勅使川原三郎が新作『去年』を上演~
映画「去年マリエンバードで」に想を
得た、記憶と身体をめぐる迷宮世界
勅使川原三郎ダンス公演『去年』フライヤー 裏
勅使川原は作品に寄せたコメントの中で、「去年マリエンバードで」の鍵でもある「記憶」への関心を述べている。また、このところ年に2回の公演が定着しているシアターXの劇場空間をこれまでと全く違った形で使う意欲も語っているという。詩や小説といった文学、それに音楽などにインスピレーションを受けて数々の傑作を生みだしている勅使川原が、時代を超えて孤高の存在感を示す映画からヒントを得て、新たにどのような世界を立ち上げるのか刮目したい。
記憶の際の巨大な沈黙の館の架空の登場人物
反転した時間 交わらない視線上の終わりのない沈黙
十代後半の記憶です。
確かに記憶への興味は絶えないのです、私にとって記憶とは、頭脳で操作する遠近法ではなく、不確かに記録した身体内に置き去りにされた消えつづける煙のようなものを物質化する遊戯のようです。遊戯としての記憶と希薄な身体と1時間をさかのぼりまよい途方にくれる。螺旋状に女は蒸発しつづけ男は常に決して勝てないゲームをつづける。
文=高橋森彦
SPICE
SPICE(スパイス)は、音楽、クラシック、舞台、アニメ・ゲーム、イベント・レジャー、映画、アートのニュースやレポート、インタビューやコラム、動画などHOTなコンテンツをお届けするエンターテイメント特化型情報メディアです。