【chay インタビュー】
“ハート”にピントを合わせた
ベストアルバム
デビューから8年。これまで等身大のラブソングをハッピーに歌い続けてきたchayが、初めてのベストアルバム『Heart Box』をリリースする。プライベートで結婚した今の心情を込めたという新曲2曲とともに、ハートフルな作品について語ってもらった。
“陽”な作品を作らないとという
使命感があった
初めてのベストアルバムがついに完成しましたね。
すごく嬉しいです。ベストアルバムをリリースすることはひとつの目標でもあったので、こうして実現したことは感慨深いですね。選曲の時にシンプルに過去のシングル曲を並べる手法もあったと思うのですが、制作途中に世の中がステイホーム期間となり、改めてどうしようか考えたんです。その時に“chay=陽”というパブリックイメージがあるからこそ、ハートフルでハッピーな一枚にしたいという使命感が生まれたんですよね。なので、今作は“ハート”にピントを合わせた、コンセプチュアルなベストアルバムにしました。ベストアルバムと言えども、新たに一枚のアルバムを作ったような感覚に近いです。
デビュー曲も収録しているからこそ、当時の感覚を思い出したのではないでしょうか?
ありましたね。タイムスリップをしたような感覚になりました。基本的に“今”ということをすごく大事に曲を作っているので、その時にしか感じられない言葉や気持ちを歌詞や曲にするようにしています。だからこそ、デビュー当時の曲を聴くと“こんなことを思っていたな”とか、“こんなことで悩んでいたな”とすごく懐かしい感情になりました。デビューから年齢を重ねて、状況や環境が変化していけば価値観や考えることも変化して当然だと思っているので、これからもその時々の気持ちを大事に歌っていきたいと改めて思いました。
特にその時の想いを感じたのはどの曲でしたか?
「好きで好きで好きすぎて」は若さを感じますね(笑)。今となっては書けない曲だし、こう思っていたとしても表面には出さないと思うんですよ。でも、そういった想いを振り返ることができるのもベストアルバムの面白さですよね。
CD初収録の「Together」はライヴでの人気曲ですね。
はい。デビュー前に路上ライヴをしていた頃から歌い続けている曲なので、すごく思い入れが強いです。これまでリリースするタイミングはたくさんあったのですが、どこかしっくりこなかったんですよね。でも、ベストアルバムには絶対にこの曲が必要だと思って。ファンのみなさんにとっても、ライヴでしか聴けない曲だったので、みなさんと一緒に成長した曲だと思っています。書いた当時はとても真っ直ぐでピュアなラブソングだったのですが、どんどん変化していって、今ではファンの方とつながっていると感じさせてくれる曲でもあるんですよ。
その変化はすごく面白いですね。
この曲はMVも作ったのですが、今まで出したことがなかった10年前の路上ライブの映像を主に使っているので、改めて観たらすごく感慨深くなっちゃって。ファンの方もたくさん映っていますし。私にとっても原点の曲ですし、幕開け感のあるイントロも気に入っているので、いろいろな意味で1曲目に相応しいと思っています。でも、“ライヴでしか聴けない=特別な曲”という感覚もあったから、寂しいというコメントもあって、本当にみなさんがこの曲を愛してくださっていることが分かって嬉しかったですね。
さらにベストアルバムにもかかわらず新曲が2曲収録されていて、太っ腹さを感じました(笑)。
あははは。この作品は結婚発表後初のリリースになるので、新曲はどちらもウエディング感を意識した曲になりました。結婚するに至ったきっかけとしては、どんなにきれいな花束の輝きよりも、何気ない日常や時間が私にとってはすごく大切で、すごく幸せなことだと思ったからなんです。その想いをこのアルバムに入れたかったので、作詞家のヤマモトショウさんとディスカッションしながら制作していきました。
しっかりとしたディスカッションが行なわれたんですね。実際に結婚してみて、どんな心境の変化がありましたか?
彼とは出会って10年くらい経つんです。もともと結婚願望はありましたが、仕事が優先だったので、時期は決めていませんでした。でも、結婚をするならこの方だと決めていたので、すごく自然な流れだったんです。
生活の基盤ができたことで、生まれてくる歌詞や曲も変わってきそうですね。
そう思います。今までは「好きで好きで好きすぎて」のように、その瞬間のときめきや胸の高鳴りにフォーカスを当てて書いてきた部分があったのですが、今は日常に転がっている幸せや、大きな愛に変わってきていると思うんです。今作でも「花束」にはそれがすごく色濃く表現されているように思います。
確かにそうですね。あと、もう一曲の新曲「永遠の針」もそのタイプの曲になりますよね。
はい。自分で作曲したバラードってあまりなかったから、ちゃんと作りたかったんです。今回、ステイホーム期間中に時間ができたこともあって、すごく新鮮な気持ちで作れたので、曲にもその雰囲気が出ていると思います。