【インタビュー】パンツァー、トリオ
からツイン・ギターへ

アクセプトのハーマン・フランク(G)とステファン・シュヴァルツマン(Dr)(共に現在はアクセプトから離脱)、デストラクションのシュミーア(B、Vo)によるプロジェクト、パンツァーがデビュー・アルバム『SEND THEM ALL TO HELL』を発表したのは2014年のこと。両バンドのスタイルを融合させたその音楽はメタル・マニアの心を掴んだが、同作から約3年、2作目となる『FATAL COMMANDL』を完成させた。
前作よりも正統的・伝統的なへヴィ・メタルの要素を強化させた作風はメタル・ファンの溜飲を下げること確実だが、当初はトリオ編成だったバンドは今ではツイン・ギター編成の4人組となっている。更にはハーマンがバンドから離脱してしまっている。この陣営替えの裏には何があったのか、新作にどのような影響を及ぼしたのか、シュミーアが明かしてくれた。
――ハーマン・フランクが昨年パンツァーから脱退しました。ソロ活動で忙しくて辞めたのですか?
シュミーア:彼はすべての曲を書きたいと思っていたんだ。彼はアクセプトに長くいたけれどそれほど曲を書けなかったから、どうしても曲を書きたかったらしい。だけどパンツァーはチームワークだから全員で曲を書く。それが俺達のこのバンドを結成した一番の理由だった。だが、今のハーマンにとって自分の音楽を書くことが重要でね、彼は素晴らしいソングライターで素晴らしいギタリストだから、彼が自分のその欲求に従うのは当然だと思う。だから俺達はハーマンにソロ・アルバムを作れと言ったよ。そして彼はそれを実行して数ヵ月前にソロ・アルバムを出した。それが彼にとっても一番良いやり方だと思う。彼自身がボスで、曲も書けて、自分がやりたいことは何でもやれる。俺達ももちろん彼の新しいプロジェクトの成功を願っている。
――-アルバム発表後の2015年には、GURD、POLTERGEIST、PULVER等で活動してきたV.O.プルヴァーをセカンド・ギタリストとして迎え入れましたね。
シュミーア:彼は1stアルバム『SEND THEM ALL TO HELL』をプロデュースし、すぐにライブのラインナップにも加わっていたんだ。彼は俺の良い友人であり、スタジオを所有していてデストラクションのアルバムを何枚もプロデュースしているから、俺達は非常に親しいんだ。だから、ハーマンがいなくなる時に、すぐにバンドに入ってくれと頼んだんだ。彼がとても良いソングライターだということもわかっているし俺との仕事の相性もとても良い。実際、一緒に曲を書いてみたらとても上手くいった。俺達はギターが沢山入ったアルバム、ツイン・ギターが沢山入ったアルバムを作りたかったから、ラインナップを4人編成にするべきだと思った。
──V.O.は既にライブでプレイしていたんですね。
シュミーア:そうだよ。2015年と2016年に一緒に沢山のショーをやったよ。V.O.とハ―マンがいるパンツァーでライブをやったんだ。
──その後ハーマンが脱退し、後任として今はハンマーフォールに在籍しているスウェーデン人のポンタス・ノルグレンが加わりました。ポンタスはあなたの古くからの友人だそうですが、彼が加わった経緯は?
シュミーア:2人目のギター・プレイヤーが必要なのはわかっていたから、ドラマーのステファン(シュヴァルツマン)が、ポンタスを入れようというアイディアを出したんだ。ポンタスもパンツァーにギター・プレイヤーが必要な時はやりたいと言ってくれていた。勿論、俺達も彼のことを知っていたし、彼のスキルもわかっていた。素晴らしいギターを弾く奴だし良い友人だ。だが俺は最初、ちょっとどうかなと思っていたんだ。彼はスウェーデンにいて俺達はドイツにいるし、彼はハンマーフォールで凄く忙しいからね。俺もデストラクションで忙しいし、V.O.プルヴァーもスタジオの仕事で凄く忙しい。だから、パンツァーのために使う時間は特別な時間で、バンドのためになるように全員が上手く大切に使わなくてはいけない。そういうことで、ポンタスに決まったのは早かったよ。俺達の頭に最初に浮かんだのが彼だったし、彼が同意したら、もう決まりだった。
──そもそもパンツァーにあなたが加わること自体が予想外でしたよね?現在スイス在住のステファンと、スイスのロック・クラブ『Z7』のオーナーであるノーベルト・マンデルの2人がトリオ編成のバンドをやろうということで、あなたとハーマンに連絡をしてきたとか。デストラクションとアクセプトのメンバー達によるバンドという発想は意外であり、最初はあなたも冗談かと思ったそうですが、シリアスに進めていくとわかった時、俄然やる気になったと聞いています。あなた方にとって何か新しいこと、新鮮なことがやれるとインスピレーションを得たのでしょうか?
シュミーア:凄く驚いたよ。ステファンとは昔から友達同士だったけど、スタイルが違うから彼が俺と一緒にバンドをやろうと考えるとは思わなかった。彼はオールドスクールのヘヴィ・メタルをやっていて、俺はどちらかといえばスラッシャーだ。だから、声が掛かったことを光栄に思ったよ。素晴らしい新たなチャレンジになったのは間違いない。デストラクションはもちろん俺のメインの仕事だが、パンツァーも凄く楽しいし音楽的なチャレンジでもある。歌い方もベースの弾き方も少し違う。そして今は4人になったからステージでのプレゼンテーションも新しく、とても楽しい。まずそれが一番だ。パンツァーの新しいアルバムは、俺達のルーツへの拘りを表していると思うんだが、俺達はNWOBHM、1980年代のへヴィ・メタル、ピュアなヘヴィ・メタルに敬意を表したかった。今はギタリストが2人になり、最初のよりもギター・ハーモニーが増えている。今回のアルバムは曲も前よりもメロディックになっていると思う。ヘヴィさは減っておらずパワフルであることも変わらない。それでいてキャッチーなメロディやボーカル・ラインはたっぷりだ。ツイン・ギターは、クラシックなヘヴィ・メタルのファンが聴いて育ったものだ。ジューダス・プリーストもアイアン・メイデンもクラシックなツイン・ハーモニーをやっていた。だから今の俺達はそれをパンツァーの新しいトレードマークに加えているんだ。
――新作『FATAL COMMANDL』収録曲の幾つかについてコメントをください。まず、タイトル曲の「Fatal Command」から。
シュミーア:「Fatal Command」はこのアルバムで俺が特に気に入っている曲で、アルバム・タイトルを『FATAL COMMANDL』にしたのもこの曲が本当に気に入っているからというのもあるんだ。少し違ったバイブがあって、最初はベースとドラムスでスタートして、ギターはそれほど入っていないけれど、徐々に盛り上がってきて、最後は凄くオープンでキャッチーなコーラスになる。歌詞は、君は自分の国を守るか? そして自国を防衛することは本当に正しいことなのか? 自分の国のために死ぬのか? そういう問いかけになっている。自国の政府がやっていることに賛同するのか? 自分を国のために犠牲にするのか? それが、この曲が質問していることだ。
――「Skullbreaker」は特にダークでヘヴィな曲ですが、この曲については?
シュミーア:これは俺がこのアルバムを多様性のあるものにするために書いたリフから生まれた曲だよ。よりスローで邪悪で不快な感じ、ブラック・サバスのようなスタイルにしたかった。「Skullbreaker」は、アルバム全体の構成にとって凄く重要な曲なんだ。速くてパワフルな曲は沢山あるが「Skullbreaker」は正反対の曲だから、このレコードというパズルにとって重要なピースになる。歌詞は俺達の音楽について。多くの人は俺達がやっている音楽はエクストリームだと思っているかもしれないけれど、俺達にとってはそれほどエクストリームではない。何故なら、これが俺達の生き方であり俺達のスタイルだからだ。だが、普通の人達にとっては、俺達の音楽は普通じゃない。この曲の歌詞は、俺達の音楽が普通の人達にどういう風に聞こえているかという事実を扱っているんだ。だから「Skullbreaker」なんだよ。俺達の音楽は頭蓋骨を音で破壊するものだから。
――今後の予定を聞かせてください。
シュミーア:10月になったらすぐにデストラクションのヨーロッパ・ツアーに出る。12月にはロシアに行くプランもある。それから、来年の頭にはアジアとオーストラリアでのショーのプランもあるから、上手くいけば日本にも戻れるチャンスになる。
――-それはデストラクションとして?
シュミーア:デストラクションとしてだよ。もちろん、パンツァーも日本でプレイしたいと熱望しているよ。日本のファンがパンツァーの新作を気に入って俺達をサポートしてくれることを願っている。俺はデストラクションでは日本に何度も行っているが、パンツァーで行ければ全く新しい経験になる。アルバムが出た後、来年の頭に行けたら最高だ。
取材・文:奥野高久/BURRN!

