【Allegiance Reign インタビュー】
日本の文化をたくさんの人に
知ってもらいたい
矢城山武義の生涯を描いた
コンセプトアルバム
そして、今回の長編合戦組曲ですが、まるで映画のサントラ盤のようだなと感じました。
武義
実は今作の裏には物語があるんです。本当はブックレットに載せたかったんですけど、あまりに文字が多すぎてページ数が足りなかったので、HPに日本語と英訳したものと両方載せる予定ではあります。
緋鞘
この作品は矢城山武義っていう人間の話なんです。つまり、『武義物語』ですね。ストーリーに基づいているので、10曲目「Determination~研磨~」は刀を研いでる音だけだったりするんです(笑)。
武義
これは武義が復讐に行く前のシーンなんです。
緋鞘
ストーリーを知らないとわけ分からないですよね(笑)。
あの曲はカッコ良いですよ。ハプシコードに蜩の声が重なってくる感じとか、まさにヨーロッパと和が融合していて、国を超越した“もののあはれ”を感じます。
緋鞘
そんな感じで全体的にストーリーがあって、いろんなシーンが入る流れになってるんです。次作ではまた別のメンバーの…殿だったり、姫だったりの話を作っていく予定ではあります。
武義
今回は“人”を描いた作品ですけど、いずれはもしかすると龍が出るかもしれないです。海外のメタルバンドにはドラゴンがよく出てきますけど、日本にも龍がいるわけですから。人の話はもういいから、早く龍を出したい(笑)。
緋鞘
(笑)。そんな感じなので、戦国時代だけにこだわってるというわけでもないんですよ。
武義
日本のファンタジーですよね。その辺は今後ちょこちょこ出していくつもりです。
具体的には今回の1曲目「Warcry ~開戦~」からラスト「End of a Journey ~終幕~」まで、どういうストーリーなんですか?
武義
もともと百姓出身だった矢城山武義が戦で活躍して、そこからどんどん成り上がってある武将に仕えて、最終的には家臣にまでなるんですが、謀られて戦友を殺されてしまうと。それで武義が怒って、その謀った人間を斬る。その後、追われて、最終的に滝に落ちて終わるんです。
緋鞘
11曲目「Heaps of Bodies and Streams of Blood,Fierce Battle〜屍山血河〜」が10分くらいある曲なんですけど、家臣を斬って逃げている武義が山で追われているシーンであり、曲なんです。それがジャケットのイメージにもなってます。
しかも、Twilight Forceの現ヴォーカリストで、Trick or Treatのメンバーでもあるアレサンドロ・コンティがゲスト参加してるんですよね。
武義
我々が日本公演のオープニングアクトをやった時の『イタリアン・メロディック・フェスト』にTrick or Treatが出演してて、その縁もあってお願いしました。この曲は掛け合いになっているので、アレサンドロと緋鞘が一緒に交互に歌ってる感じですね」
緋鞘
英語パートは彼に任せて、僕は日本語パートを歌ってます。これは日本語と英語が混ざってる曲なので、ちょうど良かったですね。
今作はどんなふうに楽しんでほしいですか?
武義
我々自身は見てくれが武士なのでビジュアル面で興味を持ってもらってもいいし、今作は映画のサントラ風な個性のある曲という面でも楽しめると思います。戦国のストーリーがあるからコンセプト面でも楽しめるし、どこから入ってもらってもいいんで、何かしら好きになってもらえればありがたいですね。MVにもなっている「Ei Ei O〜勝鬨〜」ではタイトル通りの勝鬨ソングを歌ってるんですけど、みなさんも日々何かと戦いながら過ごしているかと思うので、それで元気になってもらえれば嬉しいです。
「Ei Ei O〜勝鬨〜」のMVは小田原城で撮影してるんですよね。
緋鞘
はい。城とか甲冑とか、日本の文化をたくさんの人に知ってもらいたいと思ってて。面白い奴らがいるっていうのをとにかく知ってもらわないと。その上で好き嫌いが出てくると思うんですけど、まずはMVを観てほしいですね。あとは、ぜひ合戦にも参戦していただきたい。今はご時世がご時世なので合戦の予定も延期になってしまう可能性もありますが、一緒に“エイエイオー”をしに来てほしいですね。しばらくは乱世が続くかもしれないですけど、落ち着いたらぜひ共に勝鬨をあげようぞ!…という。それまではこのアルバムを聴いて、士気を高めておいてほしいですね。
取材:舟見佳子