L→R ニシオカケンタロウ(Ba)、ヤマトパンクス(Vo&Gu)、福島カイト(Gu)、カズキ(Dr)

L→R ニシオカケンタロウ(Ba)、ヤマトパンクス(Vo&Gu)、福島カイト(Gu)、カズキ(Dr)

【PK Shampoo インタビュー】
人は再定義を繰り返して、
成長していく

本当に考えてやった結果なら、
それが良くても悪くても問題ない

『再定義 E.P』収録の「死がふたりを分かつまで」の《住む場所は騒がしい方がいい》のフレーズから、そういう環境に自分を放り込むことに覚悟を感じたり、《他の偉大な人たちが/大体のことはもう歌ってるし》のフレーズから、そんなことは分かってるけど歌い続ける意志を感じました。メジャーデビュー作の1曲目のタイトルに“死”が入っているのはどうかと思ったけど(笑)、“俺たちがPK shampooだ!”という新たな提示と覚悟が見えるすごくいい曲だと思いました。

“死がふたりを分かつまで”というのは教会で宣誓する時の言葉だったりして、音楽やクリエーションと心中じゃないですけど、ある種の覚悟を見せるというか…まぁ、離婚する人もたくさんいるから、結果はどうなるかは分かりませんけど(笑)。

そういう気持ちもあって、メジャー1発目に相応しい曲だったと。

そうですね。今までは自主でやっていて、発売日を半年延ばしたりとか、めちゃくちゃやってきたんですけど、どこかと契約して、いろんなスタッフが動いてくれて、一緒に何かをやるってなった時、もちろん創作活動を優先したいけど、ちゃんと向き合わなきゃいけない部分も出てくる。彼氏と彼女だった関係が夫婦になるというか、そこまで言うとキザったらしい気もしますが…でも、そんな感じですね。

この曲はどのタイミングで生まれたんですか?

結構ギリギリで、レコスタで歌詞を書いていました。パーツはあったんですが、それをどう組むかってところで悩んで。最後の《君だってそうだろう》のフレーズは20パターンくらいあったのを4パターンくらいに絞って歌を録って、マスタリング当日まで考えていたり。1行ずつに10パターンくらいできちゃって、“譜割的にこっちがいいけど、意味合い的にはこっちがいい”とかギリギリまで悩んでいましたね。書いていて嫌になっていました、作業量が多すぎて(笑)。結局、歌入れ当日まで決まっていないみたいな。

納得するところに落とし込めた?

最終的に締切が来たら決着がついちゃいます。ギターの音とかも全部そうで、作っている時はいろんなパターンで悩むし、迷うし、工夫したくなる。ゲシュタルト崩壊を起こしながら3歩進んで6歩下がるみたいなことをやって、ギリギリまで悩むのが仕事みたいな。本当に考えてやった結果なら、それが良くても悪くても問題ない…と言ったら無責任ですけど、極論を言えば、“売れようが売れまいが、俺が本当に悩んでやった結果だからしょうがない”と思えますからね。

この「死がふたりを分かつまでは新曲なんですよね。

「あきらめのすべて」も新曲で、「第三種接近遭遇」は弾き語りでやっていた曲に歌詞をつけ加えてバンドサウンドにして、「神崎川」は再録です。“再定義”と言っているから過去の何かを持って来たかったし、過去曲を入れれば曲も少なくて済むんで(笑)。

「あきらめのすべて」は作ろうと思ってできた曲じゃない気がするんですが、どういう経緯でできたのですか?

本来はミドルテンポのバラードっぽい曲にしようと思っていたんです。でも、スタジオに持って行って、日本語英語みたいなので歌っていたら、“メロコアっぽくズバーン!とやってみる?”となって。そういう曲を作ったことはなかったけど、“こういう時ってこうなるよな?”って感じでメロコアあるあるみたいなのがズバズバ出てきて、30分くらいでアレンジが出来上がって。“こうなったらこうやって終わるよな?”ってジャジャンジャカジャン〜ってやっていたら40秒くらいで終わってしまったんですよ(笑)。レーベルの人に“メジャー1stEPで40秒の曲とセルフオマージュと再録はないんじゃない?”って言われたんで、いろいろやってみたんですけど、やっぱりこれが一番良くて“無理です。諦めてください”って。そこから、“あきらめのすべて”になったんです。

だははは。うまく着地しました(笑)。「第三種接近遭遇」は歌詞であえて言葉にしなかった部分や言葉にできない部分をバンドサウンドで表現できていますね。

かなり言葉足らず目に歌詞は書いていて、想像や解釈の余地があるようにはなっていますね。神々しさとか、宗教っぽさをテーマに作りました。

そして、「神崎川」はヤマトくんの持ち前のロマンチストぶりを存分に発揮したバラードソングになっていて。

持ち前のナニワのノリで歌っています(笑)。

そんなメジャー1st EPに“再定義 E.P”と名づけました。バンドを取り巻く環境の変化もあって、PK shampooというバンドを再定義するタイミングにもなったと思うのですが。

