INTERVIEW / d4vdゲーム配信からTik
Tokを経由し音楽の道へ──注目の新
鋭が語る自身の足取りと、日本からの
影響 ゲーム配信からTikTokを経由し
音楽の道へ──注目の新鋭が語る自身
の足取りと、日本からの影響

米ヒューストン出身、現在18歳という新鋭アーティスト、d4vd(デイヴィッド)が5月に1st EP『Petals to Thorns』をリリースした。
2022年に〈Darkroom / Interscope〉から発表された1stシングル「Romantic Homicide」がバイラル・ヒットし、RIAAによるプラチナ認定を受けた。現在は世界中で飛び回るほどのグローバル・ポップ・スターになった彼だが、そのスタート地点はなんと妹のクローゼット。iPhoneのアプリを用いて、クローゼットで録音した曲はネットを介して世界へと羽ばたき、自身の環境を恐るべき速度で変えた。
今回はそんなd4vdのこれまでの足取りと、そのバックボーンに迫るオフィシャル・インタビューをお届けする。
なお、7月12日(水)には先述のEP『Petals to Thorns』に貴重なボーナス・トラックを加えた日本独自企画盤CDがリリースされるほか、『FUJI ROCK FESTIVAL 2023』にて初来日も決定している。合わせてチェックを。
Interview by Naohisa Matsunaga
Edit by Takazumi Hosaka
ゲーム配信者から音楽の道へ
――ミュージシャンになった経緯を教えてください。もともとはプロのゲーマーになることを目指していたそうですね。
トップのeスポーツ・チームに入って、ゲームの世界で有名になりたかったんです。そこからどうやってミュージシャンになったのかというと、僕はYouTubeに動画を投稿していたんだけど、メインストリームの音楽を使っていたから、著作権侵害で動画が削除されたり、収益化が解除されることがあって。それで母親に相談したら、「自分で曲を作ってみたら?」って言ってくれたんです。「確かに、自分でもできるかもしれない」と思い、次の日にiPhoneでどうやって音楽を作るのかを調べました。そこで「BandLab」というアプリを知って、次の日には初めての曲が完成しました。
それがテスト・トラックになって、去年の1月に2曲目「You and I」という曲を作りました。その曲でモンタージュを作って投稿したら、すごい反響があって。著作権を気にしなくていいから、多くの人が自身の投稿に僕の曲を使い始めました。SoundCloudにもポストしてみたら、まさかのインディーズ・チャートのトップ50に入って。「これは何か起こるかもしれない」って思いはしたけど、そのとき一番気にしていたのは『フォートナイト(Fortnite)』の配信の視聴者数で、そっちはかなりクレイジーなことになっていました。だから、そこからまた4、5回ビデオのために音楽を作って、まるで映画のサントラを作るように曲を書きました。そしたら、SoundCloudのストリーミング数が10万回を超えて。そのとき、音楽について真剣に考えければと思うようになりました。
まずはTikTokに挑戦してみました。普通のやり方とは違う方法を試みようと思って、最初は他のアーティストの曲をカバーすることにして。ただカバーするだけじゃなく、キーを超高くしてシマリスみたいな声にしてみたり(笑)。そうやってBeyoncéやBillie Eilishなどのカバーを投稿してたら、フォロワーが50万人くらいになったんです。そこで、ようやく自分の音楽を宣伝してみようと思ってポストしたのが「Romantic Homicide」。そしたら一晩でクレイジーなことになって、レコード会社からメールをもらったり、気が付いたらLAまで飛んでミーティングをしていました(笑)。iPhoneひとつで作った曲が、ここまで広く受け入れてもらえるなんて、本当に驚きです。
――d4vdというアーティスト名にした理由は?
