30歳となった磯村勇斗「自分の道を追
求していきたい」~レスリー・キーと
のセッションをまとめた写真集「PAS
SAGE」や俳優としての思いとは

俳優の磯村勇斗(30)がフォトグラファーのレスリー・キーと5年に及ぶセッションをまとめた写真集「PASSAGE」で、内に秘めた表現力を爆発させている。「自分でも知らない一面を引き出してもらえた」と語る写真では、少年のような笑顔、妖艶なまなざしを見せ、目にした人を引き込む。初主演映画など、スクリーンの中でも大活躍した2022年は9月に30歳の節目を迎えた。話題作の公開も控える2023年。「自分にとってかなり挑戦的な役も演じている」と独自の地位を築こうとしている。
磯村勇斗写真集「PASSAGE」通常版の表紙
ーー『ビリーバーズ』、『PLAN 75』、『異動辞令は音楽隊!』、『さかなのこ』、『前科者』、『ホリックxxxHOLiC』、『MIRRORLIAR FILMS Season3』、さらに初めて声優を務めた『カメの甲羅はあばら骨』。並べた8作の映画は、全て2022年に公開された磯村さんの出演作品です。
今年はありがたいことに、映画の年と言える1年になりました。ドラマや映画などこれまでも色々な作品に出演させていただきましたが、初主演作の『ビリーバーズ』が公開されたことで、ようやく『映画人』と名乗っても良いのかなって。俳優として安堵できた部分があります。
映画『PLAN75』の1場面    (c) 2022『PLAN 75』製作委員会/Urban Factory / Fusee
ーー高齢化社会が深刻化する日本を舞台に命の重さ、生きる意味を問う『PLAN 75』では、75歳以上が自らの死を自由に選択できる制度の窓口を担当するヒロムを熱演し、「第43回ヨコハマ映画祭」の「助演男優賞」の受賞が決定しました。初めて座長を務めた『ビリーバーズ』では、孤島で謎のプログラムに臨む男を演じるなど、作品ごとに異なる表情を見せました。その高い表現力は「第14回TAMA映画賞」の「最優秀新進男優賞」の栄誉に繋がりました。
俳優として生きているので、自分の中にある色々な面を作品の中で表現したいと思っています。2023年に公開が予定されている映画の中には、これまでの作品と全く毛色が違うものもあって。かなり挑戦的な役にも臨みました。
ーー9月には30歳の誕生日を迎えました。20代と大きく変化すると感じるところは、どのようなことですか?
30歳になって3カ月。まだあまり実感はありません。周囲にいる30代の方を見ているといきいきとしている人が多いなと感じます。落ち着きも出て来るだろうし、やりたいことをやっている人が多い。『30代は楽しいよ』という人も多いので、先輩方の言葉を信じて、充実した40歳を迎えるための10年間にしたいです。
磯村勇斗 写真集「PASSAGE」より
ーーさまざまな現場を経験されて、若手俳優から実力派へと脱皮をしつつありますね。
25歳くらいの頃は、いつも前に前にというか、何でもやりたい気持ちが強かった。でも経験を重ねたいま、大切にしているのは、いかに削るのかということ。考え方がフラットになったことで、これからは落ち着きも出て来ると思います。余裕がある先輩方には大人の色気を感じる方が多い。20代とは違う責任を持って、自分の道を追求していきたいです。
ーー現場でもまれ、作品ごとに成長していく磯村さん。過去5年間を収めた写真集「PASSAGE」はレスリー・キーさんが撮影を担当しました。連続写真のような8枚が並ぶモノクロのページは、往年の名俳優・松田優作さんのような有り余る熱を感じます。
レスリー・キーさんの写真が好きだったので、撮っていただけると聞いたときは驚きました。横須賀(神奈川県)から富士山を背景にしたもの、横浜の中華街など色々な場所で撮影をしました。富士山は地元(沼津)で生活をしていたときはいつも目にしていたので、レスリーさんが富士山を撮っていることが新鮮でしたしうれしかったです。お気に入りはレスリーさんと二人だけでホテルの一室で撮影したもの。『動きがある写真を撮りたい』と言われ、水を張ったバスタブに入ってしぶきを上げているのですが、何回もトライしたので美しい一枚になったと満足しています。
磯村がお気に入りという、磯村勇斗 写真集「PASSAGE」より一枚   撮影:翡翠
ーー役者はセリフがありますが、被写体としての磯村さんにはセリフがありません。写真集で見せた表情は「磯村勇斗」の素顔といって良いのでしょうか?
ドラマや映画と違って役ではないのですが、見せた表情が『素の磯村勇斗か?』と言われたら、それは違います。被写体として、レスリーさんがいま何を考えているのかなと感じながら、レンズを見詰めていたのでやはり1枚フィルターが入っていると思います。
ーーセッションを重ねた5年間。振り返っていつも心にとめておいたことはどのようなことですか?
探求心と好奇心を持つことです。この気持ちを忘れないことがクリエイターなのだと思います。
■磯村勇斗(いそむら・はやと) プロフィール
1992年9月11日、静岡県生まれ。2014年に俳優デビュー。翌年出演したドラマ『仮面ライダーゴースト』で務めたアラン役で注目を集めた。17年には、NHKの連続テレビ小説『ひよっこ』でヒロインの夫となる役を好演。映画『ヤクザと家族 The Family」、『劇場版 きのう何食べた?』での演技が評価され「第45回日本アカデミー賞」で新人俳優賞を受賞した。12月22日よりNetflixにて『今際の国のアリス』シーズン2が配信されるほか、2023年には映画『東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編 ―運命―』、同『波紋』の公開を控えている。
取材・文・撮影(一部)=翡翠

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