ふくろうずが閉館予定プラネタリウム
でワンマンライブ

オフィシャルサイトで初めてのプラネタリウムでのライブを発表する際に、「いつもの感謝の気持ちをこめて、ふくろうずからホワイトデーのお返しをします。GINGAで会いましょう。」と告知するやいなや、前売の時点で2公演とも完売、久々のワンマンは満員御礼のなか行われた。
会場となったのは東京・北区王子の北とぴあ内で23年間にわたり星空を映し続けた歴史あるプラネタリウムホール。独特の静けさが漂う館内で、ふくろうずの3人はまず『砂漠の流刑地』を奏で始めた。オリジナルよりテンポを落とし、ふわふわと漂うような幻想的なアレンジで、“砂漠を歩く旅人のように 星を見つめていたい”……と内田万里(Vo&Key)が歌い出す。2コーラス目でふっとライトが落ち、頭上の星空がゆっくりと動き始め、このうえなくロマンチックなムードに包まれる。続く『カシオペア』もまた、この日のためにあつらえたような“星”の歌。安西卓丸(B&Vo)が赤く光るスティックで、ウインドチャイムをシャランと鳴らしてみせる。

「みなさん、ホワイトデーなのにこんなところにいて大丈夫ですか(笑)」という内田のMCのあと、「ふくろうずからささやかなプレゼント」として始まったのが『テレフォンNo.1』。イントロでは3人そろってレトロな形をした電話機をもち、それぞれ勝手に話しだすというユニークな演出で楽しませた。また、「ここに雨を降らせようと思います」という曲紹介で始まった「通り雨」は、ギターのアルペジオを軸にしたミニマムな構成で、水の中をゆらゆら揺れるような心地いいリズムを紡ぎだす。そして、春の気怠い日差しを映しだす『灰になる』、夕陽を思い描く『スフィンクス』へと繋いでいく。夜空と星、雨と虹、そして陽の光。3人は移ろう景色を、音で鮮やかに描きだしていく。
中盤には内田の弾き語りソロ・パートも用意された。1部のステージでは未発表曲『恋わずらいだった』を歌ったが、2部ではヤー・ヤー・ヤーズの『マップス』を披露。ふくろうずのステージでカヴァーを歌うのは初ということで、内田は「けっこうやれるもんだなって思いました」と強気にコメント……と思いきや、「いま調子に乗りました(笑)。“ごめんね”」と言って、さりげなく次の曲「ごめんね」を歌いだす。この小悪魔ぶりが、ニクらしいほどかわいい。
「次は卓丸の“弾丸トーク”コーナーです!」と内田が告げると、今度は安西がひとりステージへ。「なぜ今回のライヴを王子やったかというと、ここが僕の地元だからです。小学校のイベントでもこのプラネタリウムに来ました。今月でなくなってしまうのは寂しいけど、地元でライヴができてうれしい」と語り、ひとしきり地元ネタで盛り上がった(?)ところで、再び内田とギターの石井竜太が登場。ここからビートのきいた曲を一気にたたみかけていった。
終盤は『グッドナイトイズカミング』にディズニーの『エレクトリカル・パレード』を挿入したり、『トゥーファー』と『S・O・S・O・S』をマッシュアップしたりと、大技を連発。安西は腕に装着したカラフルなパッドを操りながら、ヴォコーダーを使って“S・O・S”のサインを送り、石井は髪を振り乱してエレキ・ギターをかき鳴らし、内田は歌いながら会場を練り歩く。そして最後は「ホワイトデーにこんなところにいるみなさんは、だめな人ーーー!!」という雄叫びから、ヤケクソ・ハッピーなムードの『だめな人』を披露し、ライヴは熱気に包まれたまま幕を閉じた。
終演後はリリース前の新曲『GINGA GO』が流れるなか、「大事な告知を忘れてた!!」と再び3人が登場。「近々アルバムを出して、生まれて初めての全国ツアーに出ます」と告げると、会場から歓声が起こった。最近はthe pillowsのトリビュート・アルバム『ROCK AND SYMPATHY -tribute to the pillows-』に『ハイブリッド レインボウ』のカバーで参加し、Koji Nakamura(LAMA)のニュー・アルバム『Masterpeace』の楽曲を内田が手がけるなど(「DAISY」作詞、「TWILIGHT GIRL」作詞・コーラスで参加)、多方面で活躍しているふくろうず。その先に待ちかまえている新作もまた、ますます刺激的なものになりそうだ。

dwango.jp news

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