なきそ feat. 歌愛ユキ「ド屑」歌詞の意味を考察!依存心と支配欲のクロスオーバー

なきそ feat. 歌愛ユキ「ド屑」歌詞の意味を考察!依存心と支配欲のクロスオーバー

なきそ feat. 歌愛ユキ「ド屑」歌詞
の意味を考察!依存心と支配欲のクロ
スオーバー

ボカロP「なきそ」と歌愛ユキのコラボ曲

『甘ったる』や『触れたら最後』など、ボカロ小学生「歌愛(かあい)ユキ」をフィーチャリングした楽曲で人気を博しているボカロP・なきそ。
今回考察する『ド屑(くず)』も歌愛ユキが歌唱する人気曲の1つで、2022年3月5日に配信リリースされた楽曲です。
同日に公開されたMVの再生回数は、1ヶ月たらずでミリオンを達成。
今なお数字を伸ばし続け、その人気はとどまることを知りません。
▲なきそ feat. 歌愛ユキ-ド屑【OFFICIAL MUSIC VIDEO】
なきそ本人いわく、『ド屑』は、2018年4月に発表した『アザレアシティ』という楽曲と飲み会のコールをもとにして作られた歌なのだそう。
終始アンバランスで不穏な雰囲気が漂う『ド屑』の歌詞には、果たしてどのような意味が込められているのでしょうか。
まんまと掛かって依存した女
まずは前半の歌詞から考察していきましょう。
ド屑 歌詞 「なきそ feat. 歌愛ユキ」
https://utaten.com/lyric/mi22030801
歌い出しは「待ったをかけた ちょっと考えた」。
『アザレアシティ』の冒頭には、別れた相手に「待って」と泣き喚く(ことを夢想する)ような描写が見られます。
それを考慮すると、この『ド屑』の歌詞も、相手から距離を置かれたときの心情を綴ったものなのかもしれません。
ただ、その心情は明らかに常軌を逸しているようです。
「馬鹿な女 まんまと掛かった だからどうした?」というのは、自分(女性)が相手の罠にはまっていることを自覚あるいは妄想し、開き直っている様子だと考えられます。
その罠については文脈から想像するしかありませんが、可能性としては「距離をとることで自分のことを考えさせ、より依存させる」といったものが想定できそうです。
いずれにせよ、主人公は自ら望んでその罠にはまっていった様子。
続く歌詞の「ちょっと考えた」の対象は相手の男で、その男の「お望み通り」に自分が相手に依存していることを表明していると解釈できます。
次の歌詞を見てみましょう。
ド屑 歌詞 「なきそ feat. 歌愛ユキ」
https://utaten.com/lyric/mi22030801
まさに飲み会のコールのような、「なんで」のオンパレードですね。
遠ざけられたことが相手の罠であると捉え、その罠に自ら飛び込んだ主人公。
それでもなお、彼に無下にされたのでしょうか。
「どういうつもり」と混乱を隠せません。
もしかしたら相手の男にとってはただの遊びなのに、主人公はそれに応えればきっと愛されると期待していたのかもしれません。
そして、酔いそうな疑問の渦のなか「なぁんだ そんなもんか」と悟った様子の主人公。
これは「私のことを好きでもなんでもないのに、遊びで私を依存させたのね」というような気づきだと推測できます。
そう悟った主人公は、無感情な声で言い放ちました。
「ド屑」
次の歌詞を見てみましょう。
ド屑 歌詞 「なきそ feat. 歌愛ユキ」
https://utaten.com/lyric/mi22030801
自分が遊ばれていることを病的なまでに確信しているようです。
そうでもしないと、ひとたび深く抱いてしまった愛情を消し去れないのかもしれませんね。
豹変!あふれ出す支配欲
ここからは後半の歌詞を考察していきます。
ド屑 歌詞 「なきそ feat. 歌愛ユキ」
https://utaten.com/lyric/mi22030801
再び冒頭は「待ったをかけた」です。
「ちょっとためらった 確かにためらった」からは、心のどこかで自身の依存状態にブレーキがかかっているような迷いが読み取れます。
「なんだかなぁ こういうことではない」というのは、理想と現実のズレに違和感を覚えていることの表れでしょう。
「罠にはまってあげた分、その先はちゃんと愛される」と思っていたのに、いまだに関係は一方通行のまま。
本気で付き合ってくれない相手に「ド屑」と毒づく主人公ですが、それでもなお愛情が返ってくる期待は捨てきれないのでしょうか。
相思相愛が一向にわない現実に直面して「なんなんだ あなた」と怒りにも似た感情が湧いているようです。
ずっと一方通行のままの関係など望んでいない主人公。
そんな彼女が、次の歌詞から豹変します。
ド屑 歌詞 「なきそ feat. 歌愛ユキ」
https://utaten.com/lyric/mi22030801
理性でぼんやり分かっていながら、まだ相手の態度には納得できていないようです。
そして不意に放たれる「黙って私に従って」。
以降、このフレーズは狂ったようにリフレインされます。
ド屑 歌詞 「なきそ feat. 歌愛ユキ」
https://utaten.com/lyric/mi22030801
延々と愛情のお預けを食らっていた反動からか、依存心から一転、支配欲がむき出しになっている様子。
「従え」と命令口調になったり、二人称が「あなた」から「君」になったり、攻めの姿勢が随所に読み取れます。
ただ、強気な雰囲気でありながら「従って」や「お願い」も連呼されているので、主人公が依存心から完全に解放されたわけではないようです。
「黙って私に従って」の部分を聴いてみると「だまって」の「まって」が強調されており、支配的な「黙って」と依存的な「待って」が混ざり合ったように感じられます。
反動で支配欲でいっぱいになりながらも、主人公は依然「ド屑」の彼と離れたくないのでしょうか。
あるいはもしかすると、彼の態度の意味を理解しながらも依存をやめず、そのうえ相手を自分のものにしようとする主人公こそ、本物の「ド屑」なのかもしれません。
依存心と支配欲が混ざり合う狂気
今回は、なきそ feat. 歌愛ユキ『ド屑』の歌詞の意味を考察しました。
依存心と支配欲がクロスオーバーするような狂気じみた心理描写が印象的な歌詞でしたね。
主人公が「ド屑」だろうと相手が「ド屑」だろうと、2人の関係はハッピーエンドには向かわないように思えます。
大抵の場合、夢中になるのは良いことですが、人間関係においては注意が必要ですね。
しっかり自分を持ち、他人に依存せず、支配もせず、「ド屑」とは縁遠い人生を送っていきたいものです。

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