コンピレーション『Listening Is Believing Vol.2』への参加や、日本語ラップの企画『OLD TO THE NEW』シリーズを監修する傍ら、2011年には初のアルバム『One Day In Our Life』をリリース。1日の流れを描いたコンセプチュアルな作品で、話題になったのがその豪華な客演である。90年代に多感な時期を過ごしたふたりは、自身がリスペクトするラッパー達にオファー。
をフィーチャーした「No Borders」が早速ハイライト。沈む夕日を眺めながら、過去や未来に思い馳せるようなメロウなサウンドに、Akilの洗練したラップと心癒されるスウィートなコーラスが重なっていく。包み込むような柔らかい音色や、<Music is No Borders>というリリックも相まって、本作の中でも一際普遍性のある楽曲になったと言えるだろう。
「A Tribe Called Questが大好きで、たとえばジャズからサンプリングしているお洒落な楽曲を聴いて、当時荒々しいだけがヒップホップじゃないんだって思いました。それが今の自分の作品に繋がっているかもしれない」というMalus。自身らがリアルタイムで体感した刺激やアイデアを、現代の音色と技術でサウンドに宿らせているように思う。
をフィーチャーした「More Peace and More Love 」までの流れには、本作の魅力が凝縮されているように思う。彼女がお台場で行われたイベントのために来日した際、同イベントに出演していたMalusがその場でオファーしたというコラボである。涙が零れ落ちるようなメランコリックな鍵盤と、背中を押されるようなパワフルな声、楽曲にスケールを与える男性ゲストのコーラスが、聴き手の気分をピースフルなクライマックスへ導いていく。
このポジティブなエネルギーこそ、本作を象徴する気分だろう。前作ではほとんどゲストに任せていたというリリックも、今回のアルバムでは楽曲のテーマを伝えた上でオファーしていったという。楽曲自体にバラエティ性があるものの、作品を通してどこか連続性を感じるのは、そうしたところにも理由があるはずだ。「No Borders」で始まり「More Peace and More Love 」で終わる構成や、しっとりとした音色からは暗い時代に投げかける和やかなムードを感じる。
Malus & Lyrical Waterside『Connectivity』
発売日:2021年2月19日
レーベル:RE:CREATION
収録曲:
01. Intro 〜encounter〜
02. No Borders (feat. Akil the MC & Anna)
03. Language (feat. Hi-Rez & The Audible Doctor)
04. Equalizer (feat. Clear Soul Forces)
05. Outside Looking In (feat. Artifacts)
06. Man On A Mission (feat. Hendersin)
07. Woo Sah (feat. KOTA The Friend & GuitiK)
08. For My Brother (feat. Awon & Natty Reeves)
09. Outro 〜By For Now〜
10. More Peace and More Love (feat. Steph Pockets) [Bonus Track]
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