L→R SHAL(Vo)、Takeshi(Gu&key&Ba)

L→R SHAL(Vo)、Takeshi(Gu&key&Ba)

【THE UNCROWNED インタビュー】
未発表曲集みたいな感じじゃなくて、
純粋な3rdアルバム

SHALへの想い、気持ちを込めた、
彼女に向けた曲にしたいと思った

今回のアルバム制作に向けて書き下ろしたというふたつのインストルメンタル「SONG FOR「S」.I 〜To Live〜」「SONG FOR「S」.II 〜Memories〜」ですが、何と言葉にしていいのか分からないところがあるというか…特に想いのこもった曲ということになりますよね。

そうですね…。今回のアルバムを制作するにあたって歌入りの曲がわりとアップテンポなものが多かったので、構成的にはミッドテンポもしくはスローテンポの曲が必要だと思っていたんです。でも、もう歌を入れることは不可能なので…。だから、きっかけとしては必要に迫られて書いたところもあるんですが、せっかく作るのであるなら、やっぱりSHALへの想い、気持ちを込めた、彼女に向けた曲にしたいと思ったんですね。でも、今までインスト曲って一切書いたことがなかったんですよ。

そうなんですか!? 未発表のまま眠っているものがあるわけでもなく?

全然なかったです。ギターインストみたいなものを初めて書いたので、曲の書き方も分からず、未だにこれでいいのかどうか分からない感じなんですけども(笑)。でも、曲の出来とかよりも、この曲にその当時の自分の想いを込めることが一番大事だったと思うので、これも今回収録できて良かったと思っています。

“〜To Live〜”と“Memories”というサブタイトルは文字どおりの意味合いなのだろうとは思うのですが…。

そうですね…。生前の彼女が書き初めで“生きる”って書いたものがあったんですよ。

「Last Rain」のMVにも登場しますね。

そうですね。「SONG FOR「S」.I 〜To Live〜」はあれにインスパイアされたところはあって、彼女が強く生きようとしたさまを曲にしたい想いがあって書いた感じです。「SONG FOR「S」.II 〜Memories〜」は彼女が亡くなったという知らせを聞いた時に、なぜかこの曲のメロディーがずっと自分の頭の中でグルグルと回っていたんですよ。もともとTHE UNCROWNEDの歌モノの曲のアイディアとして残してあったメロディーだったんですけども、このタイミングでずっと頭の中流れているということは、これを今かたちにしたほうがいいのかなと思ったんですね。アルバムの最後という位置で、みなさんが彼女のことを思いながら聴いてくれたらいいかなみたいな想いを込めて作りました。

この2曲の間に「Last Rain」が挟まっている構成も、すごく意味があるわけですよね。ある種、「SONG FOR「S」.I 〜To Live〜」は「Last Rain」の前段となるようなものでもあって。

深い意味合い的なものは、正直言って考えてはいなくて。もともとはアルバムの流れとして曲調だけで判断した時に、この流れが美しいんじゃなかとは思ったんですけど、「Last Rain」の歌詞の内容とかも考えると、この流れにするのは必然的だった気はしないでもないですね。

確かにすごくいい流れになりましたよね。アルバムタイトルを“STOPOVER”にしたのは、どんな想いからだったんですか?

先ほどの話にあったとおり、2016年の1stアルバムから2022年の2ndアルバムまでの間に書いた曲で構成されていて、今の時点からそこに戻るというコンセプトみたいなのが、ある意味で“STOPOVER”…途中下車と言えるんじゃないかというのがあったのと、大切なメンバーを病気で失ってしまった自分がミュージシャンとしてこれから先に進むためには、ここで一度立ち止まってこの作品をまとめ上げて、気持ちに整理をつけることが必要だったという制作の背景も反映されています。

その一方で、このアルバムがリリースされたあと、THE UNCROWNEDはどんな活動をしていくのか思い描いている未来像もあるのでしょうか?

今のところは自分でも分からないというのが正直なところで。生前にSHALが“ファンのみんなが私のことを忘れないように、あなたには頑張ってほしい”と言っていたことがあったんですよ。それを実践するための第1弾が今回のアルバムのリリースだったと思うんですね。だから、これから自分にできることとなると、やっぱり彼女が残してくれた曲をTHE UNCROWNEDとして演奏し続ける、歌い続けることだとは思うんです。ただ、そうなると、新しいヴォーカリストの存在というのは不可欠なわけで。なので、相応しい人がもし現れたならば、再始動したいという確かな想いはあります。ただ、現状は本当に未定です。ここでTHE UNCROWNEDという名前をいったん下ろしてしまうのが正解なのかなと考えたこともありました。でも、本当に彼女とふたりで作り上げてきたものなので、なんとか残していきたいと思っています。今回のアルバムは今まで応援してくれたファンの人たちへの“ありがとう”の気持ちを示した作品みたいな色合いは強めではあるんですけども、『STOPOVER -Dedicated to SHAL-』を機に新たなファンになった人たちが出てきてくれたら嬉しいですね。

取材:土屋京輔

アルバム『STOPOVER -Dedicated to SHAL-』2023年11月22日発売 Walküre Records
    • WLKR-0076
    • ¥3,300(税込)
THE UNCROWNED プロフィール

ジ・アンクラウンド:2016年、Takeshi(Gu)とその実弟のNaoki(Ba)、SHAL(Vo)の3人によって結成。同年12月に9曲入りのデビューアルバム『REVIVE』をリリース。ハードロック色の強いサウンドに90~00年代のJ-ROCKを彷彿させるキャッチーなメロディーを乗せるスタイルで人気を集める。17年5月にNaokiが脱退するが、サポートメンバーを迎えて活動を継続し、同年10月に1stシングル「TEAR」を発表。20年夏、SHALが癌と診断され、治療を続けながら2ndアルバムを完成させるが、リリースを待つことなく22年8月にSHALが他界。完成した2ndアルバム『WITNESS』は22年9月にリリースされ、さらに23年11月22日にはSHALの歌唱による、未発表の新曲を中心に制作された3rdアルバム『STOPOVER -Dedicated to SHAL-』がリリースされる。THE UNCROWNED オフィシャルHP

「LAST RAIN」MV

『STOPOVER - Dedicated to SHAL -』
Official Trailer

OKMusic編集部

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