【手越祐也 インタビュー】
どんなものでも
できるっていうところが
自分のストロングポイント

曲を作ってくれたのがマイキなんですね。過去に「OVER YOU (feat. マイキ)」（2022年7月発表の配信シングル）という曲も作ってくれたんですが、彼自身も自らアーティストをやっていて、YouTubeやSNSでいろんな表現をしているんですよ。そんな彼が持っている音楽の才能であったり、世界観や価値観があるわけだし、俺とはまったく違うものがそこにはある。なのに、俺がいろいろ言いすぎると、彼の持っている良さや繊細さが出なくなるから、なんとなくのイメージは伝えるけど、細かいところは何も言わないんです。もちろん最終的な編曲に関しては言いますよ。彼がやってくれる意味は、彼の持っているワードセンスだったり、コード進行だったり、癖だったりが出ている曲を俺が歌うというところにあるので。俺が書いたら、憧れ、劣等感、嫉妬の歌詞にはならないですから（笑）。この曲の仮歌を聴いたり、歌詞を見た時、俺は特殊な人間だからメンタル強いけど、ほとんどの人は俺みたいな人間ではないと思うんですよ。常に劣等感を感じていたり、SNSも含めて周りの目を気にしていたり、好きなことができなかったり、夢を馬鹿にされてその夢を諦めたり、そういう人が多いと思う。それでもチャレンジし続けて、夢を叶える人は少ないって理解しているんです。俺はいろんなチャレンジをして、ひとつひとつ夢を叶えて、特にこの3年間はここまで順調にやっているけど、“なんで君もそういうことをしないの？　俺みたいにできるでしょ？”とは絶対に言いたくない。それは俺だから結果的にできただけであって、みんながそうじゃない。別に俺がすごいっていうことではなくて、こういうポジティブな性格だからやれたと思っていて。だから、寄り添ってあげたいと思うんです。俺のポジティブなスパイスをポンポンと振って、“ちょっとだけこっちにおいでよ”って言ってあげられる…それをナチュラルに言えるのが、音楽に乗せて伝える歌詞だと思うから。

俺、いろんな人に言われるんですよ、どんなネガティブな曲を歌っても、それこそ失恋の曲でさえも“手越くんが歌うとプラスに聴こえる”って（笑）。これは人間性だったり、キャラだったり、雰囲気がそうさせると思うんで、俺が歌う意味っていうのはまさにそこにあると思っています。「アダルトブルー」は今後、いろんなステージで歌っていくでしょうけど、“ちゃんと寄り添っているからね。前向きに夢を叶えに行こうよ”って言ってあげたいと思う楽曲ですね。ですから、歌い方も変にテクニカルに歌うのではなく、真っ直ぐに歌いました。

まだツアーについては何も考えていないのですが、やっぱり自分が“生きているな”って実感するのはステージに立っている時なので、来年はパフォーマンスの質を上げていきたいですね。まだまだ夢がたくさんあるんで。『ROCK IN JAPAN FESTIVAL』や『FUJI ROCK FESTIVAL』にも出てみたい…俺はピリピリした環境が昔から好きなんですよ。そのほうが得られる経験値が絶対に大きいから。日本のトップレベルのフェスだったら、お客さんの目も耳も肥えているし、日本を代表するスーパーバンドとかばっかり出てくるから、そこで戦いたい。こうやってコツコツとひとつひとつの作品を大事に、ひとつひとつのステージを大事にやっていると、一昨年より昨年、昨年より今年って伝わっていく幅が増えている実感があるので、来年はさらに今年よりもたくさんの方々に届くんじゃないのかと思っています。ひとつひとつのことを大事に、周りのひとりひとりを大事に、1カ所でのパフォーマンスを今できる最大のものをするっていうことさえ続けていけば、ひとりでも多くの方に届き、ひとりでも多くの方の人生を明るいものにするようなフォーマンスができると思うので、それを続けていくのみですね。