【アマアシ インタビュー】
イメージしていた夏が来なくて、
いつも通り暑苦しい夏が来ちゃったね
2013年の結成以来、着実に歩み続けてきたアマアシが新曲「ナツノカゲロウ」を配信リリースした。さわやかに躍動するバンドサウンドと瑞々しいコーラスで彩られているこのサマーチューンはどのようにして生まれたのだろうか? そして、このバンドの活動の軌跡とは?
もともと歌メロがきれいで、
やさしい声の音楽が好き
結成は2013年1月ですが、どういう経緯で始まったバンドなんでしょう?
夏目
僕とドラムの横井がよく出ていたライヴハウスで対バンしたことがあって、その時に僕がやっていたバンドが残り3回で休止することになっていたんです。でも、僕はバンド活動を続けたかったので、メンバーを探していたんですね。で、横井に声をかけたら同じサークルにいた石黒も連れてきてくれました。
石黒
当時の僕らはサークルのコピーバンドがメインだったので、月に1、2回のライヴに向けてバンドを組んだり、ばらしたりの繰り返しだったんです。だから、決まったメンバーのバンドを続けている感じではなかったんですよね。
横井
なので、“サークルの外でやっていけるようなバンドを一緒にやらない?”って、僕は石黒を誘いました。
もともとはもうひとりギタリストがいる4人編成だったそうですが、やりたい音楽のイメージはどのようなものでした?
石黒
僕は誘われた時、そもそも夏目くんのことを知らなかったんです。YouTubeの動画を観て、“歌がうまいな”という感じだったんですけど、具体的にどういう音楽をやるのかは分かっていなくて。このメンバーと一緒にやるということしか決まっていなかったんですよね。
横井
僕は対バンした時にビジュアルがカッコ良いし、曲もカッコ良いと思っていましたよ。
夏目
インタビューなんで褒めてくれています(笑)。僕の中では勢いのある曲をやりたいというのがあって、横井はそういうドラムを叩いていたので誘ったんですよ。石黒も一緒に音を合わせてみせて、ポテンシャルが高いベーシストであることがすぐに分かりました。
石黒さんと横井さんはサークルでどんな音楽をやっていたんですか?
石黒
横井くんとやっていたのは9mm Parabellum Bulletとかのコピーですね。
横井
あとは、チャットモンチーやストレイテナーとか。
オリジナル曲のためにアレンジを考えて弾くのは、サークル時代はやっていなかったんですね。
石黒
やっていなかったです。そういうのはこのバンドに入ってからなので。
夏目
当時は“残響系”と呼ばれるようなバンドが流行っていましたし、僕はそういうギターのサウンドに魅力を感じていたんです。だから、そういうものを自分でもやってみたいって思っていましたね。あと、もともと歌メロがきれいで、やさしい声の音楽が好きだったので、そんな要素も入ったバンドになっていきました。僕、ギターを始めた高校の頃からコード進行のきれいな流れの音楽に魅力を感じることが多かったんで、それがこのバンドにも活かされていると思います。
石黒さんと横井さんはオリジナル曲に取り組みながら、どのようなことを感じていました?
横井
“どうしたらいいんだろう?”みたいな気持ちもあったりしました。
石黒
当時の僕はコードとか分からなかったので、鼻歌で考えながらベースのフレーズを考えていました。“ダメなところがあったら直してください”っていう感じで気楽にやっていましたね。何も分からないからこそやれていたというのもあったと思います。
手探りの部分はありつつ、最初から曲作りは順調に進んでいました?
夏目
そうですね。ギターとメロディーだけの音源を渡して、スタジオで音を合わせたものを録音し、それをバイト先で聴きながらワクワクしたのを覚えています。そういうことをやりつつ、ライヴばっかりやっていました。
ホームページに掲載されている公式プロフィールを読むと、オーディションとかコンテストでコンスタントに結果を出していたみたいですね。
はい。
石黒
イベントに出てベストパフォーマンス賞みたいなものをもらったりしたんですけど…そのイベントがもうなかったりして、プロフィールにどう書いたらいいのか分からない感じなんです。まぁ、何らかの賞ということで(笑)。
夏目
曲ができた時も“うわっ、いい曲ができた! ヤバい!”という感じではなくて、“これで大丈夫なのかな?”という気持ちでやっているバンドなので、コンテストみたいなのも半信半疑なんですよ(笑)。曲に関してもTwitterの反応を見て、“あっ、いいんだ! じゃあ、ライヴでやろう”みたいな感じなんですよ。
SNSの反応に支えられてきた?
夏目
それはあると思います。あと、曲作りに関してもネットに支えられています。僕と横井はスタジオで一気に作れるタイプではなくて、家でじっくり聴き込んで考えつつ、オンライン上でやりとりするのが一番スムーズなんです。
そういう活動をずっと重ねてきたんですね。
夏目
はい。鳴かず飛ばずな感じのまま、この3人で何年間も続けてきました(笑)。この3人のお互いの距離感は、いい意味で一歩引いているような関係なんです。なので、ここまでうまくやってこられたのかなと思います。
これだけの年月、ゆるゆるとやり続けられているのは結構すごいことですよ。もともと学生だった石黒さんと横井さんは、就職せずにバンドの道に進むことに関して躊躇はなかったんですか?
石黒
最初に誘われた時、一回断ったか返答をはぐらかすかしたと思います。就職するつもりだったので。でも、“まぁ、いっか! 音楽好きだし、入っちゃおう”と(笑)。
横井
僕も“音楽やりたいなぁ”っていう気持ちでしたね。
2018年に2人目のギタリストが脱退しましたけど、この3人に関しては揺るがずに歩んでいるという感じですね。
夏目
僕は辞めようと思った時期が一瞬ありましたけどね。活動を続ける中で、あまりにも何も起きないから、何かを生み出すエネルギーがなくなってきちゃったんです。でも、ありがたいことに、こうして続けていくことができました。
2018年にギタリストが抜けた時点で、また新しいギタリストを探すという考えはなかったんですか?
夏目
なかったです。さすがに2連続でギタリストが抜けたので、もういいかと(笑)。この3人になって妙に落ち着いた感じもありましたし。
やはり“ゆるゆると地道に活動してきた”というバンドみたいですね。