『東京アニメアワードフェスティバル
2023』コンペティション部門 長編・
短編アニメーションノミネート全33作
品を一挙発表

『東京アニメアワードフェスティバル2023』コンペティション部門、長編・短編アニメーションノミネート全33作品が発表となった。
毎年、世界各国から優秀な作品が多数応募されるTAAFのコンペティション部門。本年度の長編アニメーションは26の国と地域から応募された31作品から、4作品がノミネート。短編アニメーションは63の国と地域から応募された872作品より、29作品がノミネート。本件に対してフェスティバルディレクターからのコメントも到着している。
<フェスティバルディレクターのコメント>
本年度の作品群の特徴をひと言でまとめると「歴史」ということかなと思います。私史、家族史、世界史と規模と拡がりは様々ですが、時間の流れの中でものを考えさせる作品たちです。4作品とも、ストップモーションあるいは手描きという、今の主流である3DCGとは違う手法で作られているというのも興味深いですね。丁寧に作られていることが、作品の楽しさと共に感じられて来ます。
長編アニメーション部門ノミネート作品
■お祖父さんの悪魔たち(My Grandfather's Demons)
監督:Nuno Beato
製作国:ポルトガル・スペイン・フランス/1時間25分/2022年
<フェスティバルディレクターのコメント>
主人公のロサは、都会の成績主義の職場の成功者。しかし一方ではストレスで爆発寸前です。その彼女が、亡くなった祖父の遺産である田舎の農場の後始末に出かけます。3DCGで都会部分の描写が始まり、モダンさを感じさせ、祖父の農場からはストップモーションという見るからに素朴な様相に一変します。祖父とうまく行かなかった母親とロサ。そして、祖父の抱えていた問題。村人から向けられる排他的な目。それらが一挙に解決する結末へと進みます。ドラマとして楽しんでください。
■私の結婚と恋話し(My Love Affair with Marriage)
(c)Signe Baumane
監督:Signe Baumane
製作国:ラトビア・アメリカ・ルクセンブルク/1時間48分/2022年
<フェスティバルディレクターのコメント>
絵本のような温かみのある絵で作られたアニメーションです。旧ソビエト連邦に生まれた主人公ゼルマの半生がモノローグで語られます。移り住んだ場所、そこでの体験、そしてなによりも恋愛やSEXについての彼女特有のものの見方が、時々科学的解説が飛び込んだりして、面白おかしく伝えられます。「あれあれ、彼女はそんなことを考えてるんだ」と驚くことも度々です。彼女が一般的な女性なのかどうか分かりませんが、物語りというより彼女自身の講義を受けているような感じで映画を最後まで見てしまいます。
■犬とイタリア人お断り(No Dogs or Italians Allowed)
監督:Alain Ughetto
製作国:フランス・イタリア・ベルギー・スイス/1時間10分/2022年
<フェスティバルディレクターのコメント>
1900年頃のお話しです。制作者の祖父である、イタリア・アルプスの貧しい村で育った男の一生です。家族史ですが、大戦で徴兵されたり、スペイン風邪に村の半分が死んでしまったりと、史実が織り交ぜられていて、世界の潮流がドラマの中に見えて来ます。時々画面に入り込んでくる作者の手は、「私のお祖父さんの話しなんですよ」と、嫌味なく私たちに語りかけてくれて、これも親近感を覚えます。過酷な暮らしぶりを悲壮感なくユーモアたっぷりに語り、当時使われた道具類も、どうやって使っていたかを含め丁寧に再現されていて、実写以上に生きた実感の詰まった映画になっています。
■ティティナ(Titina)
(c)Mikrofilm and Vivi Film
監督:Kajsa Næss
製作国:ベルギー・ノルウェー/1時間30分/2022年
<フェスティバルディレクターのコメント>
探検家アムンゼンとイタリア人飛行船乗りノビルの友情と人生を描いた物語りです。飛行船で北極点に到達するという史実を基に、冒険旅行を共にした二人の功名心。そして嫉妬心からの喧嘩別れ。と、こう書くと男のエゴがぶつかり合う嫌なドラマみたいに思えるんですが、そうではありません。とにかく画面が綺麗なんです。イタリア、ノルウェーやヨーロッパの街並みあり、北極という銀世界あり。それらが時にはデザイン的に処理され、美しい画面になっています。これは大画面で観るべきです。
短編アニメーション部門ノミネート作品
■スロット1 子供を含む全世代向け(全7作品)
<フェスティバルディレクターのコメント>
本年度の特徴は手描きだけでなく3DCGであっても、どことなく手触りの温もりを感じさせる作品が多いことでしょう。ご覧になれば、きっと主人公に共感していただけると思います。人間だけでなく、可愛いクモやキツネ、そして何なのかよく分からない生きものも登場します。今回の学生賞受賞作品は、このスロットであわせて上映します。奇妙でおおらかな作品ですよ。
■スロット2 小学生くらいからの全世代向け(全12作品)
<フェスティバルディレクターのコメント>
老いること、戦争、ヴァーチャルゲームを取り上げた作品があります。世界のどこであっても関心の高い事柄なんですね。それらを心に浸み入るように語ってくれています。字幕を追わなければならない作品は数点あります。しかし、小学校3年生くらいなら楽しめると思います。エンドマークを見終わって、一瞬「えッ!?なんだったんだろう?」と思うかもしれません。でも、次の作品までの暗い中で、「ああ、そういうことか」と納得の笑みが浮かぶと思いますよ。
■スロット3 大人向け(全10作品)
<フェスティバルディレクターのコメント>
考えさせる、ということで大人向けです。タイトルと映像を観て考える、知的ゲームのようなものです。作者の手口にはまらないよう、気を張りつめて観て下さい。1回ではなく、2回観て頂かないと謎の解けない作品もあるかもしれません。お楽しみに。
注目作が名を連ねる今回のノミネート作品の数々、是非とも試聴したい。

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