本名は文字通り“David”で、Aを4に置き換えIを抜いたのがd4vd。この名前で、これからマルチヴァースや映画のような体験や世界を構築していこうと思っています。4という数字は、その世界に登場する4つの異なるヴァージョンの自分を表している。そのうちのひとつは、すでにMVに出ている、あの目隠しをして血の付いたシャツを着ている男。彼はその世界でメインの悪党であり、敵対者です。
物語が大好きだから、音楽を書くときも、チャプターに沿ってストーリーを組み立てていくのが好きなんです。あのキャラクターはMVの世界を作っている存在であり、MVの中で、そしてEP『Petals to Thorns』の中でも僕を苦しめている。僕の人生を支配しようとしていて、何かをコントロールできずにいる自分が顕著に表れています。今後は異なる4つのバージョンが出てきて、映画のような世界が作り上げられていく予定です。
「1曲も飛ばさず、最初から最後まで聴き終えてほしい」
――レーベル〈Darkroom〉といえば、Billie Eilishの存在が有名です。彼女とあなたは、同じくホーム・スクーリングで教育を受けたり、自宅のベッドルームで曲作りをするなど、共通点が多いと思います。ホーム・スクーリングは、あなたの人生観や音楽活動にどんな影響をもたらしましたか?
すごく劇的な影響を与えてくれたと思う。もし普通に学校に通っていたら、きっと音楽を作り始めることはなかったんじゃないかな。テストとかで忙しくて、音楽に費やせる時間はできなかっただろうし。そして、ひとりでいることで、自分自身を見つめ、発見することができた。中学生の頃は人を喜ばせることを考えていました。でもひとりになったとき、自分が何者なのか、何になりたいのか、何をしたいのかを考える時間ができたんです。ひとりになったことで、もっと自分自身のことを考えることに集中できた。それはかなり大きかったと思う。
――「Romantic Homicide」もそうですが、日本のカルチャーから何かしらの影響を受けていますか? 受けているとしたら、どんなところに魅力を感じているのでしょうか。
日本から発信されているリスペクトの気持ちが大好きだから、自分の音楽にもそういう上品さを取り入れているつもり。あと、完全に完璧にはしないようにしています。欠点があったっていいし、それがあるから自分にしか作れない作品になるんだと思います。藤井風や美波、Eveの音楽からもたくさんインスピレーションをもらっています。彼らの音楽は水のように流れます。僕も水のように流れる音楽を作りたい。あと、日本のカルチャーで魅力を感じているのは、服、建築、そしてアニメと漫画――つまりは全てです(笑)。
アメリカと違って、日本は家族みたいに皆が繋がっている感じがします。そして、皆がお互いを思いやっているのがすごく伝わってくるんです。
――特に好きな日本の漫画やアニメ、またそれと服、建築以外のほかのお気に入りのカルチャーはありますか?
今観てるのは『呪術廻戦』、『進撃の巨人』、『鬼滅の刃』、『SPYxFAMILY』、『HUNTERxHUNTER』、それから『ONE PIECE』をまた観始めたのと、もちろん『ドラゴンボール』も大好き。『ナルト』は最近あんまりピンとこなくて、最初の方が好きだった(笑)。アニメ以外では、藤井風に会ったときに名前は忘れちゃったんだけど、彼がしょっぱいクラッカーをくれて(※「歌舞伎揚」とのこと)、それがすごく美味しかった。日本に行くのが本当に楽しみです。
――日本のことをたくさん聞きましたが、音楽の他に趣味や好きなことはありますか?
音楽以外では、詩を書くのが好きです。インスピレーションはどこにでも溢れてるから、いろんなことについて書いています。あとはもちろんゲームと、それから運動。パルクールもやってます。
――5月には初のEP『Petals to Thorns』がリリースされました。どのようなことを意識して制作しましたか?
EPは妄想的な人間関係を通しての変化のようなもので、まずラブソングから始まり、途中から大きな変化が起き、失恋し、悲しみを感じ始める。だから、EPの最初の数曲はすごくハッピーなんだけど、それから悲しい曲にシフトしていきます。作っているときは、歩いて進み、その途中で水の中に足を入れ、その後はずっと足が濡れているような感じをイメージしていました。
だから、みんな1曲も飛ばさず、最初から最後まで聴き終えてほしい。このEPはみんなが歌詞を振り返って自分自身を見つめ直すような、聴き入ってもらいたいプロジェクトになっています。僕が何を言っているのか、一語一語に耳を傾けてほしい。そのために曲を集めてまとめるのは、すごくクールな作業でした。
――最近はライブも始動しました。それまでは自身の音楽を一方的に発信するという感覚が強かったと思うのですが、実際にリスナーと対面することで、心境の変化があったのでは?