Photo by Kai Swillus

編集:BARKS編集部

パンツァー『フェイタル・コマンド』

2017年10月6日 世界同時発売

【50セット通販限定 直筆サインカード付きCD+Tシャツ】¥6,000+税

【CD】 ¥2,500+税

※日本語解説書封入/歌詞対訳付き

1.サタンズ・ホロー

2.フェイタル・コマンド

3.ウィ・キャン・ノット・ビー・サイレンスド

4.アイル・ブリング・ユー・ザ・ナイト

5.スコーン・アンド・ヘイト

6.アフリクテッド

7.スカルブレイカー

8.ブリーディング・アライズ

9.ザ・デクライン(...アンド・ザ・ダウンフォール)

10.ミステイクン

11.プロミスド・ランド

《ボーナストラック》

12.ウィールズ・オブ・スティール(サクソン カヴァー)
【メンバー】

シュミーア [デストラクション](ボーカル/ベース)

ポンタス・ノルグレン [ハンマーフォール](ギター)

V.O.プルヴァー [ポルターガイスト/GURD](ギター)

ステファン・シュヴァルツマン [元アクセプト](ドラムス)

BARKS

BARKSは2001年から15年以上にわたり旬の音楽情報を届けてきた日本最大級の音楽情報サイトです。

連載コラム

  • ランキングには出てこない、マジ聴き必至の5曲!
  • これだけはおさえたい邦楽名盤列伝!
  • これだけはおさえたい洋楽名盤列伝!
  • MUSIC SUPPORTERS
  • Key Person
  • Listener’s Voice 〜Power To The Music〜
  • Editor's Talk Session

ギャラリー

  • 〝美根〟 / 「映画の指輪のつくり方」
  • SUIREN / 『Sui彩の景色』
  • ももすももす / 『きゅうりか、猫か。』
  • Star T Rat RIKI / 「なんでもムキムキ化計画」
  • SUPER★DRAGON / 「Cooking★RAKU」
  • ゆいにしお / 「ゆいにしおのmid-20s的生活」

新着