爆風スランプ「大きな玉ねぎの下で〜はるかなる想い〜」歌詞の意味は?武道館を舞台にした恋物語を考察!

爆風スランプ「大きな玉ねぎの下で〜はるかなる想い〜」歌詞の意味は?武道館を舞台にした恋物語を考察!

爆風スランプ「大きな玉ねぎの下で〜
はるかなる想い〜」歌詞の意味は?武
道館を舞台にした恋物語を考察!

日本武道館の空席にドラマを

爆風スランプは、1984年にデビューした4人組ロックバンドです。
ユーモラスな歌詞やパワフルなサウンドで人気を博し、当時の若者世代から絶大な支持を集めました。
特に「走る走る俺たち」のサビで知られる『Runner』は、世代を問わず認知されている邦ロック界の名曲ですね。
今回考察する『大きな玉ねぎの下で〜はるかなる想い〜』は、89年にリリースされた爆風スランプの大ヒット曲の1つ。
2019年には、元ボーカルで現在ソロ活動をしている「サンプラザ中野くん」名義でのセルフカバーver.もリリースされました。
▲サンプラザ中野くん - 『大きな玉ねぎの下で (令和元年 Ver.)』【OfficialYouTube】
熱く力強い『Runner』に対して、『大きな玉ねぎの下で』はしんみりと切ないバラード。
日本武道館での初ライブの際、「空席にドラマを作る」という目的で生み出された1曲なのだそうです。
今回は、そんな『大きな玉ねぎの下で』の歌詞の意味を解釈していきます。
恋したペンフレンドに会えるとき
まずは1番の歌詞から見ていきましょう。
大きな玉ねぎの下で ~はるかなる想い~ 歌詞 「爆風スランプ」
https://utaten.com/lyric/ja00004288
『大きな玉ねぎの下で』は「ペンフレンドの二人」の物語。
「ペンフレンド」とは、手紙のやり取りをする文通友達のことです。
リリース時の80年代はインターネットや携帯電話が普及しておらず、雑誌の「ペンフレンド募集」コーナーなどから文通相手を探し、知らない相手と手紙を通してコミュニケーションを取ることが珍しくありませんでした。
そんな「ペンフレンド」に恋をしているらしい主人公。
想いが募るほど、あるいは手紙が積み重なるほど、直接会えない現実がじわじわと悲しく感じられるのでしょうか。
「また青いインクが涙でにじむ」という歌詞からは、繰り返し手紙を読んで目に涙を浮かべる主人公の様子が想像できますね。
そして続く歌詞はこちら。
大きな玉ねぎの下で ~はるかなる想い~ 歌詞 「爆風スランプ」
https://utaten.com/lyric/ja00004288
年齢や住まいの関係でなかなか会えない主人公と「君」。
手紙のやり取りでしか交流できないからこそ「会いたくなるのは必然」なのでしょう。
主人公は最終的に貯金箱を壊し、武道館ライブのチケットを買い、想い人へ送ります。
「若すぎるから」や「貯金箱こわして」などから察するに、ペンフレンドの二人は学生だったとも解釈できそうです。
次の歌詞も見てみましょう。
大きな玉ねぎの下で ~はるかなる想い~ 歌詞 「爆風スランプ」
https://utaten.com/lyric/ja00004288
どうやら主人公は「君」の笑顔の写真を大切に持ち歩いているようですね。
先ほど説明した「ペンフレンド募集」コーナーでは、氏名や住所のほか顔写真まで掲載されることもあったそうです。
そんな「フォトグラフ」を定期入れに納めるピュアな主人公は、「あの大きな玉ねぎの下で初めて君に会える」と胸を高鳴らせている様子。
なお、ここでの「大きな玉ねぎ」は日本武道館の屋根のてっぺんにある「擬宝珠(ぎぼし)」という飾りを表しています。
直径約5m、高さは3m超え。まるで黄金の玉ねぎのような装飾です。
続くサビの歌詞では、そんな「大きな玉ねぎ」へと向かう主人公の高揚感がられています。
大きな玉ねぎの下で ~はるかなる想い~ 歌詞 「爆風スランプ」
https://utaten.com/lyric/ja00004288
夕暮れ時、九段下の坂道。
武道館へ向かう「人の流れ」を追い越していく主人公。
「早く君に会いたい」と、はやる気持ちが伝わってきますね。
夕日を反射して光る大きな「玉ねぎ」は、好きな人に会える高揚感でいっそう輝いて見えたことでしょう。
切なく光る「玉ねぎ」の真意は?
ここからは、2番以降の歌詞を見ていきます。
大きな玉ねぎの下で ~はるかなる想い~ 歌詞 「爆風スランプ」
https://utaten.com/lyric/ja00004288
意気揚々と武道館に向かった主人公ですが、待ち合わせ場所に相手の姿は見えないようです。
「二人の恋は言葉だけがたのみの綱」は、手紙の中の「〜で会おうね」や「楽しみだね」といった約束の証拠が二人をつないでいるという意味合いでしょうか。
そんな手紙の内容とは裏腹な現状に「僕」は戸惑います。
アナウンスで会場の空気が湧き上がるものの、主人公はずっと淋(さみ)しいまま。
続くサビの歌詞でも、その状況は変わりません。
大きな玉ねぎの下で ~はるかなる想い~ 歌詞 「爆風スランプ」
https://utaten.com/lyric/ja00004288
返事を読み返しては席を立つ「僕」。
約束したことを再認識しては、近くに「君」が来ていないか確認しているのでしょう。
外は雲を焼くような夕暮れなのに「君のための席がつめたい」。
意気消沈する主人公の悲しみもひとしおです。
切なさが増すなか、最後のサビに入ります。
大きな玉ねぎの下で ~はるかなる想い~ 歌詞 「爆風スランプ」
https://utaten.com/lyric/ja00004288
ライブも終盤、ついに彼女が姿を見せることはありませんでした。
悲しみに暮れる「僕」は会場を飛び出します。
たどり着いたのは武道館西部、お堀や緑道がある「千鳥ヶ淵(ちどりがふち)」。
お堀の水面に映る月を見ながら、「僕」は遠回りして九段下駅に戻ったようです。
最後のフレーズは「澄んだ空に光る玉ねぎ」。
今でこそ武道館の「玉ねぎ」は日没後に点灯されますが、このライトアップは2020年から始まりました。
それを踏まえると、夜空に光った「玉ねぎ」は、もしかしたら主人公の涙のたとえなのかもしれません。
変わる手段と変わらない感情の調和
今回は、爆風スランプ『大きな玉ねぎの下で〜はるかなる想い〜』の歌詞の意味を考察しました。
時代を感じる「文通」が背景にある歌詞でしたが、世代でなくても共感できるポイントは多かったのではないでしょうか。
手紙でなくメールやSNSが主流になった現代においても、好きな人とやり取りするときの高揚感や会いたくても会えないときの悲しい気持ちはきっと昔と変わらないのでしょう。
時代とともに変わる連絡手段と、時を経ても変わらない本質的感情。
それらが絶妙に調和していることが『大きな玉ねぎの下で』を名曲たらしめている1つの要因なのかもしれませんね。

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