「今までの人生をエンタメライクにいろんなところでしゃべらせてもらったり、歌詞にして表現させてもらう機会がたくさん出てきているんで、小学生の頃の自分を“あれで良かったんかな?”と振り返ったりして、それによって自分の人生が再定義されて、更新されていって、“じゃあ、次はどうしようか?”と考える機会になっていて。“俺はどんな奴なんだ?”って何度も定義し直して、“そう言えば、こんなことを考えていたよな”って再定義している日々というか。だから、このEPが特別に何かを再定義する作品というのではなくて、次にシングルを出すなら“再定義シングル”、アルバムを出すなら“再定義アルバム”って、常に再定義されていくもんだと思うんです。

人間というのは常に再定義して、更新されていくものであると。でも、再定義はするけど、反省はしないし、直らないんですよね?

直らないですね。そう簡単に直るなら、もう直っています(笑)。

また困ったことに、直さずにここまで生きてこれたっていう事実もあるし。

そう! そこを面白がってくれればいいなと思っています。朝まで呑んでいて遅刻とかするんですけど、20分遅刻してやったステージがめちゃくちゃ盛り上がったりするんですよ(笑)。それで、“あいつ、またやりよったで”って言う人もいれば、めっちゃ怒っている人もおるし、それって最高やなって。1回、下北のサーキットライヴのトッパーでそれやっちゃって、パンパンにお客さんが入っていたんですけど、2曲くらいしかできなかったんです。面白がっている奴が半分、初めて観た奴が半分おる中で“こんなのがPK shampooだと思われたくないんだよ!”って訴えてた奴がおったらしくて(笑)。それも面白いなぁと。

談志で言うところの“業の肯定”で、人間のどうしようもなさも笑いにするのが落語なら、爆音でぶっ飛ばすことができるのがロックですから。それもチャラにする最高の曲とステージで返さないと。

そうですね。チャラだと足りないんで、ちょいプラくらいで(笑)。それ以外に自分の生きる方法はないんで、もうしょうがないですね。

取材:フジジュン

EP『再定義 E.P』2023年12月6日発売 日本コロムビア/From World Wide Web.
    • 【初回盤】(CD+DVD)
    • COZA-2065〜6
    • ¥3,300(税込)
    • 【通常盤】(CD)
    • COCA-18163
    • ¥1,320(税込)

ライヴ情報

『PK shampoo New EP 『再定義 E.P』 Release One Man Tour “再思三考“』
12/08(金) 東京・下北沢SHELTER
12/10(日) 宮城・仙台CLUB JUNK BOX
12/17(日) 北海道・札幌BESSIE HALL
12/23(土) 新潟・新潟GOLDEN PIGS RED STAGE
12/24(日) 石川・金沢vanvanV4
[2024年]
1/13(土) 兵庫・神戸VARIT.
1/14(日) 香川・高松TOONICE
1/20(土) 京都・京都磔磔
1/21(日) 広島・広島4.14
1/27(土) 福岡・福岡LIVEHOUSE CB
1/28(日) 岡山・岡山YEBISU YA PRO
2/02(金) 大阪・心斎橋BIGCAT
2/09(金) 愛知・名古屋RAD HALL
2/11(日) 東京・Zepp Shinjuku(TOKYO)

PK shampoo プロフィール

ピーケーシャンプー:関西大学の同音楽サークル出身者により2018年に結成。同年10月にデモ音源『星/京都線』を500枚限定リリースし、11月にはミニアルバム『Kanzakigawa E.P』発表。また、結成した年の9月に『TOKYO CALLING』に出演し、12月にはフジテレビ系列『Love Music』にて特集されるなど早くから注目を集めていた。21年11月にリリースした1stフルアルバム『PK shampoo.wav』はオリコンランキング16位を獲得し、リリース記念ワンマンライヴをバンドの結成地でもある関大前TH-Rホール及び新木場USEN STUDIO COASTにて開催した。23年6月にEP『Pencil Rocket Opera E.P』を、同年12月にはメジャーデビュー作となる EP『再定義 E.P』をリリース。PK shampoo オフィシャルHP

「死がふたりを分かつまで」MV

「神崎川」MV

【LIVE】PK shampoo
"HELLO my name is PK shampoo"
at Shinkiba USEN STUDIO COAST
-for J-LODlive-

OKMusic編集部

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