『The Power』はオリエンタルなサウンドを活かした快作。地を踏みしめ虚空を突くような振り付けに合わせ、メロディーもハイトーンパートにピークを持ってくるような従来の楽曲とは違い、低音を効かせた力強い作品となっている。
また、本作がアピールしてくる「Power」とは体から迸る光のようなイメージではなく、心の奥底で静かに滾る炎のイメージだ。余裕のある表情をたたえ淡々とした情感を与えるメンバーのパフォーマンスはどこか気高く、誇り高い。賑やかさや可愛さだけで勝負するのではなく、大人になった彼女たちの芯の強さや艶やかさがパフォーマンスにもよく表れている。その点は、つんく♂も自身のblogで「大人になった℃-uteの代表曲になればよいなと思ってます!」と太鼓判だ。
『悲しきヘブン (Single Version)』はファンにとってはお馴染みのライブチューン。鈴木愛理岡井千聖によるメロディとハモリパートがめまぐるしく入れ替わるボーカルや、パフォーマーに徹した矢島舞美、中島早貴、萩原舞による高難度のダンスが堪能できるということで話題となった。今回は同楽曲をリアレンジしたことはもちろん、更に成長した彼女たちのボーカルも再録し、Single Versionとして新たにお披露目されることとなった。
「悲しみ」とは、その言葉からイメージできる繊細で弱々しいインスピレーションとは裏腹に、表裏一体の激情を備えた感情である。今回リアレンジされたSingle Vesionでは、底を踏み抜かんばかりの激しいドラムスに絡んでくる叙情的なストリングスが「悲しみ」という言葉が持つ二面性を増幅させ、より強く訴えかけてくるようになった。
もちろん、その楽曲に乗るボーカルもダンスも絶品。女性らしくしなやかな鈴木愛理のボーカルと、荒々しくソリッドな岡井千聖のボーカルは更に円熟味を増し、作品中で激しくぶつかり合いながら独特の世界観を表現している。また、ダンスでは後半に「℃-uteコンサートツアー2014春~℃-uteの本音~」でも披露されたポールダンスが挿入されておりMVも必見だ。真の意味で大人に近づき、表現者として次のステージに向かおうとしている℃-uteの今後から目が離せない。

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