そうですね。最初の方の曲は、自分で聴くためだけに作っていたと思います。でもライブをやってみたら、みんなが反応してくれて。ときには叫んでくれたりもするから、もっとシャウトできる曲を作った方がいいのかもしれない(笑)。前はしっとり歌う感じだったけど、今は全てがラウドになってきました(笑)。クレイジーだから、みんなに新曲を聴いてもらうのが待ちきれません。
「日本だけの特別なショーにしたい」
――フジロック以外で日本で楽しみにしていることはありますか?
とにかく東京の全てのレストランの料理を食べてみたい。できるだけたくさんの料理を食べることが目標です。ひたすら食べたい(笑)。ベルトの上で食べ物が運ばれてくるお店(回転寿司?)やラーメン屋さんとか。TikTokで見たお店で、卵が乗ってたりしてすごく美味しそうだった。それから秋葉原も行ってみたいし、楽しみで仕方ありません。写真もたくさん撮って満喫したいです。
――最近気になっている日本人のアーティストはいますか?
さっきお話した通り、藤井風と美波、そしてEveです。美波とEveはアニメで知りました。もっと知りたいから、オススメを教えてほしいです。日本はアメリカよりたくさんジャンルがあるから、どこからチェックしたらいいかわからなくて。日本語という言語が素晴らしいから、もっとたくさんの音楽表現法がある気がする。プレイリストを作って、もっとたくさん聴かないといけませんね。さっき挙げた3人が好きな理由は、やっぱり彼らの歌声。特に藤井風の魅力は……彼のことは「死ぬのがいいわ」って曲で知ったんだけど、あの曲はポップのようでポップじゃなくて、これまで聴いたことのないクレイジーなサウンドだった。そこにかなり惹かれました。あと、彼の声の使い方もクレイジーだと思う。ライブ・パフォーマンスも大好きです。
――他のインタビューで「いつか自分がジャンルになるような、独自の音楽を追求したい」と語っていましたが、その独自性は少しずつ見えてきていますか?
その質問に答えるのは難しいですね。今はまだ、色々なことを試しまくっている時期にいると思っていて。EPのサウンドも、ある程度絞ろうとしたのですが、頭の中で全てのサウンドを同じようにまとめることができなくて。「これをやりたい」「あれもやってみたい」「これも試してみたい」っていう感じで、今はまだ、毎日新しいことに挑戦している段階なんです。だから、何かを確立するにはもう少し時間がかかりそう。でも、きっと近いうちにそれが見えてくると思います。
――逆に、これからキャリアを重ねていく中で、「これだけは失いたくない」と思う“コア”な部分はありますか?
なんだろう……。とにかく変化したくてたまらないんです。進化はいいことです。僕は停滞したり、ひとつつの場所にずっと留まることが好きではありません。だから、常に変化しようとしています。それはそれで問題かもしれませんが(笑)。僕は結構どっちつかずの人間で、アイディアをいったりきたりしていて……。でも、やっぱり変化し続けたいっていう気持ちの方が強いですね。
――最後に、日本のファンへのメッセージをください。
僕の音楽を聴いてくれている日本のみなさんには、感謝してもしきれないくらい感謝しています。夏にみなさんに会えるのが楽しみで仕方ありません。自分がどんな努力をするにしても、常に自分自身に正直であることを忘れないで。そして、ありきたりな言葉かもしれないけど、多くの人から諦めろと言われても、希望を捨てずに突き進み続けてほしい。
――もうひとつだけ。フジロックはどんなショーになりそうですか?
