勉強しても台無しに!? 「スマホと学
力低下の因果関係」が最新研究で明ら
かに

え!勉強してもスマホやLINEで台無しに!? 東北大学の調査結果がいま衝撃を呼んでいます。今回は話題の新書『やってはいけない脳の習慣』の著者、横田晋務先生に、最新の脳研究結果から得られた「スマホ使用と子ども学力低下の関係性」についてお話を伺いました。

電車の中では誰もがスマートフォンを熱心に操作し、時間があればゲームやSNSを楽しむ、そんな光景が当たり前になった現代社会。
子どもが“高学歴・高所得”になる、親の特徴が判明! あなたはどのタイプ?
通称スマホは沢山の情報を片手で瞬時に検索でき、世界中の人と簡単に繋がることができる、今や私たちの生活になくてはならない存在になっているのではないでしょうか。
10代の子どもでも、63%がスマホを所持しているという報告もされているなかで(通信利用同行調査:平成26年)、スマホが子どもの脳に与える深刻な影響について検証された東北大学の調査結果がいま衝撃を呼んでいます。
今回は話題の新書『2時間の学習効果が消える! やってはいけない脳の習慣』(青春出版社)の著者であり、東北大学加齢医学研究所助教の横田晋務先生に、最新の脳研究結果から得られたスマホ使用と子ども学力低下の関係性についてお話を伺いました。
家で2時間勉強してもスマホで台無しに!まず、「東北大学では、仙台市教育委員会で毎年行われている標準学力検査に合わせて、学習意欲や生活習慣に関するアンケートを実施し、全ての仙台市立の小中学校の児童生徒約7万人のデータを7年前から解析しています。
スマホ使用に関するアンケートも4年程前から取り入れ、こうした解析の中で、発見したのが“スマホが学力低下に与える影響”だったのです」と横田先生は語ります。
――一般的に考えて、長時間勉強している子どもの方が成績がよいだろうと予想しますが、本書内の「スマホ使用時間と成績の関係」の調査グラフを見て、そうではなかったという結果に大変驚きました。
横田「例えば算数・数学の勉強時間が2時間以上でスマホ使用が4時間以上の場合の正答率が55%なのに対し、勉強時間が30分未満でスマホを全く使用しない場合の正答率は60%。
これは、家庭で平日に2時間以上も勉強している子が、ほとんど勉強していない子より成績が悪いという結果でした」
――スマホに夢中になって勉強がおろそかになったから、という単純な時間の問題ではないと思われますよね……。このように学力が低下してしまう原因は何だと考えられるのでしょうか?
横田「脳科学の知見から考えられることは、“前頭葉の活力低下”が引き起こされている可能性です。
まだ仮説の段階ではありますが、テレビを見たりゲームをしている時は脳の前頭前野という部分(物事を考えたり、自分の行動をコントロールする力にとって重要な部分)の血流が下がり、働きが低下します。
そのため、使用した後の30分~1時間程度は、前頭前野が十分に働かない状態なので、この状態で本を呼んでも理解力が低下してしまうのです。
スマホを長時間使用すれば、テレビやゲームを長時間視聴した後の脳と同じ状態になり、学習の効果は失われてしまうのではと考えています」
LINEをやめても学力が戻らないコワ~い理由
LINEは使用時間が増えるほど成績低下横田「そして更に、私も正直驚いたのがLINEなどの通信アプリによる影響です。
スマホの場合と同様に、勉強時間の長さに関係なくLINEの使用時間が増えるほど成績が下がってしまうのですが、スマホよりも下がり幅が急です。
せっかく一生懸命勉強をしてもLINEを使用すると、その分の学力効果は打ち消されてしまうとは……。なんとも予想外でした」
――どんなに勉強してもLINEを長時間使用していたら、使用しない子どもよりも成績が下がってしまうという結果はもとより、LINE等は使うことをやめても、一度使ったことがあれば学力は上がらないという調査結果にも驚きを隠せないのですが……。
横田「受験のためにスマホ断ちするという話も聞きますが、使用禁止で本当に学力が向上するかという調査も行いました。
