ナンバー「fly」はショートムービー『はなうたの鳴るほうへ』のテーマ曲で、初回盤のBlu-rayにはこの映画も収録されますね。
はい。とあるCMのオーディションで監督と知り合いまして。“映画を一緒に作りたいんで出演してください”とのオファーがあり、シンガーソングライターというありのままの姿で出演したんです。曲自体は映画ありきで作ったので、夢と現実、そのバランスが出た曲になりましたね。サビ頭の英語はもともと違う単語を入れてたんですけど、今回音源化するにあたってマイキーさんに“こういう言い回しは英語ではしない”と言われたので変えました。なので、映画と音源では歌詞が違うんですよ。
マイキーさん、厳しい(笑)。
はい。「summer together」のイントロの口笛も最初は私が吹こうと思ってたんですけど、音が揺れまくってたので、マイキーさんに“俺がやるよ”と言われて却下されました(笑)。この口笛もファンのコメントで誰かが“口笛を入れたら楽しそうじゃない?”って提案してくれたもので。本当にみんなのコメントで作ったものなんですよ。
だから、闇もなく(笑)。
“Theピーカン”な感じに仕上がりました。
かと思えば、「purple」はメッセージ性の高い歌詞で人々に訴える曲で。
この曲は後悔について歌ってるんです。自分が感じてることって誰かが感じてることでもあると思うんですよ。私がそれを歌にすることによって、同じ気持ちの人が前を向けたり、泣いてすっきりしたり、ちょっとでも聴いた人の日常に色をつける…そういう曲になったらいいなと思って私は曲を書いてるんです。最終的にはそこにとつながっていくんだけども、その曲ができるきっかけというのは、いつもダークサイドな感情なんですよね。私はひとつだけ後悔していることがあって、それを後悔のまま終わらせてしまうのか、今からでも塗り替えていくのかは自分次第やと思っているんです。“もう歳やし”とか“親がこう言ってるから”とか“新型コロナウイルスの影響で”とかを理由に立ち止まっちゃったらもったいない。今やからできることっていっぱいあるし、“今やらな、いつやるん!”って。自分も含め、悩んでる人の背中を押すきっかけになればいいなという気持ちを込めて作った曲ですね。
一曲一曲を聴いていくと、アルバムタイトルからは想像できない歌詞もあって。
いろいろ入ってる。“LA LA RAINBOW”というタイトルは誰が聞いてもパッと明るい気持ちになれるというのでつけたんですけど、歌詞の感情的にもいろいろ入ってて、カラフルなアルバムになったと思ってます。
このアルバムがどんなふうにリスナーへ届いたらいいと思いますか?
このアルバムは今じゃないと作れない作品で。私は何でも意味づけをしたがる癖があるんですけど、そんな自分が、タイトルを聞いただけで“楽しそう”“明るそう”って思えるという理由だけでタイトルを決めたというのは、今じゃないと生まれなかった発想です。でも、一曲一曲をじっくり聴くと、自分の何でも意味づけをして考え込んじゃうところがいっぱい出てくるので。それも含めてのカラフルであり、“LA LA RAINBOW”なんだというのが伝わればいいなと思ってます。
取材:東條祥恵