首振りDolls × 柴山“菊”俊之

首振りDolls × 柴山“菊”俊之

首振りDolls、
マンスリーインタビュー第20弾の
ゲストは柴山“菊”俊之

令和という時代に音を掻き鳴らすバンド首振りDolls。 メインコンポーザーであるドラムボーカルのナオとギターのジョニー・ダイアモンドは、現代のロックシーンに身を置きながらも、自らが生まれ育った九州が生んだロックバンドへの強い憧れと尊敬は、今も覚めやることはない。

今回は、そんな2人の原点とも言える、日本のロックバンドの草分け的存在サンハウスのボーカリストであり、Zi:LiE-YA、Electric Mud、BLUES LION、Rubyなどのバンドを率いるボーカリストであり、作詞家としての顔を持つ地元の大先輩・柴山“菊”俊之をゲストに招いて鼎談を行うことに。九州から上京するときに、本棚から大切に抜き取って持って来た柴山の自伝を毎日読み返しながら初の対面を心待ちにしていたというナオと、嬉しさのあまり前日一睡も出来なかったというジョニー。そんな2人に、憧れの“菊”がかけた言葉とは?

柴山“菊”俊之 × ナオ・ジョニー
(首振りDolls)monthly interview

いろんなアドバイス貰って、
試行錯誤して。
でも、やりたくないことはやらなかった

首振りDolls × 柴山“菊”俊之

首振りDolls × 柴山“菊”俊之

――サンハウスは2人の憧れであり、今もこうしてバンドを続けていられる原点となっているバンドでもあるので、憧れの“菊”さんを目の前にして、放心状態です(笑)。
柴山:何をそんな。
ナオ:いえ、本当に。かなり緊張してます!(※鼎談後、柴山さんが帰られた後、“うわぁぁぁ。菊が居た、、、!”と悶えていた2人でした)
ジョニー:本当に、鼎談受けて頂いてありがとうございます。
ナオ:本当にお会い出来て感激してます。
柴山:そうか(笑)。
ジョニー:はい! 俺、小倉で、人間クラブの南浩二さん(※日本のロックバンドの草分け的存在である、ルースターズの前身バンド人間クラブのボーカル)がやっていらっしゃったバーによく通っていたんです。
柴山:俺も南のやってるバー、一回行ったことあるよ。
ジョニー:あ、本当ですか!? 俺、そこでサンハウスを初めて聴かせてもらったんです! “お前、サンハウス知らんのか!? 聴け!”って、叱られて(笑)。
柴山:あははは。無理矢理聴かされた?
ジョニー:いえ! “サンハウスは絶対に聴いとけ!”って、いろいろ教えてもらいました! そこからもぉ、俺はずっとサンハウス好きなんです!
柴山:ありがとう(笑)。いい奴だったよね、南(※2010年9月11日に脳出血のために死去)。
ジョニー:はい! 南さんもめちゃくちゃ尊敬してました! もちろん、柴山さんのこともめちゃくちゃ尊敬してます!
ナオ:俺も柴山さんのこと憧れなんです! 俺が長髪にしたのも柴山さんに憧れてだし、ステージ衣装で着物着てるんですけど、着物を衣装にしたのも柴山さんの影響だったりするんです。歌い方というか、声もそうで。もともと声が高いんですけど、それが自分的にも嫌で、柴山さんみたいに歌いたくて頑張って真似て歌ったりとかしてたんです。
柴山:あ、そうなの?

