【林青空 インタビュー】
めちゃくちゃ私の歌の魅力を
伝えられる一枚になった
家でギターを弾きながら作るので
その空気感が伝わるかなと思って
2曲目の「白いワンピースを着て」ですが、これはワルツ調かつジャズテイストの楽曲ですが、いつ頃にできた曲ですか?
これは昔からある曲で、ライヴでも歌ってたし、会場限定で弾き語りCDを自分で売ってた頃からある曲なんです。この曲だけです、ワルツ調の曲は。4年前くらいに作ってずっと歌っています。今回は初めてアレンジがされたバージョンで収録したんですけど、たぶん弾き語りで聴いたことがある人は“こんなんになるんや!”っていう驚きが大きいと思いますね。逆に、このシングルで知った人には弾き語りも聴いてほしいですね。曲を作った当時、私は白いワンピースでステージに立ってて、そのステージに立ってる私を客観的にも主観的にも見て書いた自分自身の曲なんです。それを踏まえて聴くと違った感じで聴いてもらえるかなって。ライヴでは定番の一曲になっています。
その経緯を知らずに聴いたんですが、歌詞を見た時に“白いワンピースで武装していれば強くなれる!”と思いつつも、《何だって我慢できるわ》というフレーズが自分に言い聞かせた“つよがり”にも感じたんですよね。
そうなんです! 伝ってて嬉しいですね。でも、強くなれるけど弱いところも見てほしいし、気づいてほしいっていう楽曲なんで、それをワルツ調にすることで揺れながら華麗に歌ってる姿をより想像してもらえるかなって。弾き語りから広がって、みんなにどんなふうに聴いてもらえるかドキドキしています。
コーラスもいろいろな方が入っているのは、今までなかったんじゃないですか? これもアレンジで変わったところ?
変わりましたね。もう弾き語りバージョンのCDは販売してないからライヴでしか聴けないですけど、《ラッタッタ》という自分の声が入っていて、それはひとりで踊ってるところをみんなは想像しててくれたと思います。なので、“ここで他の声が入るんや!?”と驚くんじゃないかな? 私もこのアレンジで初めて聴いた時、“うわっ、人がおる!”って思ったんですけど、聴いたり歌ってるうちに曲の中で踊ってる女の子はひとりじゃなくてみんなの中で踊って歌ってるんやなと思えて。女の子の姿をアレンジによってより表現できたというか…まったく別モノになりました!(笑) 弾き語りの時は“自分が躍っている女の子”という感じでしたが、いい意味で少し離れた感じになりましたね。
3曲目には「秋風 –stay home ver.-」が収録されています。この楽曲は2015年頃には歌われていましたよね。
この曲は私が初めて作ったオリジナル曲なんです。大学2年生の時に作った曲で、“一枚目のシングルに入れさせてください”とお願いして収録してもらいました。CDにどうしても残したかったんですよね。そして、ステイホームバージョンということで、今住んでる自宅で録音したものを入れさせてもらいました。ちょっと何か音が入ってるしみたいな(笑)。
ということは、一発撮り?
そうです。一発撮り! 初めて曲を作った時は実家でしたけど、部屋の中でギターを弾きながら口ずさんで作って。今も変わらず家でギターを弾きながら曲を作っているんですが、その空気感が伝わるかなと思って。このバージョンはすごく気に入っています。
確かに、今回のシングルから林さんを知る人には弾き語りの「秋風」があることで、今までの林さんの楽曲の魅力を知れるんじゃないかと思いました。なので、この一枚はお得な内容になっているんじゃないかと。
あははは。ありがとうございます。完全に弾き語りの音源は初めてになりますので。
そうですね。完全弾き語りの音源となると。そんな聴きごたえたっぷりな本作が完成しての実感はいかがですか?
私にとっては最新の曲と一番古い曲が入っているからちょっと恥ずかしいというか、照れくさい気持ちはありますね。しかも、ありのままの姿が見える「秋風」とポップな「ハイヒールシンデレラ」が入ってるという。このシングルで初めて私を知ってくれた人には、“私を全部知られる”っていう感覚があるから(笑)、ちょっと照れくさいけど、めちゃくちゃ私の歌の魅力を伝えられる一枚になったと思います。
では、最後に先ほどもライヴがなくなって落ち込むこともあったという話もありましたが、今の状況の中一番やりたいことは何でしょうか? 聞かずともライヴな気はしますけど。
(食い気味に)ライヴです!(笑) 最初はアルバムのツアーがなくなって…リハーサルもめっちゃ頑張ってしてきたから、それが一気に全部なくなったっていうことで残念だったけど、最近は配信のライヴがあったり、シングルもリリースする…リモートで亀田さんとやりとりをして、こんなに素敵な楽曲が出来上がったし、いろんな手段や楽しいことがいっぱいあると気づけたから、“今できることをやるほうが楽しいな”って思っています。新曲の種もいっぱいあるので、わりと早い段階で届けられるかもしれないし…でも、やっぱり早くライヴがしたいです! みんなに会いたいですね。
取材:岩田知大
「ハイヒールシンデレラ」MV
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