【INTERVIEW:Kobore】
そこで見たものしか話せないし、
聞いたものしか歌えない
「ずっとふわふわしていて、感覚を思い出すという以前になんか面白い感じでしたね、いつもにはない緊張感というか。お客さんも行きたくてしょうがないけど行けない、何も言わなくてもマスク越しで伝わるヒヤヒヤした感じというか。やってみて凄く楽しかったけど、この状況が早く終わって、ちゃんとやりたいって思いましたね。ただ、そこでしか出来ないことは出来たんじゃないのかな。いつもは聴けないところを聴いたり、注視してないところが見えたりとか。野外っていうのもあって、いつものライブとは違った感覚を味わえてるようにお客さんから感じましたね。聴いてくれてるなって」
ーー3月には配信ライブも行っていましたが、目の前にお客さんかいない状態でのライブはどうでしたか?
「撮られているという感覚でライブをするのはすごく新鮮で、なんか変な感じでしたね。普段だったら最短距離で僕らのことを見れるのが、撮られている自分がみんなに写されて伝わっているというのは違和感がありました。でも府中Flightは自分たちにとって落ち着く場所だったので、やって良かったと思ってます」
ーー今回のアルバム発売に伴い、全国35ヶ所を回るツアー『HEBEREKE TOUR 2020』が発表されていますね。延期、中止が多い現在の状況下で、このツアー決行の決め手となったものはなんでしょうか?
「決め手というか、もう走り出しちゃったんで(笑)。走るしかないよね、って感じ。あと、この状況の中で、次とか言っていられないような気がして…。今35ヶ所回らないと、来年には無くなってるライブハウスがあるんじゃないかって。だから今やらなきゃって思ったんですよね。行きたいところに今行かないと、このアルバムをこの日に出した意味もないなと」
「“デフォルト”みたいなことはしたくないと思っています。元々こういうことを言おうとか決めてライブはしないようにしてる。その土地でしか言えないことがあると思うし、そこで見たものしか話せないし、そこで聞いたものしか歌えないし。その土地に合った、出逢った人とかを意識しながらそこでしかできないライブをしたいなと毎回思っていますね。ツアー先で散歩をするのが好きなので、そこで見た風景とかをアルバムに因んで話していければと思っています」
ーー散歩をするのがお好きという話がありましたが、今まで沢山の場所を回った中で特に記憶に残っている風景はありますか?
「島根県とか‥なんにも無くて良いですよ(笑)。なんにも無いところがめっちゃ好きで、邪魔なものが無いと言うか。風景は風景だけど色が多い風景が好きじゃなくて。島根県は本当に単色の景色がずっと流れているっていう感じが好きです。そういう色が少ない景色を見ると、自分でも溶け込んで良いんだって思わせてくれるんですよね」
ーー現在弾き語りツアーを行っていますよね。バンドとしてのツアーとは別に、弾き語りツアーを行う理由はなんでしょうか?
「画面越しで発信できるメディアは沢山ある中で、僕たちはずっとライブバンドとしてやってきたのでそこだけは絶対にブレたくなくて。実際に来てもらって、僕の音楽を聴いてもらった方が話は早いと思ったし。どうにかして行きたい所に行きたいって思った時にガイドラインが発表されて。これだったら弾き語りできるじゃんと思って、“やろう”って。キャンセルになってしまった所をひたすら書き出していって、今回その6ヶ所を回るツアーに至りました」
ーーライブやイベントの際に、スタッフに求めることは何かありますか?
「僕も元々ライブハウスの店員だったので…、“笑顔”じゃないですかね。人当たりの良さとか。素っ気ない感じはちょっとライブハウスっぽくないなって。あとフランクに接してくれるような人が1人いたらもっとライブハウスは明るくなるんじゃないかなとは思います」
ーーメジャーデビューを超えた今、今後の目標はありますか?
「ジャンルを無くしたいなと思ってます。ギターロックとかエモーショナルバントとか、意味の分からないジャンルをいっぱい耳にしたりしてて、このバンドはこうだっていう話になっちゃうのは勿体無いと思うんです。僕はみんなに色んな人に出会って、色んな音楽を聴いてほしいと思ってる。だからkoboreは色んなジャンルの音楽と戦えるようになりたいし、そういう壁を越えてお客さんと通じ合えるようなバンドになりたいと思っています」
ーーそれでは最後の質問になります。漠然とした質問になるのですが、あなたにとって音楽とは?
「ラストむず!(笑)。音楽は唯一触れられないもので、温度とか、そういう人間味とかを感じられるものだとは思っています。これ聞けって言われて聞くようなものじゃないと思うし、勝手に流れてくるぐらいがちょうど良いものだとは思っているので。イヤホンから流れてきた曲で熱量だとか、今回のタイトルじゃないですけど、この曲聴くとあそこの場所思い出すなあとか、そういうものであって欲しいなと思いますね」
取材:丸山桃花・備前桐香
(日本工学院専門学校 蒲田校 コンサート・イベント科)
撮影:うつみさな
末田波輝(日本工学院専門学校 蒲田校 コンサート・イベント科)
関連ニュース