濱野智史プロデュース「PIP」が目指
すものは? インディペンデント・ア
イドルの可能性を探る

 SHIBAURA HOUSEで行われたお披露目イベントでは、計22人のメンバーが3チームに分かれ、AKB48などのカバーを披露。握手会はもちろん、似顔絵描き会といった催しもなされた。

 インディペンデントながら「AKB48を人数で越える」といった野心的な目標を抱いた同プロジェクトで、濱野智史氏はアイドル業界に何をもたらそうとしているのか。同氏にあらためてそのコンセプトを語ってもらった。

「PIPは『アイドルを作るアイドル』をコンセプトにしていて、ゆくゆくはメンバー自身にアイドルグループをプロデュースしてもらい、どんどんグループを拡大したいと思っています。なぜそんな計画をしたかというと、僕は俗にいう『アイドルのセカンドキャリア問題』に関心があったからです。多くのアイドルは、アイドル活動を通してコミュニケーション力や情報発信力といったスキルを磨くことができるのに、その後のキャリアというと女優やモデルを目指すしかないというのが現状で、数年やっただけで稼げなくなってしまう場合が多いです。一方、ここ1、2年は地下アイドルがすごく増えていて、やる気と気力と少しの資本金があればアイドルグループは作れるし、うまく現場に最適化すれば回していける。ならば、アイドル自身がアイドルをプロデュースすれば良いと思ったんですね。それがどれだけ持続可能かはやってみないとわからないですが、少なくともアイドル=大人に搾取される存在みたいにはしたくない。ちゃんと稼いだ分を還元して、アイドルたちがサステナブルに食べていけるプロジェクトにしたいですね」

 実際、最近では現場での活動をメインにして、熱心なファンを獲得しているグループも少なくない。ゆるめるモ!やBELLRING少女ハートといったインディペンデントのグループは、その代表例だろう。アイドルカルチャーに詳しい音楽評論家の宗像明将氏は、そのようなアイドルグループと比較しつつ、PIPに次のような期待を寄せる。

「かつてのアイドルグループ、特に80年代などは大きな資本力を持った事務所がアイドルを売り出すというのが当然でした。しかし現在のアイドルブームは、個人でやっているようなインディペンデントのグループも盛り上がっています。ただ、今はもうアイドルグループ自体が飽和しているので、新規参入するのは簡単ではないでしょう。そこで重要になってくるのが、プロデューサーが『現場の力学』を理解しているかどうかということだと思います。つまり、チェキの値付けや握手会のレートをどれくらいにして、メンバーにどれくらいギャラをバックするのかとか、そういうことも理解していないと無理だと思うんですね。その点、濱野さんはヲタの心理はもちろん、現場の構造もよく理解していらっしゃるので、強いんじゃないかと思います。今回のお披露目会ではお客さんの似顔絵を描いたそうですが、そういう工夫でお客さんの心を掴むのはさすがですよね。インディペンデントなアイドルグループでは、ほかにHauptharmonieというグループにも注目しているのですが、やはり彼女たちの場合もプロデューサーが現場を理解している。そういうグループであれば、今後もゲリラ戦的に生き残っていけるような気がしますね」

 アイドル戦国時代と言われるようになって早数年、今なお新興勢力がひしめくシーンにおいて、PIPが提示するモデルが成功すれば、アイドルという職業の可能性はさらに広がっていきそうだ。(リアルサウンド編集部)

リアルサウンド

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