まだセットリストを決めてないので、どんな曲を演奏するかはわからないんです。ただ、何を演奏するにせよ、特別なパフォーマンスをするつもりです。ボーカルで何かやったり、ギターやピアノを入れたり。わからないけど、とにかくクレイジーなことをやりたい。日本だけの特別なショーにしたいです。
【リリース情報】
*国内盤ボーナストラック(7月12日[水]リリース予定)
■ 配信/購入リンク(https://umj.lnk.to/d4vd_PtT_STR)
■ d4vd 日本オフィシャル・サイト(https://www.universal-music.co.jp/d4vd/)
米ヒューストン出身、現在18歳という新鋭アーティスト、d4vd(デイヴィッド)が5月に1st EP『Petals to Thorns』をリリースした。
2022年に〈Darkroom / Interscope〉から発表された1stシングル「Romantic Homicide」がバイラル・ヒットし、RIAAによるプラチナ認定を受けた。現在は世界中で飛び回るほどのグローバル・ポップ・スターになった彼だが、そのスタート地点はなんと妹のクローゼット。iPhoneのアプリを用いて、クローゼットで録音した曲はネットを介して世界へと羽ばたき、自身の環境を恐るべき速度で変えた。
今回はそんなd4vdのこれまでの足取りと、そのバックボーンに迫るオフィシャル・インタビューをお届けする。
なお、7月12日(水)には先述のEP『Petals to Thorns』に貴重なボーナス・トラックを加えた日本独自企画盤CDがリリースされるほか、『FUJI ROCK FESTIVAL 2023』にて初来日も決定している。合わせてチェックを。
Interview by Naohisa Matsunaga
Edit by Takazumi Hosaka
ゲーム配信者から音楽の道へ
――ミュージシャンになった経緯を教えてください。もともとはプロのゲーマーになることを目指していたそうですね。
トップのeスポーツ・チームに入って、ゲームの世界で有名になりたかったんです。そこからどうやってミュージシャンになったのかというと、僕はYouTubeに動画を投稿していたんだけど、メインストリームの音楽を使っていたから、著作権侵害で動画が削除されたり、収益化が解除されることがあって。それで母親に相談したら、「自分で曲を作ってみたら?」って言ってくれたんです。「確かに、自分でもできるかもしれない」と思い、次の日にiPhoneでどうやって音楽を作るのかを調べました。そこで「BandLab」というアプリを知って、次の日には初めての曲が完成しました。
それがテスト・トラックになって、去年の1月に2曲目「You and I」という曲を作りました。その曲でモンタージュを作って投稿したら、すごい反響があって。著作権を気にしなくていいから、多くの人が自身の投稿に僕の曲を使い始めました。SoundCloudにもポストしてみたら、まさかのインディーズ・チャートのトップ50に入って。「これは何か起こるかもしれない」って思いはしたけど、そのとき一番気にしていたのは『フォートナイト(Fortnite)』の配信の視聴者数で、そっちはかなりクレイジーなことになっていました。だから、そこからまた4、5回ビデオのために音楽を作って、まるで映画のサントラを作るように曲を書きました。そしたら、SoundCloudのストリーミング数が10万回を超えて。そのとき、音楽について真剣に考えければと思うようになりました。
まずはTikTokに挑戦してみました。普通のやり方とは違う方法を試みようと思って、最初は他のアーティストの曲をカバーすることにして。ただカバーするだけじゃなく、キーを超高くしてシマリスみたいな声にしてみたり(笑)。そうやってBeyoncéやBillie Eilishなどのカバーを投稿してたら、フォロワーが50万人くらいになったんです。そこで、ようやく自分の音楽を宣伝してみようと思ってポストしたのが「Romantic Homicide」。そしたら一晩でクレイジーなことになって、レコード会社からメールをもらったり、気が付いたらLAまで飛んでミーティングをしていました(笑)。iPhoneひとつで作った曲が、ここまで広く受け入れてもらえるなんて、本当に驚きです。
――d4vdというアーティスト名にした理由は?
