挫折体験はさせていい?ゲームに負け
てすねる子へのベストな対応、NG対応

みんなで楽しくゲームをしていても、負けそうになると、泣いたり怒ったり…空気を悪ーくしてしまう子がいます。拗ねてしまう子の気持ちと、大人がとるべき対応についてご紹介します。

今の時代、友達とリアルに対戦するゲームではなく、個々にスマホで一人遊びをする子も多いですが、それでもトランプやかるた、かけっこ等、人間対人間の遊びがあります。
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そんなとき、負けると大泣き!すねたり、途中でカードをバラまいて怒ってしまう子がいます。
そんな子に対する親の賢い対応は何でしょうか?
『「テキトー母さん」流子育てのコツ』の著者の立石美津子がお伝えします。
様々な子どもに接して思うこと人は顔形、身体つきが違うように、一人として同じ気質、性格の子どもは存在しません。
私は30年あまり幼児教室で3歳~小学校3年生までの生徒を指導してきました。
国語では、ひらがなやカタカナ、漢字の読み方など、机上のプリント学習だけではつまらないので、かるた形式にして「同じ文字を2枚めくれたら、そのカードをもらえる」などトランプの神経衰弱のようにゲーム化していました。
また、算数ではサイコロを振って駒を進めるすごろく形式にするなど工夫しました。
ところが、「もうこれ以上カードを取ってもどうせ負ける!」と分かった途端、カードを床にバラまいて棄権する子がいました。
また、他の友達がまだゲームを楽しんでいる最中なのに、「すごろくのコマを進めても、優勝できない!」と分かると、用紙の上に覆いかぶさってゲームを中断させようとする子もいました。
こんなとき、機嫌を損ねないようにその子を勝たせてやるのもおかしいですし、かと言って大騒ぎされても困るので、本当に対応に困っていました。
4歳を過ぎると「競争心」が出てくる3歳くらいまでの子どもはまだ社会性がそれ程育っていませんので「友達よりも1枚でも多く取りたい!」と順位を気にすることもあまりなく、カードを取れただけで満足しているのですが…4歳を過ぎた頃から(幼稚園では年中クラス)から“友達と競うこと”に興味を持つようになります。
もちろん、負けても特に悔しがらない子もいますが、負けると怒り狂う子も必ずいます。
生まれ持っての気質と育った家庭環境による性格の違いがあるのですね。
“すねる”気持ちの裏にあるものたとえば運動会の徒競走。「これ以上走っても一等賞になれない!」と分かると、途中で歩き出す子がいます。
負けるとわかっても、泣きべそをかきながら完走する子もいます。ゲームも同じですね。
すねる子の気持ちの裏には「何が何でも絶対に勝ちたい!」という“負けん気の強さ”があります。これは良い面でもあります。努力に努力を重ね、懸命になるからです。
でも、反対に考えると“負けることを受け入れることが出来ない子”でもあるのです。
途中で棄権する子の考え方こんな子どもの考え方の傾向として
0点か100点か思考白か黒か思考全か無か思考があります。上昇志向が強い完璧主義の子どもですね。
こんな子ども達は「2位、3位はビリと同じ。価値がない」と思っていることがあります。一番でないと納得できないのです。
子どもがすねたとき、周りの大人がすべき行動は?
その性格を変えることはなかなか難しいですが、親が日常的に次のような言葉をかけていないか、ちょっと気を付けてみましょう。
例えば
「優勝できなくてお前は悔しくないのか!お母さん(お父さん)は恥ずかしい!」「優勝しないと意味がないのよ」「優勝できなくて残念だね。今度は頑張って絶対に一番を取ろうね」こうなると、子どもには「ナンバーワンでないと意味がない、負けることは悪いこと」という価値観が次第についていきます。
ある一定の条件をクリアしないと認めない、褒めない等、“条件付きの愛”を与えていないでしょうか?
子どもが勝っても負けても、努力しているその過程を認め、あるがままを受け入れてあげましょう。
解決策家庭で、子どもがゲームですねてしまったとき、周りの大人が子どもを「王様」にしないようにしましょう。
具体的には「僕、これ以上続けても勝てないから辞めたい!」と言い出したときは、その言葉をスルーしてそのまま家族でゲームを続けてください。
他に一緒にゲームに参加する家族がおらず、ママと子ども二人だけでやっていた場合は、ママ一人になっても、最後まで続けましょう。女優になって演じるのです。
そして、「途中で負けそうになって辞めるんだったら、明日からはゲームには参加しないでね。ママ一人でやるから」と淡々と言うのです。
実は子どもの本心は「ゲームをやりたくて、やりたくて仕方がない」のです。だから、「もうやらせてもらえない」となってしまうことは、最も避けたいことなのです。
私は教室では先生という立場でしたので「負けそうになっても最後までやり抜くことと、負けそうになったからと途中で辞めてしまうのと、どっちが立派かな」と説明しました。これで子ども達は理解しました。
他人ではなく、親が言って伝わるかどうかは?ですが、試しに家庭でもこのフレーズを使ってみてください。
良くない対応決して、「負けると大騒ぎするから、わざと勝たせてやろう」としないこと。王様にしないこと。「一番にならないと気が済まない」思考癖が付いてしまうからです。
それから、大人がわざと負けていると、次第にそのことが子どもにばれてしまい、面白くないゲームになります。それから「親は自分の思い通りに動いてくれる」と子どもは思うようなります。
しつこいようですが、子どもが泣いてもわめいても、その結果を受け入れさせるために泣かせておきましょう。放っておくのです。
そして、子どもが参加するようになったら“3回ゲームをやったら1回は親が勝つ”などの“負け体験”も意識的に経験させましょう。
まとめ人生にはお受験に不合格になった、就職先に恵まれない、恋愛で失敗するなど、自分の思い通りにならないことが沢山起こります。もしかしたら、思い通りにならないことの方が多いかもしれませんね。
負ける体験を経験しないで育ってしまうと、失敗したときにポキンと折れてしまう“ヤワな心”が育ってしまいます。ある意味“耐性”が付いていないのですね。
適度に挫折感を味わうことで精神的にタフになり、その後の人生で壁にぶつかったり、人より出来なかったときに、そんな自分を受け入れられる精神力も付いていきます。
ただし!
いつも負けてばかりいる子どもには成功体験もさせなくてはなりません。そんなときは、“記憶力や瞬発力だけに頼るゲーム”ばかりでなく、トランプの“坊主めくり”のような“運に任せるゲーム”を取り入れる大人の配慮も必要になります。
「騒がれたら後が大変」と勝たせるのは止めて、泣いても怒っても、計画的に知らん振りするのも教育上必要です。

ウレぴあ総研

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