【Lezel インタビュー】
この先どういう人たちと出会えるのか
というワクワクも感じる
本当に信じられなくて
ほっぺたをつねりまくった
本作には「リセットライフ?」やこれまでに配信リリースした曲に加え、新曲「後の祭り 〜After Party〜」も収録されています。作詞が藤林聖子さん、作曲がTom-H@ckさんですが、どういう経緯でできた曲ですか?
もともとTom-H@ckさんのユニットのMYTH & ROIDさんや、Tom-H@ckさんが楽曲を手がけられたTVアニメ『けいおん!』シリーズが好きで。スタッフさんにそういう話をずっとしていたので、“じゃあ、お願いしてみようか!”とオファーしたところ、引き受けてくださったという流れです。歌詞は自分で書くか誰かにお願いするかという話になったのですが、Tom-H@ckさんの曲に歌詞をつけるには自分ではまだちょっと早いと思い、誰がいいかという話をした中で藤林聖子さんのお名前が出たので、お願いさせていただきました。
この曲はど派手な楽曲で、歌唱もサビでは高いところもありますし、すごく難しそうですけど。
逆にすごく歌いやすかったです。私がずっと歌ってきたボカロ曲はそもそも人が歌うことを前提に作っていないので、人が歌うには難しい曲が多いんですけど、Tom-H@ckさんや藤林さんは人が歌う曲や歌詞を作ってこられた方々だから、ブレスの場所がちゃんとあるんです。ボカロ曲はブレス位置がなく、歌いながら息を吸わなきゃ追いつかなくて大変なんですが、人が歌うことを念頭に置くとこんなに歌いやすくなるんだと知れました(笑)。
なぜ三味線やお祭りをフィーチャーして、和テイストを取り入れた曲になったのですか?
私の歌がこぶしが効いていることもあり、和テイストで、今まで聴いたことのない新しい試みをすることになりました。それにTom-H@ckさんと三味線の組み合わせって、今までになくて新しいですよね。それで、曲のテーマとして“もうあとには引けないぞ”というものを汲み取ってもらった結果、こういう曲になりました。“もうあとには引けないぞ”は“どんどん行こうぜ!”という気持ちを言い換えた言葉で、“あとに引く気もない”“振り向く気もない”という前だけを向いている今の私の状況も表現されています。
今作にはTom-H@ckさんをはじめ、デビュー前から憧れていたクリエイターたちが楽曲を提供してくれていますね。
憧れで言ったら、TOPHAMHAT-KYOさんやカンザキイオリさんもそうです。その3人の中で最初に作っていただいたのがTOPHAMHAT-KYOさんだったんですけど、「Move Move Move feat. 96猫」をいただいた時は本当に信じられなくて、何回もほっぺたをつねりました。
本当にほっぺたをつねる人がいるんですね(笑)。
それくらい夢なんじゃないかと思って(笑)。言うなれば、好きな人に振り向いてもらえたような感覚です。実際に配信リリースされるまで本当に何度もほっぺたをつねって、これは現実なんだと自分で何度も確認しました。
「Move Move Move feat. 96猫」では、『パリピ孔明』で主人公・月見英子の歌唱を担当した歌い手の96猫さんとのデュエットが実現しましたね。
そうなんです。とっても嬉しかったです! 96猫さんは学生の頃に友達から歌い手という存在を教えてもらった時に、初めて認識した歌い手さんなんです。なので、『パリピ孔明』でご一緒した時もめちゃめちゃ驚きましたが、この曲にフィーチャリングゲストで参加してくれることが決まった時は、好きなものと好きなものがいくつも重なって本当に信じられなくて。それもあって、ほっぺたをつねりまくっていましたね。
デビューから1年経ったわけですけど、そのあたりはどんな心境ですか?
Lezelとしてデビューする前からの活動期間も含めると、その半分くらいは私のことを見つけて七海の歌唱キャストに推薦してくださった今のプロデューサーと一緒に時間を過ごしてきたんだなぁとか。もともと一緒にやっていたボカロPやイラストレーターの子がいたので、その方たちとの時間も思い出したり。そういう時間の振り返りみたいなことで感慨深くなりました。デビュー前から支えてくれていたファンの子たちや、YouTubeなどのコメント欄に感想などを書いてくれる子、みんなの応援がすごくありがたいし、この先さらにどういう人たちと出会えるのかというワクワクも感じます。
Lezelさんとして、今後こういう歌詞を歌っていきたいとかありますか?
私の歌声は決して明るくなく、どちらかと言うとダークで、ヒーローかヴィラン(悪役)かで言ったらヴィラン側だと思っています。それもあって個人的には明るくポップな曲よりも、暗めでダークな曲を好みがちなんですね。そういう自分がもともと好んでいるような、もう少し暗い曲も歌いたいですね。
それは人間の感情の、より奥深いところを歌いたいということですか?
そうですね。誰かの気持ちを代弁すると言ったらおこがましいですけど、ずっと持ち続けるにはしんどい気持ちってあると思うんです。憎しみとか苦しい気持ちをずっと思い続けるのはすごくしんどい。“そういう気持ちを持っているのは自分だけじゃないんだ”とか、“じゃあ、大丈夫かも!”と思ってもらえたり、しんどい気持ちをそこに置いて行けるとか、前に進むという道を自分で選択できるようになってもらえることが一番嬉しいです。だからといって、聴いた人の背中を押したいわけではなくて、聴いた人が自ら選んで前に進んで行くための道しるべとして、私の歌が存在できたらいいなと思います。つまり、“その人の人生にLezelがいてほしい!”みたいな。
その人の人生の中にいたいというのはある種、愛の告白みたいな(笑)。
別に私に恋してほしいということはまったく思っていないのですが(笑)。人生の終わりに走馬灯のように観る光景が本当にあるのだとしたら、そのBGMが私の曲であってほしいと思うんです。死ぬ瞬間まで私のことを覚えていてほしい。その人の人生の一部として存在したい。その人が死ぬまで、絶対に忘れられない歌声になりたいと思っています。
走馬灯のように流れる思い出の1ページとかではなく、BGMというのが面白いですね。
人生100年分くらいの思い出が30秒くらいで走馬灯のように流れるとして、その中の1ページってすごく一瞬じゃないですか。そうじゃなくて、その30秒の尺全部を私の歌で彩りたい。そうすれば、いろいろなことを思い出しながら、同時に私のことも思い出してもらえるので。
なるほど。そして、9月30日にオンラインライヴ『Lezel 1st On Line Live “Phase 0”』が開催されますね。
私のお誕生日である9月30日に、バーチャルオンラインライヴを開催します。アルバム収録曲とYouTubeで公開しているカバー動画から何曲か歌う予定です。これが私の初ワンマンというかたちになるので緊張もありますけど、ぜひたくさんの人に観ていただきたいです!
将来的にライヴをやってみたい会場とかありますか?
これはデビュー前から言っているんですけど、いつかは東京ドーム2デイズをやりたいです。そんな大それた夢を口にする人はそうそういないということで、みんな面白がって多くのリスナーさんが応援してくれるようになりましたし、私を見つけてくれたプロデューサーさんもこの夢が私を選んだ決め手になったと言っていました。有言実行して、私を信じてくれた人たちを喜ばせてあげたいです。というか、“まずは1デイから目指せよ!”っと思われるかもですが、いきなり2デイズだからこそインパクトがあって私らしいかなと思っています(笑)。
取材:榑林史章