ClariS、daoko、ラブサマちゃん....
.. 10代の女性ミュージシャンが増え
ている背景とは?

(参考:嵐のスタイルは若手ジャニーズにどう受け継がれたか 明治大学名物講師が分析)

 こういった流れは日本の音楽シーンとて例外ではない。若くして注目を集めるミュージシャンたちは多く、特に女の子たちが元気だ。ただし、欧米のそれと少し様子が違う点と言えば、より10代の感性を発揮している点だろうか。ここではU-18の女性ミュージシャンを例に、その増加の理由について考えてみたいと思う。

ClariS

 覆面女子中学生ユニットとして登場したClariSは、動画サイトに自分たちの歌ったボカロ楽曲カバーなどをUPして注目を集めていたところ、アニソン専門誌によって見出され、アニメ主題歌に抜擢されるかたちでデビューした。livetunekzsupercellのryoといった気鋭のコンポーザーを迎えた楽曲で、アニメファンを中心にブレイク。ニコ動×アニメ×少女という“クールジャパン”的キーワードの三種盛りは、鉄壁の守りにも見えた。しかし、今年6月に発売された3rdアルバム『PARTY TIME』をもってアリスが卒業。これにてClariSは第1期は終了を宣言した。とはいえ、残されたクララはいまだ現役女子高生。今後、どういったスタイルで活動を続けていくのか気になるところである。

・daoko

 現在17歳のラッパー・daokoも、注目されるきっかけとなったのは動画サイトへの投稿だった。当時はまだ15歳。少女の儚さと危うさをはらんだリリックと透明感のある歌声は、メディアに露出をしないというスタイルとも相まって“謎の少女”として音楽ファンを熱狂させた。しかし、m-floをはじめとミュージシャンたちとのコラボにも積極的だったり、顔写真を公開しないという一方、ライブ活動はたびたび行っているなど、ネットシーンのみならず広いフィールドを目指す意欲も見てとれる。先ごろは、映画『渇き。』の劇中歌にも使用され、今後ますます注目を浴びそうなアーティストのひとりだ。

・ラブリーサマーちゃん

 そして、このシーンの中でも天才との呼び声が高いのが、ラブリーサマーちゃん。浮遊感あふれるサウンドで人気の宅録系アーティストだ。インパクトありすぎな名前ではあるが、実のおじいさんが『見上げてごらん夜の星を』などで知られる作曲家・いずみたくという音楽一家に生まれたサラブレッド。現在では音楽家の芳川よしのとともにクラウドファンディングによってCD制作を行ったり、今年4月からはFor Tracy Hydeというバンドのボーカルに就任したりと多岐にわたって活躍中だ。(※現在、ラブリーサマーちゃんは19歳になっています)

 彼女たちに共通するのは、その出自にインターネットの存在が大きく関わっていること。そして、それによって幅広く注目される機会を得たことにある。しかし、それだけではなく、自己プロデュース能力に長けているところが最も大きいのではないだろうか。“10代の女の子である自分”という立ち位置に非常に意識的で、かつそれをきちんと自身の音楽に落とし込むことができる。これは、SNSを通じての自分発信が当たり前になったからこそ、若くして培われた能力なのだろう。この件に関してdaokoは、自身のブログで「自分が女の子だということも女子高生だということも全部ブランドだということを念頭に置きながら活動してます。女子高生に至っては期間限定なのでちょっと焦ります^!^」とコメントしている。おそらくこれはU-18のアーティストたちにとって共通の意識。その裏側には、自分たちをもてはやす大人への「おことわり」があり、また、自身の持つ世界観を誰にも邪魔されずに追求したいという欲求が隠されているように思える。

 日本では昔から“女子高生”とか“10代”という言葉の持つ破壊力が大きい。昨今のアイドルブームもまたしかりだ。若くて可愛らしいことは、それだけでひとつの偉大な才能なのである。自分の売り時を見極め、その流れを引き寄せることができる女の子たちのしたたかさ。そんなところにこそ、私たちはまんまと魅了されてしまうのだ。(板橋不死子)

リアルサウンド

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