ナオ:歌詞を書くときも、毒を持って書く意識をしたのも、柴山さんへの憧れからなんです。柴山さんの書かれる歌詞って独特なので。
柴山:いやぁ、そんなことはないよ。普通と思うけどね。でも、当時はフォークが流行っていたんだよ。チューリップとか井上陽水とか。フォークが全盛の頃だったからさ。フォークの歌詞ってだいたいあんな感じになってしまうというか。自分はブルースバンドをやっていたんだけど、日本でマディ・ウォーターズみたいに歌っている人は居なかったから。そこまで考えて書いていた訳ではなかったけど、他のバンドと同じことはしたくなかった。深くは考えていなかったけど、逆にそれが良かったのかもしれない。
ナオ:「キングスネーク・ブルース」の歌詞をカッコ良く歌えるのは、本当にそういう人じゃなくちゃ歌えないだろうなって思うんです。
柴山:そんなことないよ。俺はあんな人じゃないから。まぁ、うん、あんな人じゃないと思うよ、たぶん(笑)。自分では分からないけど(笑)。でも、ああいう歌詞が好きなんよ。本当の自分じゃなくてもいいから、スタイルとして魅せるときに分かりやすいというか。自分を鼓舞して大きく魅せる感じ。自分自身と蛇というダブルミーニング。そういうのはブルースの基本でもあって。ただ、それを幼稚だって言われたりもしてた。
ナオ:あぁ、そのお話、柴山さんの自伝『菊の花道』にも書いてありましたよね。
柴山:そう。嫌われていたからね。サンハウスというバンド自体が。当時バンドと言ったらサンハウスくらいしかなかったから。本当に周りはフォークだらけだった。ハコ(※ダンスホール専属で演奏していたバンド )のバンドくらいしか居なかったから。俺たちも最初はハコバンだったから、ハコバンを毛嫌いすることはないっちゃけど、途中でハコを辞めて、米軍キャンプでずっと演奏する様になったんだよね。それがバンドにとってはすごく良かったと思う。佐世保とか板付とか、海の中道にも米軍キャンプがあったから。金土日はずっと出てた。そこでの経験がすごく勉強になってた。
ジョニー:どれくらいの本数やられてたんですか?
柴山:45分ステージやって15分休憩して、っていうのを7本。3日間連続で。
ジョニー:す、すげぇ。
柴山:最初はすぐに声が出なくなった。2日目でもう声が出なくなって、3日目までなんとか歌い切って、翌週金曜日までに喉治して、また週末ステージをする。それの繰り返しだった。
ナオ:すごいですね。イベントを1バンドでやってるみたい。
柴山:それで喉も強くなったのかもしれんね。でも、その頃は、自分達のレコードを出すっていう頭は無かった。

ナオ:ライヴをやることで音楽を続けていたいってとこだったってことですか?
柴山:そう。大学に行ったのも就職したくなかったからだったし、大学卒業したら就職しなくちゃいけないから、それが嫌で結局7年通ったし。親がものすごく厳しかったからさ。
ジョニー:そうなんですね!
ナオ:そういえば柴山さん、中学生の頃はめちゃくちゃ悪かったとか(笑)!
柴山:子供の頃ってのは大概悪いでしょ。誰でも。俺も悪かったね、中学の頃までは。
ナオ:柴山さん、ご出身が天神ですもんね。悪くない訳がない、みたいな(笑)。
柴山:そう。土地柄的にね。ガラ悪かったから。先輩達もそういう人達ばっかやったから。でも、高校の頃に音楽が好きになって、そこからは音楽に夢中になった。そこからは更生したね。音楽に救われたと思うよ。きっとあのまま悪かったら、今頃ここに居ないかもね。先輩の鉄砲玉みたいになってたりして死んでたかも。それか、刑務所とか入ってたかも。当時、音楽やってる奴は不良って言われよったけど、俺は音楽に出逢って真面目になったみたいな感じやったから。
ジョニー:おぉ。いい話ですね!
ナオ:柴山さんが長髪になったのはいくつくらいの頃なんですか?
柴山:高校卒業したくらいじゃなかったかな。最初に行った高校は1週間くらいでクビになっちゃって。その後に行った高校は剣道の強い高校で。俺、小学生の頃から剣道をやっていたから、それでダブることなく6月から入学させてもらえて。その高校を卒業するくらいに長髪になってた。
ジョニー:柴山さんは最初からボーカルやったんですか?
柴山:いや、俺は最初ドラム。ドラムがしたかったからね。でも、ボーカルが辞めて居なくなっちゃって、それで先輩に言われて歌わされることになったんよ。そこから歌う様になった。だからドラムは1年くらいしかしてない。歌うのは、最初ものすごく嫌だったけどね。周りからも“ドラムの素質があるから、ドラムをやった方がいい!”って言われてたけど。まぁ、流れで歌うことになっての今だね。ロックと歌謡曲のリズムは違うから、ロックを歌うには、ドラムを経験していたことはすごくプラスだったと思う。出来ることなら、ボーカルはドラムを経験したほうがいい。リズム感が良くなるから。
ナオ:ドラマーからボーカルになった方って、何気に多いですもんね。
柴山:そうかもね。俺は本当に最初の頃、歌うのめちゃくちゃだったけど。

