L→R かめがいあやこ(Key&Vo)、かわむら(Dr)

L→R かめがいあやこ(Key&Vo)、かわむら(Dr)

【ポップしなないで インタビュー】
モードが切り替わって、
覚悟を決めたところがあった

投げやりに聞こえても
本人は絶対に諦めていない

「Sunset」は曲の長さが7分弱ありますが、ビートもメロディーも変わるので、単純に曲として“どうなっていくんだ?”と聴き入る魅力がありました。

かわむら
まさにサウンド重視でした。もとは9分あったんですけど、それをライヴでやった時に自分たちは何ができるのかを想像しながら作りました。僕はシカゴハウスとか、Beastie Boysが好きで、自分のルーツになっている音楽は『上々』にも入っている「Creation」やミニマルなリズムに反映させてきたつもりなんですけど、ライヴでいろんな表現をする余裕が出てきた今だからこそ、よりダイレクトに好きな音楽を伝えたいと思った結果の曲です。

歌の情緒にも変化がある曲に感じました。

かめがい
変化があるように聴こえると思うんですけど、実は感情は一貫しているんです。同じ人間がずっと歌っている感覚が自分の中にあって、Bメロの語りっぽいラップや、サビの失望から開き直るところには、どこかで諦めの気持ちを感じていたり…この曲の登場人物が感じていることが散りばめられている歌詞だと思うので、いろんな歌い方があるけど、大きくひとつの感情で歌っています。

そう聞くと、確かに一曲を通してずっと気を張っているような印象もあります。そして、最後の「記憶」はかめがいさんが作詞作曲されていますね。コーラスはたくさん入っていますが、ピアノと歌だけの中で、きれいなメロディーが心に残ります。風景を見ているような曲でした。

かめがい
私も風景を思い浮かべながら歌詞を作りました。もともとあるメロディーに自分で歌詞を乗せるのはすごく苦手なんですけど、これはもとは神田明神ホールの1曲目にやったインストの曲なんですよ。書こうと思った風景を思い浮かべて、ピアノを弾いてみて、何となく出てきた言葉を声に出して作りました。
かわむら
このミニアルバムを出す時に、“今がかめがいさんにしかできないことが魅力的になるタイミングだ”と考えていたんです。
かめがい
私には“歌詞も書いてみれば?”って感じでしたけどね(笑)。
かわむら
でも、そう言った時から自分が歌詞の一部に手を加えるつもりはまったくなかったんです。彼女の中にしかないものを表現した曲を入れたかったので。

そんな今作のタイトルですが、“美しく生きていたいだけ”という言葉には“美しく生きられない”がセットでついてくると思いました。美しさって追い求めてしまうけど、一生辿り着けないものというか。

かわむら
もともと「tempura」にあったパンチのあるフレーズで、僕自身もグッとくる言葉だったので、先にツアーのタイトルにする話があったんですよね。ただ少し言葉が強すぎて。アルバムのタイトルとして決まったのは制作の終盤だったんですけど、冒頭でお話ししたように今回の制作中に自分たちのモードが切り替わって、ひとつ覚悟を決めたところがあったのでこのタイトルをつけました。かめがいさんに“やっぱりアルバムタイトルにしたい”と話したら、“私もそう思ってた!”ということだったのですぐに本決定して。もっと制作序盤にタイトルを考えていたら、こうはならなかったと思います。
かめがい
私もこの言葉が本当に好きで。密かにタイトルにしたいと思っていたんです。だから、“だよね!”って。
かわむら
投げやりに聞こえる言葉でもありますが、そう言っている本人は絶対に諦めていないっていう強かさこそが美しいものだと思っています。

ジャケットも素敵です。

かわむら
漫画家の今井大輔先生に描いていただきました。タイトルが決まってジャケットを想像した時に、かめがいさんと共通のイメージがあったんです。いろいろ詰まっている感じではなく、白バックで、しっかりと前を見据えるようなものにしたいなと。で、“今井先生に頼めたら最高だね”って話していてオファーしてみたら快くOKしてくれて、納期の関係でそんなに長い時間はかけられなかった中でも、出してくれるアイディアのひとつひとつが自分たちの想像を超えているような素晴らしいものばかりで。自分たちのアルバムですけど、作品として本当に胸がグッとくるものになりました。
かめがい
デザインしてくれた岡本朱未さんも私たちの意図を組んでくれて、イメージがどんどんかたちになっていくのをただただ拍手喝采して見てました(笑)。ブックレットもすごくいいんですよ。我々ふたりのわがままがそのまま詰まっています。

そんな今作を掲げたツアーも注目どころですね。

かめがい
今の感じだったら、また新しい曲も作ってやりたくなっちゃうだろうね。
かわむら
そうですね。ツアーでも新曲をやるんじゃないかと思うくらいのモチベーションはあります。東京公演以外は対バン形式で、久々に行く福岡や仙台も楽しみです。
かめがい
どんなことをしたいか想像を膨らましながら、楽しみにしていただけたら嬉しいです。

取材:千々和香苗

ミニアルバム『美しく生きていたいだけ』2021年12月8日発売 KINGAN RECORDS
    • NCJD-10007
    • ¥2,420(税込)

ライヴ情報

『美しく生きていたいだけツアー』
[2022年]
2/26(土) 福岡・UTERO
3/05(土) 宮城・仙台spaceZero
3/12(土) 大阪・DROP
3/13(日) 愛知・名古屋CLUB UPSET
3/27(日) 東京・恵比寿LIQUIDROOM

ポップしなないで プロフィール

ポップしなないで:2015年結成のかめがいあやこ(Key&Vo)、かわむら(Dr)による、セカイ系おしゃべりPOP。かわむらの作るどこか寂しげだが前向きな歌詞世界と、かめがいの表情豊かでクセの強い魅力的なヴォーカルで、ミニマムな構成ながら完成された音楽性を持つ。独自の楽曲哲学に沿ったMVや、確かな表現力により世界観を再現するライヴパフォーマンスが話題となっている。23年2月に日本コロムビアよりメジャー1stアルバム『戦略的生存』を発表し、3月からは全国 6 都市を巡る『ポップしなないで presents 「合言葉はトキメキ」ツアー』を開催。ファイナルの恵比寿LIQUIDROOMでのワンマン公演はソールアウトした。ポップしなないで オフィシャルHP

「支離滅裂に
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