本名は文字通り“David”で、Aを4に置き換えIを抜いたのがd4vd。この名前で、これからマルチヴァースや映画のような体験や世界を構築していこうと思っています。4という数字は、その世界に登場する4つの異なるヴァージョンの自分を表している。そのうちのひとつは、すでにMVに出ている、あの目隠しをして血の付いたシャツを着ている男。彼はその世界でメインの悪党であり、敵対者です。
物語が大好きだから、音楽を書くときも、チャプターに沿ってストーリーを組み立てていくのが好きなんです。あのキャラクターはMVの世界を作っている存在であり、MVの中で、そしてEP『Petals to Thorns』の中でも僕を苦しめている。僕の人生を支配しようとしていて、何かをコントロールできずにいる自分が顕著に表れています。今後は異なる4つのバージョンが出てきて、映画のような世界が作り上げられていく予定です。
「1曲も飛ばさず、最初から最後まで聴き終えてほしい」
――レーベル〈Darkroom〉といえば、Billie Eilishの存在が有名です。彼女とあなたは、同じくホーム・スクーリングで教育を受けたり、自宅のベッドルームで曲作りをするなど、共通点が多いと思います。ホーム・スクーリングは、あなたの人生観や音楽活動にどんな影響をもたらしましたか?
すごく劇的な影響を与えてくれたと思う。もし普通に学校に通っていたら、きっと音楽を作り始めることはなかったんじゃないかな。テストとかで忙しくて、音楽に費やせる時間はできなかっただろうし。そして、ひとりでいることで、自分自身を見つめ、発見することができた。中学生の頃は人を喜ばせることを考えていました。でもひとりになったとき、自分が何者なのか、何になりたいのか、何をしたいのかを考える時間ができたんです。ひとりになったことで、もっと自分自身のことを考えることに集中できた。それはかなり大きかったと思う。
――「Romantic Homicide」もそうですが、日本のカルチャーから何かしらの影響を受けていますか? 受けているとしたら、どんなところに魅力を感じているのでしょうか。
日本から発信されているリスペクトの気持ちが大好きだから、自分の音楽にもそういう上品さを取り入れているつもり。あと、完全に完璧にはしないようにしています。欠点があったっていいし、それがあるから自分にしか作れない作品になるんだと思います。藤井風や美波、Eveの音楽からもたくさんインスピレーションをもらっています。彼らの音楽は水のように流れます。僕も水のように流れる音楽を作りたい。あと、日本のカルチャーで魅力を感じているのは、服、建築、そしてアニメと漫画――つまりは全てです(笑)。
アメリカと違って、日本は家族みたいに皆が繋がっている感じがします。そして、皆がお互いを思いやっているのがすごく伝わってくるんです。
――特に好きな日本の漫画やアニメ、またそれと服、建築以外のほかのお気に入りのカルチャーはありますか?
今観てるのは『呪術廻戦』、『進撃の巨人』、『鬼滅の刃』、『SPYxFAMILY』、『HUNTERxHUNTER』、それから『ONE PIECE』をまた観始めたのと、もちろん『ドラゴンボール』も大好き。『ナルト』は最近あんまりピンとこなくて、最初の方が好きだった(笑)。アニメ以外では、藤井風に会ったときに名前は忘れちゃったんだけど、彼がしょっぱいクラッカーをくれて(※「歌舞伎揚」とのこと)、それがすごく美味しかった。日本に行くのが本当に楽しみです。
――日本のことをたくさん聞きましたが、音楽の他に趣味や好きなことはありますか?
音楽以外では、詩を書くのが好きです。インスピレーションはどこにでも溢れてるから、いろんなことについて書いています。あとはもちろんゲームと、それから運動。パルクールもやってます。
――5月には初のEP『Petals to Thorns』がリリースされました。どのようなことを意識して制作しましたか?
EPは妄想的な人間関係を通しての変化のようなもので、まずラブソングから始まり、途中から大きな変化が起き、失恋し、悲しみを感じ始める。だから、EPの最初の数曲はすごくハッピーなんだけど、それから悲しい曲にシフトしていきます。作っているときは、歩いて進み、その途中で水の中に足を入れ、その後はずっと足が濡れているような感じをイメージしていました。
だから、みんな1曲も飛ばさず、最初から最後まで聴き終えてほしい。このEPはみんなが歌詞を振り返って自分自身を見つめ直すような、聴き入ってもらいたいプロジェクトになっています。僕が何を言っているのか、一語一語に耳を傾けてほしい。そのために曲を集めてまとめるのは、すごくクールな作業でした。
――最近はライブも始動しました。それまでは自身の音楽を一方的に発信するという感覚が強かったと思うのですが、実際にリスナーと対面することで、心境の変化があったのでは?