ナオ:いやぁ、柴山さんみたいに歌いたくて憧れたんですから! あんなに独特な歌い方なさる方って本当に他に居ませんから。あの、歌詞の話に戻ってもいいですか? 毒々しさをそこまで意識させていなかったっておっしゃってましたけど、本当に全くですか?
柴山:最初は意識していなかったけど、ドアーズのボーカルだったジム・モリソンの歌詞に影響されているところはあった。16歳の頃だったかな、世の中的にグループサウンズみたいなのが流行っていて。その頃に、ジム・モリソンが、“自分はポップスとかではなく、独自の世界観を追求した楽曲と歌詞で音楽をするんだ”って言ったっていうのを聞いて、そこに感化されたのはあったかなと。ジム・モリソンとか好きだったから、好きだった人の影響を受けたというだけで、特に毒々しい音楽をやりたいと思ってやってた訳ではなかった。サンハウスをしていたときも、日本語で歌うロックをやる人達がそう多くは居なかったけども、居なかった訳ではなかったから、よく似た歌詞で歌ったり、よく似たことをやったりしても面白くないし、全く目立たないと思ったから。とにかく人と違うことをやろうと思っていろいろとやってただけで。ただそれだけだったんだけど、それが良かったんじゃないかと思っているけどね、自分を駆り立てる意味でも。俺、恥ずかしがり屋だから。
ジョニー:え!? そうなんですか!?
ナオ:めちゃくちゃ意外です!
柴山:いや、そうだよ。恥ずかしがり屋だし、あがり症だから。もともとステージに上がったりするときは、毎回緊張していたし。今でもその緊張は毎回あるからね。柴山俊之としてステージに上がっても、最初の頃はなかなか独自のキャラクターを作れなくて。それもあって、柴山俊之が、“菊”というキャラクターに指示する、という感じにしたというか。そうやって自分を切り替えていかないと出来なかった。そうやって自分のスタイルを作っていったんだよ。当時、着物着たりしてステージに立ってる奴が居なかったから、珍しかったんだと思う。最初は全然だったんだけど、突然人気が出た感じだってさ。ずっと嫌われ者だったからね、福岡で。ライヴとかしても誰も来ないし。でも、そんな中、突然お客さんが来始めたんよ。
ジョニー:何かきっかけがあったんですか?
柴山:きっかけは、女子高生。こんな言い方したらなんだけど、お嬢さんが行くお嬢さん学校の学生が、突然ライヴに来始めて。きっと、フォークが流行っていて、そこに飽きたんだろうね。ちょっと違うモノに手を出してみたいと思った文学少女達にハマったみたいで。たまたまそういう子達が、俺みたいな奴を見て、面白かったんじゃない? 自分達の上流家庭には無い刺激があったんだと思う。本当に突然、びっくりするくらい来始めたんだよ。
ジョニー:ほぉ。
柴山:そう仕向けてやった訳じゃなかったから驚いたよ。そういうのって、やろうと思ってやるものじゃなかったりするからね。サンハウスもみんなが着物を着ていた訳じゃなかったし。俺以外のメンバーは普通の格好をしていたから。そう思うと変なバンドだったなと。
ナオ:いえ! そこがカッコ良かったんです!
柴山:そう(笑)? 首振りDollsはバンドとしてなんとなく統一したイメージがあるけど、サンハウスは本当にバラバラだった。俺はグレイトフル・デッドとか好きなんやけど、デッドの様な、Tシャツに破れたジーンズを着てる様なアメリカの暗いバンドみたいな感じのところに、1人ド派手なグラムロック的風貌の奴が居たって感じだったから。結構大変やったよ。
ジョニー:ほぉ。でも、それがカッコイイと思えるんです。誰もが出来ることじゃなかったと思うから。

ナオ:うん。絶対そうだよね。女子高生がサンハウスを見つけて集まって来た時期と米軍キャンプで演奏していた頃は同じ時期なんですか?
柴山:いや、違う。米軍キャンプの時期はその前だった。ブルースを辞めて、日本のロックを歌う様になった頃は、もう米軍キャンプは無くなっていたからね。米軍キャンプのときに本当に鍛えられたなって思う。ただのコピーだったら兵隊さん聴いてくれずに帰っちゃうからね。俺たちがそこで演奏する理由として、お店に入って来て兵隊さん達が呑みながら演奏を聴いて、そこに長く居て、お酒をたくさん飲んでくれることだから。演奏に興味持って貰えなくてお客さんが帰って行っちゃったら、俺たちがそこで演奏する意味がない。でも、なかなかお客さんを引き止めることが出来なくて、いつも店はガラガラで。オーナーにいつも怒られてた。
ジョニー: はぁぁ、、、、、。そんな感じだったんですね。信じられないなぁ。
柴山:そこにはゴーゴーダンサーっていうのも居て、その人達からも、“もっとこうした方がいいよ!”とかいろんなアドバイス貰って、試行錯誤して。でも、やりたくないことはやらなかった。やりたいことだけをやる様にして。相手は米軍の兵隊さんだから英語しか通じないんだけど、だんだん英語でMCしなくても音だけで喜んでもらえるようになって。日本人の前でやったらウケないかもしれないけど、米軍キャンプならではのノリみたいなのを掴んで、お客さんを楽しませられる様になっていったね。

OKMusic編集部

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