7月17日@LINE CUBE SHIBUYA photo by 菅沼剛弘

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PENICILLIN、
30周年の節目を締めくくる
“渋谷公会堂”公演の
オフィシャルレポートが到着

 刺激的でいて美しく、何より格好よろしいのがPENICILLINというバンドである。そんな彼らが、このたび30周年の節目を締めくくるべく開催したのは[30th anniversary tour real final]と題されたライヴで、その舞台に選ばれていたのは渋谷公会堂。

 現状での公式名称はLINE CUBE SHIBUYAとなっているものの、そもそも渋谷公会堂といえばPENICILLINにとっては1995年9月に初のホールワンマンを行った場所であると同時に、2013年2月には20周年記念のライヴを行った想い出深い場所でもある。そして、リニューアル後の渋公に初見参することとなった今宵の公演は、長いキャリアを誇るライヴバンド・PENICILLINだからこそ体現することが出来た、ガチもガチの“3時間一本勝負”であったと言っていい。

「今日は[30th anniversary tour real final]ということで、いつものライヴとは違うんですよ。今日のライヴのテーマは“挑戦”です。大体いつもは20曲弱くらいやる感じなんですけど、今日は30周年に掛けて30曲やります!会場の音止め時間が21時なんで、ギリギリまでね。だから、今日は本編とかアンコールとかの区別はありません。MCも巻きでいかないといけない(笑)。あと、30周年ということでちょっと期待されていた方たちもいるかと思いますが、ゲストもありません。とにかく、現在進行形のPENICILLINの音をここで思いっ切りブチかましていきます!!」(HAKUEI)

 この潔い公言どおり、このライヴでは今年2月に発表されたベスト盤『30 -thirty- Universe』に収録されていた楽曲たちを中心に、まさにこの30年をかけてPENICILLINが着々と紡ぎ続けてきた珠玉の名曲たちや、久しぶりにライヴで聴けることになったレア曲などが贅沢なくらいの並びでこれでもかと連打されていくことになった。

 バキバキのスピードチューンから、繊細なバラードまで自在に叩きこなすドラマー・O-JIRO。Vシェイプのギターやエクスプローラータイプのギターを駆使し、ワイルドなロックギターはもちろん、エモいフレーズもしっかりと堪能させてくれるギタリスト・千聖。絶対的な存在感と圧倒的なパフォーマンス力でPENICILLINを牽引する、フロントマン・HAKUEI。彼らが集結して始動した1992年2月14日以来、彼らは今日まで“一度も活動休止期間をとったことがないバンド”としてもつとに有名で、文字通りにこの30年という月日を駆け抜けてきたという事実はとても尊い。

 もちろん、このステージ上ではPENICILLINのキャリアを語るうえで欠かすことの出来ない大ヒットチューン「ロマンス」も披露されたほか、「太陽の国」をはじめとした数曲では千聖の親友にして盟友であった故・KOJI(Lacryma Christi〜ALvino〜ALICE IN MENSWEAR)の愛用していたミラー仕様のカスタムギターが印象的に使われる一幕もあり、いろいろな意味でこの[30th anniversary tour real final]は、さまざまな時代やここまでの時の流れを感じられるものでもあったのではなかろうか。

「この30年、PENICILLINは常に“ブッこんできた”バンドなんで。その初心は今も忘れてないけど、あらためてしっかりそれを刻みつけて31年目に突入したいと思います。ただ、みなさん気付いてます?[30th anniversary tour real final]とは言うものの、実は既に今年の2月で31周年に入っちゃってるんですよ(笑)。というわけで、最後に31曲目行くぞ!!みんなで暴れようか!!!」(HAKUEI)

 30曲目の「螺旋階段」で感動的に終わるのかと思いきや、そこは刺激的でいて美しく、何より格好よろしいPENICILLIN。ダメ押し的な1曲として1994年5月にリリースされたファーストアルバム『Penicillin Shock』の1曲目「God of grind」を容赦なく“ブッこんで”きたうえ、HAKUEIがワイヤレスマイクを持ったまま客席フロアに堂々の降臨をし、歌いながらぐるぐると闊歩するという緊急事態までが勃発。ここでオーディエンスが狂喜乱舞したのは当然のことだったと言えよう。

 ちなみに、終演後にもさらなる“ブッこみ”は用意されており、なんと来場者に対する御礼や注意事項などを告げる影アナウンスをつとめていたのは、2007年までベーシストとして在籍していたGISHO氏。冒頭でHAKUEIは「ゲストはいない」と言っていたものの、まさかこのようなサブライズがあるとは…! しかも、これだけの大きな節目が無事終わったにも関わらず、PENICILLINは相変わらず休もうとする気配がない。既に次回ライヴも決定していて、8月6日にはVeats SHIBUYAにて毎夏恒例の[「祭」2023]が行われるとのこと。つまり、引き続き31年目もPENICILLINは容赦なく“ブッこんで”いくに日々を重ねていくことになりそうな予感大。やはり、PENICILLINはどこまでいっても刺激的でいて美しく、何より格好よろしいバンドなのである。

photo by 菅沼剛弘
text by 杉江由紀

【セットリスト】
7月17日@LINE CUBE SHIBUYA
01. パライゾ-30th ver-
02. イナズマ
03. Quarter Doll
04. CRASH
05. 花園キネマ
06. 冷たい風
07. WILL
08. LOVE DRAGOON
09. JUMP#1
10. 99番目の夜
11. SOL
12. 白髏の舞
13. ハカナ
14. one star
15. 飛翔遊戯
16. make love
17. Japanese Industrial Students
18. 腐海の砂
19. Lucifer 〜光をもたらす者〜
20. WARP
21. Rosetta
22. Desire
23. New Future
24. Time Machine
25. 太陽の国
26. Realxxx
27. 天使よ目覚めて
28. ロマンス
29. Chaos
30. 螺旋階段
31. God of grind

★視聴券販売中
Streaming+
eplus.jp/penicillin-st/
料金:¥5,000(税込)
販売期間:2023年7月23日(日)21:00まで

【ライブ情報】

『「祭」2023』
8月06日(日) Veats SHIBUYA
開場 16:15 / 開演 17:00
<チケット>
オールスタンディング ¥9,000(税込/D別)
※未就学児入場不可
・客席を含む会場内の映像・写真が公開される場合がございます
・公演の延期・中止の場合以外でのチケットの払い戻しは行いません
一般発売(先着):7月22日(土)10:00

7月17日@LINE CUBE SHIBUYA photo by  菅沼剛弘
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