そうですね。最初の方の曲は、自分で聴くためだけに作っていたと思います。でもライブをやってみたら、みんなが反応してくれて。ときには叫んでくれたりもするから、もっとシャウトできる曲を作った方がいいのかもしれない(笑)。前はしっとり歌う感じだったけど、今は全てがラウドになってきました(笑)。クレイジーだから、みんなに新曲を聴いてもらうのが待ちきれません。
「日本だけの特別なショーにしたい」
――フジロック以外で日本で楽しみにしていることはありますか?
とにかく東京の全てのレストランの料理を食べてみたい。できるだけたくさんの料理を食べることが目標です。ひたすら食べたい(笑)。ベルトの上で食べ物が運ばれてくるお店(回転寿司?)やラーメン屋さんとか。TikTokで見たお店で、卵が乗ってたりしてすごく美味しそうだった。それから秋葉原も行ってみたいし、楽しみで仕方ありません。写真もたくさん撮って満喫したいです。
――最近気になっている日本人のアーティストはいますか?
さっきお話した通り、藤井風と美波、そしてEveです。美波とEveはアニメで知りました。もっと知りたいから、オススメを教えてほしいです。日本はアメリカよりたくさんジャンルがあるから、どこからチェックしたらいいかわからなくて。日本語という言語が素晴らしいから、もっとたくさんの音楽表現法がある気がする。プレイリストを作って、もっとたくさん聴かないといけませんね。さっき挙げた3人が好きな理由は、やっぱり彼らの歌声。特に藤井風の魅力は……彼のことは「死ぬのがいいわ」って曲で知ったんだけど、あの曲はポップのようでポップじゃなくて、これまで聴いたことのないクレイジーなサウンドだった。そこにかなり惹かれました。あと、彼の声の使い方もクレイジーだと思う。ライブ・パフォーマンスも大好きです。
――他のインタビューで「いつか自分がジャンルになるような、独自の音楽を追求したい」と語っていましたが、その独自性は少しずつ見えてきていますか?
その質問に答えるのは難しいですね。今はまだ、色々なことを試しまくっている時期にいると思っていて。EPのサウンドも、ある程度絞ろうとしたのですが、頭の中で全てのサウンドを同じようにまとめることができなくて。「これをやりたい」「あれもやってみたい」「これも試してみたい」っていう感じで、今はまだ、毎日新しいことに挑戦している段階なんです。だから、何かを確立するにはもう少し時間がかかりそう。でも、きっと近いうちにそれが見えてくると思います。
――逆に、これからキャリアを重ねていく中で、「これだけは失いたくない」と思う“コア”な部分はありますか?
なんだろう……。とにかく変化したくてたまらないんです。進化はいいことです。僕は停滞したり、ひとつつの場所にずっと留まることが好きではありません。だから、常に変化しようとしています。それはそれで問題かもしれませんが(笑)。僕は結構どっちつかずの人間で、アイディアをいったりきたりしていて……。でも、やっぱり変化し続けたいっていう気持ちの方が強いですね。
――最後に、日本のファンへのメッセージをください。
僕の音楽を聴いてくれている日本のみなさんには、感謝してもしきれないくらい感謝しています。夏にみなさんに会えるのが楽しみで仕方ありません。自分がどんな努力をするにしても、常に自分自身に正直であることを忘れないで。そして、ありきたりな言葉かもしれないけど、多くの人から諦めろと言われても、希望を捨てずに突き進み続けてほしい。
――もうひとつだけ。フジロックはどんなショーになりそうですか?
まだセットリストを決めてないので、どんな曲を演奏するかはわからないんです。ただ、何を演奏するにせよ、特別なパフォーマンスをするつもりです。ボーカルで何かやったり、ギターやピアノを入れたり。わからないけど、とにかくクレイジーなことをやりたい。日本だけの特別なショーにしたいです。
【リリース情報】
*国内盤ボーナストラック(7月12日[水]リリース予定)
■ 配信/購入リンク(https://umj.lnk.to/d4vd_PtT_STR)
■ d4vd 日本オフィシャル・サイト(https://www.universal-music.co.jp/d4vd/)

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