早稲田映画まつり×『KILLERS/キラーズ』の スペシャルコラボイベント (C) 2013 NIKKATSU/Guerilla Merah Films

早稲田映画まつり×『KILLERS/キラーズ』の スペシャルコラボイベント (C) 2013 NIKKATSU/Guerilla Merah Films

映画『KILLERS/キラーズ』×早稲田
映画まつり

『ザ・レイド』の衝撃以降、「インドネシア映画が気になって仕方ない!」との早稲田生の熱い要望により、21日早稲田映画まつり_『KILLERS/キラーズ』とのスペシャルコラボイベントを実施。緊急来日中のモー・ブラザーズ監督、千葉善紀プロデューサー(『KILLERS/キラーズ』)、石坂健治氏(日本大学教授、TIFFアジア部門ディレクター)が登壇。映画・映像業界を目指す学生や一般のお客様に向けて、<日本・インドネシア>初の合作映画『
』製作に至るまでの経緯、撮影秘話、インドネシアの映画事情などをたっぷり語った。学生たちとのティーチインも実施し、様々な質問な投げられた。
早稲田映画まつり×『KILLERS/キラーズ』の スペシャルコラボイベント (C) 2013 NIKKATSU/Guerilla Merah Films


◆プロジェクト発端
キモ:企画の経緯は、2009年に『マカブル 永遠の血族』がサンダンス映画祭で上映されたときに、脚本の牛山さんが声をかけてくれたのがきっかけ。国際的な映画を手掛けることができることにエキサイトな思いだった。

◆なぜインドネシア合作に?
千葉:3年前にカンヌ映画祭に『ザ・レイド』の予告編を見せられた。インドネシア映画は変なホラー映画という印象しかなかったので、『ザ・レイド』があまりにもすごく衝撃で、インドネシア映画に興味を持った。カンヌから戻ってきて1か月後に牛山さんから本作の話があった。これはいい機会だ!と思い、一気に動き始めた。

◆『KILLERS/キラーズ』製作、『ザ・レイド』監督のギャレス・エバンスはどういう人?
千葉:ギャレスは日本のアクション映画オタク。三池崇史監督の映画をすごく見ている。日本映画の思い入れがすごい人。
ティモ:僕も日本映画、アジア映画に詳しいと思っていたが、知識比べをすると負けてしまう。

◆監督は、どんな日本映画を見てきた?
キモ:大学時代、黒沢明監督をはじめ日本・アジア映画を見てきた。ホラーでは『リング』に大きな影響を受けた。
ティモ:大学時代、名監督の作品はたくさん見た。中でも、黒澤明監督の作品。黒澤監督は、どんな映画であれ人間性を描ききることに長けていた。その後、三池監督、北野監督も見て影響を受けている。

◆キャステイングについて
千葉:北村さんの演じる野村は、サイコキラーでとんでもない役ですが、かっこいい。この役は北村さんしかできないと思った。
キモ:北村さんは個性的で強い顔をしているので、バランスをとって、バユは俳優としても素晴らしいオカさんにした。
ティモ:オカさんはガタイがいいので、体重を減らすように、北村さんにはスマートに今の身体をキープしてくださいとリクエストした。作品を見まわしてみると快いとは言えないキャラクターばかり。イノセンスを感じさせるキャラクターとのバランスをとるべきと思い、高梨さんはイノセンスとピュアを感じたので決めた。

◆撮影現場について
千葉:クランクインの時は、日本は神社で祈祷、インドネシアはイエローライスを振る舞う。
ティモ:インドネシアでの撮影始めにイエローライスを振る舞った1時間後、車でバユが引かれるシーンを撮影。ところが、ぶつかる手前でブレーキを踏まなければいけないところを運転手が忘れていて本当にぶつかってしまった。大きなけがはなかったけど。
千葉:ぶつかったスタントマンは血だらけだったよ。ほかにも、15階建ての廃墟で撮影した。
ティモ:実はここは安全基準を満たしてない建物。エレベーターも機能していなく、15階まで階段であがった(笑)。

【以下、学生たちからの質問】
◆監督は共同で映画を作る際のメリット・デメリットは?
キモ:二人でディスカッションするからよりいいものができる。二人だから判断に時間がかかるのがデメリットかも。しかし、すべての面においてメリットに感じている。
千葉:キモが真面目。ティモはふざけている。すごくバランスが取れている二人。真逆の人間をパートナーに引き入れると倍以上のことができるいい例。

◆撮りながら殺す、殺しながら撮るというのがフッテージ映像を見て面白かった。撮ること、殺すことをどのように描いたのか?
ティモ:人間は、実生活においても根源的な部分でバイオレンス、悲劇に惹かれてしますと思う。ニュースを見ても虐殺などについ目を向けてしまうことが人間にはある。どこか覗き見的にみてしまうのは人の本質。そこを掘り下げたいと思った。人は野村のようにそれぞれナルシスティックな傾向があるのではないか。どんな風に立ち現われているかも見せられればと思った。

◆バイオレンスシーンでも美しさを追求していて、絵とギャップのある演出があったが、意識していたのですか?
ティモ:野村はそもそも生まれたときからエレガントなキャラクターだった。モンスターだが、殺人に対してパーソナルなものではない。客観的に見ていて、芸術と思っている。まるでパペット使いのように演出していくというアプローチ。音楽は、彼の頭の中で感じていることを表す選曲をした。細部のこだわりが現れていると思う。

◆登場人物が経験している痛み、苦しみが肌身を味わうように感じる。精神的に追い詰められるシーンでこだわっていることは?
ティモ:役者を苦悩させてしまうのも一つのやり方。50%は俳優のキャスティングにかかっている。体験していない感情を想像するのは難しいので、パラノイヤ、喪失に対して経験した方をと思った。いい例はオカさん。自分自身を立場に置いて入り込んでくれた。男性の映画作家はセックスとバイオレンスに惹かれてしまう傾向にある。バイオレンスを扱うときに気を付けるのはそれが当たり前として描かないこと。まるで暴力があった後に対価が描かれていないのは映画監督として無責任。自分の身に起こるとすれば大きな痛み、喪失、心に穴があくことを踏まえた上で、どのような結果になるのか描くということに気を付けている。

◆北村さんがかっこいい!美しい!怖い!魅力的。撮影中の北村さんは?
キモ:北村さんはグッドフレンド!野村とは全然違う。だからこそ素晴らしい役者。変態でナイスガイ!
ティモ:現場でふざけるのが北村さん。逆にオカさんは超シリアス。しかし、北村さんはふざけていても「アクション」の声で役にすぐ入るだけの集中力がある。そして完璧主義。実際の北村さんはいわゆる「ジョーカー」。
千葉:オカさんとともに北村さんがビルから落ちるアクションシーンを5回撮った。撮影前に北村さんが「今までいろんなアクションをやってきた。1発でキメてやるよ!」と言った。本番は綺麗にかっこよく5回ともまったく同じようにやりきった。スタントマン以上のことをやっている。Vシネマの時のスタントマン入れずに大けがまでしていて、それが活かされている。そのシーンに注目してほしい。

』は、2月1日(土)よりテアトル新宿ほか全国公開!

配給:日活
(C) 2013 NIKKATSU/Guerilla Merah Films

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