『JUNNA ROCK YOU TOUR 2022 ~風の
音さえ聞こえない~』レポート 予定
調和などぶっ壊すようなとんでもない
エネルギー

1月7日のZepp Nagoyaを皮切りにスタートしたJUNNAのライブツアー「JUNNA ROCK YOU TOUR 2022 ~風の音さえ聞こえない~ 」。前回、S P I C Eで行ったインタビューでは、このツアーへの想いを語ってくれた彼女。ツアー最終日となる1月20日、Zepp DiverCity(TOKYO)でのパフォーマンスの様子をお届けする。
ステージに登場した瞬間から、気迫を感じさせたこの日のJUNNA。まずはスポットライトを一人で浴びながら、自らギターで弾き語る「Here」でのオープニングに驚かされた。ワンコーラスを歌いきったところでバンドの演奏が加わり、今度はハンドマイクで歌い始める。その堂々たるパフォーマンスと情熱的な幕開けには、心をギュッと鷲掴みにされるような体験だった。しかし呆然としている暇などない。続く「ROCK YOU, ROCK ME」では人差し指を突き上げ、ステージ前方の台に乗ってオーディエンスを煽る。大きなうねりを放つバンドサウンドに長いポニーテールを揺らしながら熱唱し、曲の終わりには腕を振り回して笑顔を見せた。「あばよイエスタデイ」ではレーザー光線が飛び交う中、声の抑揚をセクシーに響かせるなど、序盤から絶好調ぶりをアピール。
撮影:塚越淳一
MCでは「みなさん、新年明けましておめでとうございます!平日なのにたくさんの方にお集まりいただきありがとうございます」と挨拶。この日、朝から大学の授業を受けてから会場にやってきたと話すJUNNA。「中国語の講義を受けているんですけど難しくてついていけない……。コロナ前は中国でもライブをさせてもらっていたから、いつかまたライブでも発揮できたら」なんて話も。そして「今日はツアーファイナルなんですけど、各地で貰ったパワーをここでみなさんに返せたらと思いますので、ついてきてください!」と「大人は判ってくれない」を雄大に歌い上げ、久しぶりにライブで披露された「JINXXX」では華麗なるダンスも見どころ。バイオリンの音色も華やかだった「赤い果実」でも踊りながら歌う姿から目が離せない。ちなみにこの曲、ダンスの先生に「大人なJUNNAを頑張って見せよう!」と言われていたらしい。
撮影:塚越淳一
その後のMCでは人間ドッグを受けに行って、結果を見るのが怖かったけど全部A判定だったという話。自分の健康管理に気をつけるようになり、そんなところにも大人になったなと感じ、子供のままでいたかったなと思うこともある、なんてことを素直にこぼす。そして「大人になって自分の意見を言わなきゃいけない場面がたくさんあって、でも私はそれが苦手で。でも、だからこそ歌えた曲もある」と話した後で「本当のことは言わない」を披露するなど、JUNNAはライブの時にオーディエンスとの対話をとても大切にしているので、より楽曲が深く伝わっていくのだとあらためて思った。ドラマチックなバラードを切々と歌い上げ、ラストのサビで転調した瞬間に、彼女が目の前でまた大人になったような晴れやかさがあった。
撮影:塚越淳一
続く美しいバラード「波打ち際」もしっとりと歌うと、「ここからはアコースティックでお届けします」と「はじまりの唄」と「イルイミ」を温かなムードで届けた中盤。JUNNAの優しい歌声を堪能できる贅沢な時間だったし、「イルイミ」での鍵盤の音色を中心としたミニマムなアレンジも新鮮だった。
撮影:塚越淳一
そして2月16日にリリースされる6枚目のシングル「風の音さえ聞こえない」のカップリング曲「僕のむこう」を初披露。この曲は「聴いてくれたみんなが同じ景色を思い浮かべられるような曲にしたい」と自ら作詞したもの。「何かに挑戦すると失敗もあるかもしれないけど、それでも何か得られるんじゃないかと思って」というメッセージが込められているそうだが、それこそが今のJUNNAの進化につながっているんだなと思う。例えばライブのオープニングで一人きりで歌い始めることも、そんな勇気がなければできなかっただろう。やがて真っ白な衣装に着替えて「海と真珠」を披露すると「ここからはロックな曲しか歌わないよ!みなさん後半戦まだまだ行けますか!」とオーディエンスに呼びかけた。
撮影:塚越淳一
「まだまだ行けますか!」と言ったものの次に披露されたのは「You + Me = ?」というタイトルの冒頭から明るく弾けるパンキッシュなナンバー。JUNNAが事前のインタビューで「私のライブでは説明もないまま唐突に新曲を披露してそのままやり逃げするようなことがこれまでもあったかと思いますが(笑)、それを今回もやるんじゃないかな~」と告知していたが、この曲がまさにそれ!しかし「この曲なんだっけ?」などと思っている暇などなく、ステージ上ではバンドのメンバーが集まって頭を振りながら演奏しており、そこにJUNNAも加わったりとロックな展開!オーディエンスも手を大きく振り上げる動きで、見事な一体感がたちまち生まれていたのは、さすが。
撮影:塚越淳一
続く「我は小説よりも奇なり」で最終日のシャウトを豪快に決めたら、更に「紅く、絶望の花。」ではカオティックな盛り上がりとなったが、その熱気は本編ラストであり、このツアーのタイトル曲でもある「風の音さえ聞こえない」で爆発した。凄まじい熱気を帯びたバンドの演奏と、ステージを縦横無尽に動き回るJUNNAのパワフルな熱唱、レーザー光線が飛び交う中、驚異的とも呼べる圧巻のステージが繰り広げられた。「風の音さえ聞こえない」はサウンドもヘヴィだし歌詞の世界観もハードな瞬間風速で駆け抜けるような強さを帯びているので、ある程度、ライブでも激しいパフォーマンスになるだろうと予想はしていたが、目の前のJUNNAはそんな予定調和などぶっ壊すようなとんでもないエネルギーをこの曲で放っていたのである。JUNNAは今、JUNNA自身が描いた理想像を自ら超えて行っているのだろうと思った。それほどまでにライブでしか感じることができない音楽のパワーを見せてもらった本編ラストだった。
撮影:塚越淳一
アンコールでは「コノユビトマレ」と「春の夢」、そして「明日からまたそれぞれの道を歩いていくみんなの道を少しでも照らせるように」と「太陽の航路」を。最後の最後まで丁寧に届け切り、会場中に光が満ち溢れるような素敵な光景を生み出すと、歌い終えたJUNNAの堂々たる表情に、たくさんの拍手が届けられた。
撮影:塚越淳一
バラードも、ロックナンバーも、JUNNAならではの歌唱で魅了してくれるが、その両極の振り幅がもうとんでもないことになっていると感じさせられた今回のツアー最終日。今年の6月にはいよいよデビュー5周年に突入。早速、6月の「JUNNA 5th Anniversary Live」と、8月から初の全国ホールツアー「JUNNA ROCK YOU HALL TOUR 2022」の開催が発表されており、今からワクワクが止まらない。
撮影:塚越淳一
文:上野三樹

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