吉本新喜劇のGMに就任した間寛平 (C)エンタメOVO

吉本新喜劇のGMに就任した間寛平 (C)エンタメOVO

間寛平、「吉本新喜劇は僕の人生その
もの」 GM就任で目指す「面白い新喜
劇」の復活【インタビュー】

 お笑いタレントの間寛平が、2022年2月に「吉本新喜劇」のゼネラルマネジャー(GM)に就任した。今回の間の就任は、110周年を迎えた吉本興業が、「吉本新喜劇」をさらに進化させるために導入されたもので、間はレジェンド座員として表舞台で活躍するだけでなく、新喜劇を裏側からも支える。間に今後の新喜劇について、そして自身の芸能生活について聞いた。
-吉本新喜劇のGMに就任して、早くも3カ月がたちました。そもそも、どういった経緯でGMを務めることになったのでしょうか。
 2021年に僕は芸能生活50周年を迎え、それを機にもう辞めようかな、終わりにしようかなと思っていたんです。50周年を記念したツアーをやりながらもそんなことを考えていたら、ある会場に吉本の社長が見にきてくれて、ステージを見て、「今の新喜劇に足りないのは、これや!」と感じたそうで。その後に、社長に呼ばれて行ったら「GMになってほしい」って(笑)。僕は逆に、社長に「もう辞めさせてもらいたい」と伝えようとしていたんで、そんなこと言われたんでどうしようかと思ったんですが、嫁からも背中を押してもらって、それならやってみようかと思い、今に至ります。
-間寛平GM企画の「吉本新喜劇セカンドシアター」が4月8日からスタートしました。どのような考えからこの公演の開催に至ったのですか。
 新喜劇には専用の劇場がないんですよ。新喜劇のメンバーは110人ほどいてるんですが、若手たちは、「劇場がないから」「舞台に出られないから」と会社のせいにして逃げているんです。だから、彼らが立てる劇場を作ってもらいました。若手たちが劇場に立って、自分の力量に自分で気付き、芸人がどんなものか分かってほしい。ここで結果を出してほしいんです。
-ということは、新喜劇の若手の人たちがネタを披露する企画ということですね。
 そうです。それで、それを漫才師さんたちに審査してもらうんです。
-それはすごいですね。若手の人たちの励みや目標にもなりますね。では、寛平さんの理想とする吉本新喜劇とは?
 新喜劇は「大阪の宝」だと僕は思っています。僕たちの時代は、学校が終わった子どもたちは、すぐに家に帰ってテレビで新喜劇を見るということが習慣になっていて、子どもたちは皆、出ている芸人の名前も、ギャグも知っていました。でも、今は違う。誰もがギャグを聞いただけで分かるという、皆が新喜劇で笑っているという状況を再び作れたらと思います。
-新喜劇への愛が伝わってきます。寛平さんにとって、新喜劇とはどんな存在ですか。
 ほんまに新喜劇がなかったら、僕は何をしているか分からないです。ほんまに、何やってたんやろ。きっと、あれもこれも無理だと思います。新喜劇は僕の人生そのものですわ。
-寛平さんは、これまで50年以上にわたって芸人として活躍してきましたが、今、振り返ってみて一番の思い出といったら?
 (思い出は)めちゃくちゃありますよ。スパルタスロン(ギリシャで行われている世界一過酷といわれるマラソン)にしても、24時間テレビで走ったことも、(ヨットとマラソンで地球一周をした)アースマラソンにしても、たくさんの人の支えがあってできたことだと思います。ただ、そんなにいろいろなことがあったけど、ほんまに思い出すのは、結婚式ですわ。
 吉本興業が日取りを決め、「結婚せえ」と言われて結婚することになり、場所も吉本が決めて結婚式を挙げたんですけど、そこに借金取りがきていたんですよ。式をセッティングしたスタッフが借金取りとは知らずに呼んだんでしょうね(笑)。しかも、嫁はその人が借金取りだって知らなかったんです。芸人仲間がスピーチで「寛平はすごい借金があるんですよ。それなのによう結婚したわ。ほんまに幸せにできんのか?」って言うんで、心臓が破裂するかと思いました(笑)。嫁の親も来てるし、借金取りも来てるし、ドキドキで。その結婚式から45年、今も嫁とは仲よくやってますけど、あれは一番の思い出です。
-改めて、今後の吉本新喜劇の展望は?
 まずは、面白い新喜劇を取り戻すように頑張ります。コロナ禍でお客さんが減ってしまって大変だった時期もありましたが、コロナを吹っ飛ばすようにやります。それが僕の役目やなと思っているんで。新喜劇をもう一回、皆に楽しんでもらえるように。僕も72歳で年やから、これからの若手を育てていかなあかんと思っているんです。新喜劇は、お客さんに育ててもらっていると思うんですよ。皆にかわいがってもらって、どんどん成長していくんです。なので、ぜひ育ててやってください。
-まだ新喜劇を見たことがない人や、劇場に足を運んだことがない人には、どんなところを注目して見てほしいですか。
 何も考えずに来ていただければと思います。大の大人が「アホなことしとんなあ」と思ってもらえればいいんです。新喜劇は漫才とは全然違うんで。漫才も落語も、きちんとネタを作り込んで、それを覚えて舞台でやりますが、新喜劇はそんなんじゃないんです。72歳の僕が角にケツこすりつけて、「かい~の」とか言うんですよ。誰がしますか? そんなの(笑)。灰皿で自分の頭たたいたり、普通の人はしないんですよ。新喜劇の人間しかやっていない(笑)。でも、それをただただ楽しんでもらえればと思います。
(取材・文・写真/嶋田真己)
 大阪・難波にあるYES THEATERに、吉本新喜劇セカンドシアターにオープン。間をはじめとした吉本新喜劇が出演する「東京グランド花月」は、5月6日〜8日に、都内・銀座ブロッサムホールで上演。
吉本新喜劇セカンドシアター https://www.yoshimoto.co.jp/shinkigeki/gm/
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