閉塞した世の中をぶち壊す夏に相応し
い熱狂を。PENICILLINが催した「祭り
2021」公演レポート!!
祭りとは、己を心の底から開放するイベント。その神髄をお前ら忘れてないだろうなと言うように、続いてPENICILLINは超攻撃的なスラッシュパンキッシュチューンの「Just a kiss on your 3rd eye」を観客たちへ突き刺した。浮かれはしゃぐのもいいけど、暴れることも忘れるな。それこそが、俺たちが求めている祭りの神髄だろうという意志を示す演奏だ。千聖のギターが、理性というボーダーラインを乗り超えてぶつかってこいよと煽るように音を響かせた。「border line」、身体の内側から気持ちを熱く沸き立てる楽曲だ。メロウで切ないHAKUEIの歌声に少し心を濡らしながらも、火照る気持ちを覚えていたせいだろう、何時の間にかメンバーらと一緒に感情を熱く高ぶらせていた。
騒ぎたいジレンマへ刺激を与えるように、PENICILLINは「BLACK HOLE」を突きつけ、もっともっと心を開放していいんだぜと言うように攻めてきた。観客たちもその場で手や身体を揺さぶりながら、高ぶる気持ちを少しでも解き放とうとしてゆく。
続く「Stranger」では、妖しげな闇の空間へ観ている人たちを誘い出す。切なさに浪漫を感じたいとき、この歌が気持ちに寄り添ってくれる。危険な香りを放つクールでスリリングな楽曲だ。でも、こういう曲が名バイプレイヤーのように、ライブへ必要な彩りやアクセントを与えてゆく。
メンバーみんな、この日は浴衣姿。O-JIROにいたっては、頭をお団子ヘアにして登場。千聖は浴衣ではなく着物だそう。みずから「浴衣を着てたらゆかった(良かった)と言おうと思ってた」と、さりげなくギャグをブチ込んでいた。場内にも浴衣姿の人たちも多く見かけたように、誰もが「祭り」というライブに相応しく、夏気分を楽しんでいた。
ふたたびダークでスリリングな空気が会場中を包みだす。途轍もない熱を孕んだ歌声や演奏が「透明人間パルサー」を通して沸きだした。サビで一気に感情を解き放った瞬間、僕らも一気に心解き放たれた気分になれる。その不思議な高揚感へ触れるたび、病み付きになる。
ここから一気に攻めてやるぞと言わんばかりに、PENICILLINは「赤裸の境界」を歌唱。気持ちを奮い立たせるように熱く歌うHAKUEI。その声をザクザクとした攻めた音で煽り立てる演奏陣。熱を抱きながらも、まさに破裂寸前の高揚を「赤裸の境界」を通して感じていた。
言葉を、感情を殴りつけるように歌うHAKUEI。彼の荒ぶる感情を、ラウドでスリリングな演奏がさらに掻き立てる。「Justice」、魂を一気に解き放ち、触れた人たちの心をワイルドに塗り替えるとても攻撃的な楽曲だ。激しく身体を揺さぶりだす観客たち。でも…。
「暴れるな」「声を出すな」と煽るHAKUEI。PENICILLINが最後に突きつけたのが、感情の導火線を一気に燃やし爆発させる「イナズマ」だ。フロアでは、声は出せなくとも興奮できると言わんばかりに、大勢の人たちが身体を揺さぶりだす。どんな状況下へいようと、ビリビリとスパークした感情は止められない。どんな環境の下へ置かれようと、在りたい自分に彼らが戻してくれる。それが嬉しくて、PENICILLINのライブに僕らは触れ続けてゆく。
アンコールでも、PENICILLINは吠え続けていた。動ける範囲が限られていようと、声を上げられなくとも心はバーストさせられるだろうと、PENICILLINは「Mr.Freez」を叩きつけた。モニターに足を乗せ、観客たちを挑発するHAKUEI。同じく千聖もモニターに足を乗せ、攻撃的なリフを次々とぶちかます。その演奏を重いビートで煽り立てるO-JIROとChiyuのリズム隊。暴れろ、暴れろ、暴れ狂えと言わんばかりの姿勢だ。
その勢いを止めることなく、演奏は「スペードKING」へ。立て続けに攻撃的な楽曲を叩きつけ、観客たちのハートに熱狂という火を燃やしてゆく。いつものように容赦ない姿勢で演奏をぶち噛ますメンバーたち。終盤へ向かうほどに激しい演奏を重ね続けてきた今宵のPENICILLIN。まさに、祭りに相応しい、気持ちが騒いでこそのライブを今年も見せてくれた。
会場では、まだまだ熱狂は終わらなかった。ここからは会場へ訪れた人たちのためだけに演奏。しかも選んだ楽曲が「SEX」だもの。暴れないわけがない。観客たちは限られた空間の中、それでも限界を超える気持ちで騒いでいた。メンバーらも、攻撃的な姿勢で噛みつくように演奏。互いに、この日一番己の本能を曝け出した姿をぶつけあいながら、祭りに相応しい光景を作りあげていった。
次は、お馴染みO-JIROの生誕祭「とのさまGIG」だ。この楽しさを、これから始まるメンバーのバースデーシリーズへ繋げようか。
PHOTGRAPHER:折田琢矢
【ライブ情報】
O-JIRO BIRTHDAY LIVE「とのさまGIG 2021」
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千聖 BIRTHDAY LIVE「ROCK×ROCK〜千50聖~」
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