そこで見えたのは、“たとえLINEをやめても以前に長時間使っていた子どもたちは、成績が上がっていない”という結果でした。
そして、大学生に行った“LINE条件での連続遂行課題テスト”(実験中に、1分ごとにLINEの通知音が鳴る条件と単なるアラーム音が鳴る条件で反応時間の違いを検証)でも集中力の差が顕著に現れました。
どんなメッセージがきているんだろうどんな話の話題になっているんだろう返信しないと嫌われてしまわないだろうか仲間はずれにされないだろうかなど色々な考えが頭に浮かびやすい人ほど、“社会不安”と呼ばれる傾向が強く、集中力に与える影響が大きいと考えられますし、思春期の子どもたちなら、より強く現れることは容易に想像できます。
そして、脳内で何が起こっているかというと、スマホの使用習慣の強さと前帯状回(注意の集中や切り替え、衝動的な行動を抑えるという機能に関わる領域のひとつ)という部分の小ささが関係していることが分かっています。
LINEを習慣的に長時間使っていると脳の形が変わってしまい、集中力や注意力の低下に繋がると考えられます」
家族でスマホの健全な使い方をルール化すべし!
家族でスマホとの付き合い方を見直そう!――子どもたちがスマホとどう付き合っていくべきなのか、積極的な取り組みを行っている兵庫県小野市では、市内の小学4年生から中学3年生を対象に“スマホやケイタイの使い方について”の授業を展開しています。
教師が一方的に教えるのではなく、ワークシートを使用して自分たち自身でスマホの使い方・ルールを決めるからこそ、守ろうという意識が生まれます。
また家庭での使用を抑制するためには親も巻き込んだ取り組みが重要だと考え、実際に実行されています。
横田「対策としては、子どもにスマートフォンを持たせない、持たせることを考えている場合には導入を遅らせることが第一です。
しかし、現実にはすでに子どもがスマホを使っているというご家庭も多いはずなので、その場合は一日の使用を1時間未満に抑えることが重要でしょう」
――スマホ使用時間が1時間未満と応えた子どもたちの学業成績が最も高かったという結果も出ているようですが、これはどういうことなのでしょう?
「これは、単に1時間未満使えば成績が上がるということでは決してありません。
まだ仮説段階ではありますが、スマホを持っていても、自分で(もしくは親が)使い方をきちんとコントロールできている子どもたちなのではと考えられます。
スマホの使用ルールを含め、親子ぐるみで生活習慣を見直すことがとても重要だと思いますし、この調査結果をきっかけにご自身やお子さんの生活習慣を見直していただければ幸いです」
子どもにいくらスマホ禁止ルールを強いても、親がスマホ依存型で夜更かし……では何の説得力もありませんよね。スマホとの健全な付き合い方は、親が率先して示していく必要がありそうです。
また、本書にはスマホだけでなく、ゲームやテレビ、食事、睡眠、そして家族とのコミュニケーションが脳へ与える影響についての調査結果も報告されています。
まさに親子で生活習慣自体を見直すきっかけになる本書、気になる方はぜひ手にとってみてはいかがでしょうか。

ウレぴあ総研

連載コラム

  • ランキングには出てこない、マジ聴き必至の5曲!
  • これだけはおさえたい邦楽名盤列伝!
  • これだけはおさえたい洋楽名盤列伝!
  • MUSIC SUPPORTERS
  • Key Person
  • Listener’s Voice 〜Power To The Music〜
  • Editor's Talk Session

ギャラリー

  • 〝美根〟 / 「映画の指輪のつくり方」
  • SUIREN / 『Sui彩の景色』
  • ももすももす / 『きゅうりか、猫か。』
  • Star T Rat RIKI / 「なんでもムキムキ化計画」
  • SUPER★DRAGON / 「Cooking★RAKU」
  • ゆいにしお / 「ゆいにしおのmid-20s的生活」

新着