高岡蒼佑くん引退で思い出す演技の素
晴らしさ:ドラァグクイーン･エスム
ラルダ連載323

エスムラルダの「勝手にワイドショー！」

連載第323回　高岡蒼佑くん引退で思い出す演技の素晴らしさ　瀬戸康史くんと山本美月ちゃんが結婚したり、杏ちゃんと東出昌大くんの離婚が正式に決まったり、レバノンで爆発が起こったり、今週もいろいろな事件があったわね。2020年、情報量多すぎ……。

　そんな中、8月3日に、俳優の高岡蒼佑くんがインスタグラムで俳優業からの引退を発表したというニュース、みなさんはご存じかしら。
　アタシもそのインスタを見てみたんだけど、「誇らしくもあり、険しくもあった、役者という道から、本日を持って退かせて頂きます。体力はありますが、気力の限界。全て出し尽くし、演りきりました」など、かなりの文字数を費やして心境が語られていて、いろいろ考えた上での決意だということが、すごく伝わってきたわ。

　ちなみに、アタシが初めて高岡くんを知ったのは20年前。「映画『バトル・ロワイヤル』の生徒役オーディションで選ばれた、期待の新人」的な雑誌かネットの記事で高岡くんが紹介されていたのよね。そのルックスの良さに衝撃を受けたアタシは、当時、よくゲイ友達に「すごくかっこいい子が出てきた！」と布教したものよ。

　ところがその後、高岡くんは、名前を変えまくったり（20年の間に蒼佑→蒼甫→蒼佑→奏輔→蒼佑と改名）、宮﨑あおいと結婚・離婚したり、韓流推しをしているテレビ局などをツイッターで批判して話題になったり、黒めな人たちとの関係が噂されたり、暴力事件を起こして逮捕されたり、すっかり「やんちゃ俳優」「お騒がせ俳優」的な存在に。どちらかといえばお坊ちゃんタイプが好きなアタシ（どうでもいい情報）は、なんとなく高岡くんへの関心を失ってしまったの。

　でも、2011年に観た、宮本亞門さん演出のお芝居『金閣寺』での高岡くんは本当に素晴らしかった。高岡くんは、脚が不自由なことを利用して女性を翻弄する、皮肉屋の青年を演じていて、かなり難しい役どころだったんだけど、その演技にすごく説得力があったの。「高岡蒼佑って、いい俳優だなァ」と、アタシ、あらためて思ったわ。

　なので、今回の発表はかなり残念だけど……本人が決めたことだから仕方ないわよね。
インスタに「いつのまにか自分らしさというものはどこにもなくなっている事に気が付きました」とも書いていた高岡くん。今後はそうした苦悩から解放されて、のびのび生きられますように。ただ、トラブルには気をつけてね……。

＜水曜連載＞※今回木曜更新

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【エスムラルダ：プロフィール】

えすむらるだ…1972年生まれ。94年よりドラァグクイーンとしての活動を開始し、各種イベント、メディア等に出演。2002年、東京都の『ヘブンアーティスト』ライセンスを取得。脚本家・ライターとしても活躍している。著書に「同性パートナーシップ証明、はじまりました。」（ポット出版、共著）
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