HKT48の姉貴分・「さっしー」と「ら
ぶたん」という2本の大きな柱

 HKT48は48グループでは末っ子ではあるが、ライブやバラエティでの面白さや、メンバーそれぞれの個性が生かされているという点において、群を抜いている。それにはメンバー兼支配人である指原莉乃、そして指原と同じようにAKB48から移籍してきた多田愛佳の功績が大きいと思う。 指原はご存知の通り、2012年に総合プロデューサーの秋元康氏からHKT48移籍を命じられた。これをよく思わないファンもいただろうが、結論から言えば、そこからHKT48が一気に走り出す。

 まず大きな出来事として、冠番組ができたこと。最初のHKT48冠番組『HaKaTa百貨店』では指原がMCとなり、それぞれのメンバーがとてもうまく生かされていた。特に、中西智代梨や谷真理佳は、こういった指原のMC力やバラエティでの立ち振る舞いを近くで学び、それぞれAKB48とSKE48への移籍につながったのではないかと思う。

 そして、ライブの面白さ。持ち歌が少ないHKT48にとって、他にどういった曲を歌うかというのは非常に大事なことである。HKT48は、ファンと一緒に盛り上がれる曲のチョイスが素晴らしい。過去のAKB48楽曲では『ロックだよ、人生は…』『マジスカロックンロール』など、近年あまり歌われていないものを発掘し、自分たちのものにするのがうまい。

 さらに、九州ツアーでは各県でその土地出身のメンバーがソロを歌ったり、キャンディーズやSPEEDなど他のアーティストの楽曲をカバーするなど、とにかくバラエティに富んだ内容。グループのフレッシュな持ち味や、メンバーをどう生かすかが考えられており、すべてではないにしても、指原の意見が反映されているのだろうな、と感じる。どういったものが面白いかをファン目線で知っている指原がいることは、HKT48にとって大きな強みだと思う。

 指原はメンバーの魅力を紐解き、スポットライトを当てていった。そして指原と同じようにAKB48から移籍した多田愛佳は、メンバーを支えていく土台となっていると思う。多田といえば、AKB48では最年少メンバー(チームB結成時)でツンデレキャラで人気があり、渡り廊下走り隊でも初期メンバーとして活躍していた。

 しかし同期の渡辺麻友や柏木由紀の人気に火がつき、少しずつ後輩も増え年を重ねていくうちに、多田は伸び悩むようになる。2011年総選挙で25位から、2012年は52位へのランクダウン。本人も大きな壁を感じていたはずだ。 そこでのHKT48の移籍。それを聞いたとき、心配になった人もいたんじゃないかと思う。年下しかいないHKT48でうまくいくのだろうか、と。ただ、彼女には積み重ねた経験があった。移籍する頃に出演した番組では「たかみなのような存在になりたい」とも話している。その言葉どおり、多田はいつの間にかHKT48のメンバーたちに「ねえさん」と慕われる存在になっていた。頼れる存在として指原とともにHKT48を支え、今ではチームKIVのキャプテンとなったのだ。

 また本人も、2013年の『ハート・エレキ』で『言い訳Maybe』以来の選抜復帰や、福岡のラジオ局で初冠番組を持つようになったりと、HKT48に移籍したことで大きく前進している。

〝ヘタレキャラの指原〟と〝妹キャラの多田〟の、AKB48にいるときには想像できなかった今の姿。2人はグループの2本の柱となり、メンバーをしっかりと支えている。それを土台にし、それぞれのメンバーがのびのびと成長しているのも強く感じる。それが、HKT48の勢いにつながっているのだろう。

 新曲の発売、そして9月21日からは「HKT48全国ツアー ~全国統一終わっとらんけん~」が始まる。今回は日本だけでなく、台湾と香港での海外公演も決定している。ここでHKT48の大きな成長と、新たな驚きを見られることを期待したい。どんなコンサートになるのか、とても楽しみです!東海林その子 メジャーどころを中心に、女子アイドルを追いかけています。女の子が変化する一瞬一瞬を見逃したくないです。

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