L→R 大田紳一郎(Vo&Gu)、吉本大樹(Vo)、徳永暁人(Vo&Ba)

L→R 大田紳一郎(Vo&Gu)、吉本大樹(Vo)、徳永暁人(Vo&Ba)

【doa インタビュー】
このアルバムの曲たちって
どれもどこか切ない

自分たちの真骨頂が
新曲「CATCH」で出せた

ここからはその『MIDDLE COAST』の話に。今作を通して聴いて、このミドルの曲たちがdoaの曲作りの中での遊びや実験も含め、いろいろと自由に楽しみながら作られてきた印象を受けました。

吉本
言われてみると、“こんなことをやってみよう!”的な提案があって作った曲は多いかもしれませんね。例えば「Route 26」は“国道26号を関西弁で歌ってみようよ”ってやってみたら結構楽しくて。
大田
特に歌詞は自由度がありますよね。曲のテーマ的にも自分たちの節目節目を飾る重要な曲がありますし。
徳永
ミディアムのほうが歌詞の幅が広げられますからね。意味のないキャッチーなフレーズを入れられたり、ラブソングも甘すぎず男らしかったり。やはりミドルがあってこそアッパーもバラードも映えますから、いい連結器ではあります。

あとは、みなさんが基調としているウエストコースト感がもっとも出せるし、映えそうな気がします。

徳永
とにかくミドルはハモリが映えます。僕自身、Eaglesみたいなメンバー全員がヴォーカルを取れるバンドをやりたくて、doaを始めましたから。あれから15年が経ったけど、今作を聴き返すと“ちゃんとやりたいことや目標としていたことができてたんじゃん!”ってなりますね。
大田
ミドルは自分のハモりの一番良い部分が活きている気がしていて。僕らの中でもあまり無理せずにできる、どちらかと言ったら得意な曲が多いかも。
吉本
ただ、ライヴではハーモニーがずれないように変な緊張感もあって(笑)。

あと、アップやスローに比べて圧倒的に楽曲に景色感を擁していると思います。

徳永
その感想は嬉しいです。それこそアレンジに関しては景色を思い浮かべながら作ることが多いので。
吉本
確かにリーダー(徳永)からは景色や光景で伝えられることが多いかも。だから、みんな最初からイメージを持ったままレコーディングに臨むことが多いですね。
徳永
特に今回の『MIDDLE COAST』は、今回のベスト三部作の中でも力を抜いて聴いてもらいたいです。通勤通学中に聴くのも、聴き流すのも全然オーケーだし。景色と一緒に楽しんでもらいたいんですよ。いわゆる、その人の目に映っているものと、この曲たちが合わさり混ざり合い、自分なりの物語を作り出してもらえたら本望です。

通勤通学中に聴いたら明らかに違う景色の良い場所に行きたくなっちゃいますよ(笑)。

徳永
そんな時はどうか気の向くまま行っちゃってください(笑)。

ギターソロも情景観豊なものが多いのも特徴的かなと。

大田
そこは毎度悩みどころで(笑)。あとは、アコギのストロークがもっとも気持ちいいテンポではあります。特にアコギはミディアムがより映えますから。

ちなみに今回の選曲や曲順は?

吉本
ファンのみなさんからのリクエスト投票をもとに、前作同様にほぼ上位から順番に並べています。
徳永
だから、それこそ僕らが作ったアルバムというよりかは、ファンのみなさんが選んでくださったアルバムであって。僕らも結果を見てすごく楽しませてもらったし、改めて気付いたところもありました。

それにしてもさまざまな年代の曲が満遍なく収まりましたね。

徳永
この結果から、いろいろな時期にファンになってくれた方がいることや、活動を続けているうちに男性のファンが増えているのが分かるというか。他のテンポの作品に比べ、男心や男性が共感しそうな曲が多く選ばれていたのも特徴かなと。
大田
シングル曲だけじゃなくてアルバム曲も多く選ばれているんですが、それもライヴでやってきたことが大きいんだろうなって。いわゆるお客さんの中で楽曲が育ち、ライヴを通して楽曲が成長していった証拠でもあると思います。

そして、新曲の「CATCH」。これはまさにdoaの真骨頂ですね。

徳永
3人で歌った時にしか伝えられない歌かなと。この歌詞で、このテンポで、この3人でハモって初めて男の気持ちが届く、その辺りがすごく表現できた楽曲になりました。サウンドも“これぞウエストコースト!”って感じだし。このアルバムの曲たちってどれもどこか切ないんですよね。哀愁がある。まさにそれって自分が目指していたEaglesが得意としていた部分で。サウンドはとてもさわやかだったりするんだけど、歌っている内容はすごく切なかったり。そんな自分たちの真骨頂がこの曲では出せたかなと。
吉本
自分的にはdoa史上1、2を争うぐらい歌うのが難しかった曲でした(笑)。リードヴォーカルは僕なんですが、“これを俺が歌ってもいいのかな”と思うぐらい表現するのが難しくて。どのように聴かせたいかのイメージは分かるんですが、自分が歌ってそっちの方向に持っていける自信がなくて。そこで、キーを変えて歌ってみたんです。そうしたら“これだ!”ってものが見えたんです。だから、自分的にはdoaらしい曲ながらも、また新しい側面を見せられたかなって。
大田
もうこの曲はギターリフでしょう。それに絡む切ないメロディーと歌詞、そこを抜けて現れる広々とした場面…というのが、この曲の魅力かなと。
徳永
最初からこの3人のハモりを想定しながら曲作りをしているので、結果、それらがより映える曲になりましたね。3人が互いを補いながら完成させた、“これぞdoa!”という曲です。そう考えると一緒に歌う際の歌の力ってすごいなって。例えば卒業式でよく歌われる「蛍の光」にしても、たぶんひとりで歌ってもあまり感動がないと思うんですよ。みんなで歌うから感動するし、いろいろなことが走馬灯のように浮かんでくる。それがあるからヤンキーまでが泣き出すんです(笑)。それってやはり合唱の力なんでしょうね。みんなで歌う瞬間に響くもの…実は僕がdoaでやりたいことはそこなんです。

それは個々の声質や歌声を活かしつつ、それが合わさった時に足し算どころか掛け算になる力とか?

徳永
そう、そうです! doaはそこを感じてほしくて常に活動しているというか。これからもその辺りは自分たちなりに突き詰めていきたいですね。

取材:池田スカオ和宏

アルバム『doa Best Selection“MIDDLE COAST”』2019年9月11日発売 GIZA studio
    • GZCA-5293
    • ¥3,000(税抜)

『doa 15th Summer Live “open_door” 2019』

9/02(月) 兵庫・神戸VARIT.
9/24(火) 埼玉・西川口Live House Hearts
9/25(水) 神奈川・新横浜 NEW SIDE BEACH!!
10/05(土) 北海道・札幌Space Art Studio
10/14(月) 福島・郡山CLUB♯9
10/19(土) 岡山・livehouse IMAGE
10/27(日) 福岡・DRUM SON

doa プロフィール

ドア:2004年7月にシングル「火ノ鳥のように」でメジャーデビュー以降、楽曲ごとにメインヴォーカルが変わるスタイルと三声のコーラスワーク、ウエストコーストロックに影響を受けたサウンドで、さわやかさと深さ、厚みを兼ね備えたミュージックスケープを展開している。doa オフィシャルHP

OKMusic編集部

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