『スラムダンク』1巻書影

『スラムダンク』1巻書影

『スラムダンク』が駄作である22もの
理由

これ本当に面白いか? 1990年連載開始の井上雄彦による青春おバカ漫画(映画製作スタッフが取材で発言)『SLAM DUNK』のアニメ映画が、昨年12月に公開されロングランを記録している。
 その映画とともに現れたのが、キモいスラダン信者たちだ。
「漫画なのに試合がリアル」「読まないと人生損するよ」「諦めたらそこで試合終了ですよ(ドヤ)」とこちらは興味ゼロなのに、やたら語ってくるし、薦めてくる始末。
 しかし、そんなに面白いのかと初めて作品を読んでみたところ、出るわ出るわ粗の数々。試合もめちゃくちゃ過ぎだろう。それでも「諦めたら終了(笑)」と思い最後まで読み進めたが、巷で言われるような評価は概ね賛同しかねるものだった。
 漫画『SLAM DUNK』がなぜ駄作と言い切れるのか具体的なシーンを上げながら解説していく。

具体的な理由が続々理由1 翔陽戦のラスト1分50秒も両チーム無得点
 桜木が初めて試合でダンクを決めた(結果はファールで退場)余韻を残すためか、その後1分50秒も両チーム無得点で終了。少年バスケでもそんな長時間ノースコアはあり得ない。試合のラスト1分ってバスケで一番面白いところなのに、それをナレーションの1コマで終わらせて名作なわけがない。

理由2 名門なのに監督がいないしエース藤真が先発出場しない
 県内屈指の名門・翔陽に監督がいないのは、まあ百歩譲っていいとして、エースの藤真が前半監督に専念する意味がわからない。デカい選手を並べるだけの無能采配しかしていないのだから、最初から出場すればよい。藤真が最初から出ていれば翔陽が勝っていたみたいな風潮だが、藤真が出ている時間帯も25対26で湘北に負け越している。
理由3 全国2位の海南のレギュラーなのにフリーのシュートを外す武藤
 海南の牧と神にやられ放題だった湘北がとった作戦は、エースの牧を4人でマーク、牧と神以外のシュートは外れることを祈るというもの。地味な武藤だって海南のレギュラーなのだから、フリーで毎回毎回シュートを外すのはご都合主義。海南が全国2位の実力なら、そんな作戦が成り立つわけない。
理由4 山王戦の湘北覚醒は王者を舐めてるとしか思えない
 安西先生にリバウンドの重要性を教わったらそれまで野辺相手にリバウンドを取れてなかった桜木がなぜか取れるようになり、赤木がスクリーンをかけ、流川がパスを覚えて流れが湘北に。いや、それまで王者・山王相手にスクリーンやパスもしてなかったの? 王者を舐めすぎ。パスが選択肢に加わっただけで流川に抜かれる沢北もどうかしてる。
理由5 陵南が練習試合で活躍した小暮を軽視するのは不自然
 陵南との練習試合で小暮は活躍しているし、3Pシュートも決めている。なのに、県予選の湘北VS陵南戦、終盤で「小暮はいいから流川につけ」と陵南が小暮をノーマークにして3Pを決められるのは不自然すぎる。ワンパターンな『スラダン』の展開的に、終盤の疲れた流川なんて仙道1人でも、まず抑えられるだろう。
理由6 なぜかゾーンプレスをやめる山王の選手たち
 湘北がゾーンプレスに対応できていなかったのに、僅か20点差でゾーンプレスをやめる山王。あれ? 山王って慢心すらない絶対王者という設定では?
理由7 リバウンドの重要性を伝えるだけのために桜木をベンチに戻す安西
 試合前に言っとけ〜。わざわざリバウンドが大事と伝えている間に失点しているが…。そして、それで急にリバウンドが取れるようになる桜木。これで「試合がリアル」と言われましても。
理由8 対戦相手がことごとく宮城の穴をつかない
 豊玉の板倉や山王の深津は宮城との身長差を利用して楽々シュートを決めてるから、そこ中心に攻めればいいのに、なぜか南や沢北中心の攻撃に固執して敗北。
理由9 安西は無能なのに部員みんなが安西を有能だと思っている
 桜木・流川が入部する前から十分な戦力があったにも関わらず、指導にやる気を見せず、三井を見放した無能の極み・安西。こんな無気力顧問を、熱血設定の赤木が慕っているのも矛盾している。
理由10 部員の暴力を組織ぐるみで隠蔽
「バスケがしたいです」が美談のようになってるが、不祥事を起こした責任で湘北は出場停止が妥当。赤木は扉を閉めて事件を隠蔽しているし、悪質性も高い。
理由11 流川が素人の桜木より体力がないのはおかしい
 流川は(少なくとも)中学時代からバスケをやっており、さらに努力家なので、数カ月前まで不良だった桜木よりもすぐバテるのは不自然。桜木が無尽蔵のスタミナを持ってるのも不自然。
理由12 三井の好不調が激しいキャラは明らかに後づけ
 海南戦で三井が3Pを外しまくるが、三井まで活躍したら湘北が王者・海南に楽勝しちゃうという理由で不調にしたのは明らか。その後無理やり好不調が激しいキャラにしたのが片腹痛い。
理由13 晴子や魚住がコートに入ってくる
 山王戦、赤木覚醒は魚住がコートに乱入し助言したから。桜木が最後までプレーできたのは晴子がベンチまで不法侵入してきたから。いくらアマチュアの試合とはいえ、ルール的に問題だ。
理由14 桜木の跳躍時間は河田より長いのに河田より連続でジャンプできる
 桜木が河田兄のシュートブロックに跳んだ際、河田は「あれ…まだいる」と発言。つまり桜木は跳躍の滞空時間が河田より長いのだが、河田よりも短時間で連続ジャンプする描写も。物理法則無視!
理由15 そもそも湘北ってチームプレー皆無のダメチームでは?
 桜木と流川間でまともな協力プレーは成立しないし、そもそも流川は山王戦までパスもしないって、チームとしてダメすぎる。そんなチームが勝ち上がるってスポーツ漫画としていかがなものか。
理由16 冷静に読むと脇役を描くのが下手
 ディフェンスに定評のある池上など、一見名脇役がいるようだが、後に信者が面白がってキャラ付けしたもの。スタメン以外ほぼ空気で、安田、潮崎らを見れば、脇役を描くのが下手なのは明らかだ。
理由17 森重寛ワンマンチームで名朋工業の魅力皆無
 湘北と決勝で戦うと思われていた名朋工業の森重は完全にシャキール・オニールのパクリキャラで魅力ゼロ。元々決勝まで描くつもりはなかったのかもしれないが、手を抜きすぎだろう。
理由18 一進一退の試合が描けない
 バスケの魅力は得点が入りやすく、シーソーゲームになるところ。しかし『スラダン』を見てみると、どちらかが流れを掴み一方的に攻め込むシーンばかりだと気づく。野球じゃないんだから。
理由19 眼鏡を差別的に描きイジメを助長
 小暮をメガネ君と呼んだり、宮益をヒョロヒョロのガリ勉のように描いたりと、眼鏡をした人間を意図的に貶めている。メガネ君とイジメられた小学生が何万人もいたと思うと胸が痛む。
理由20 画力を絶賛されるがNBAからのトレース
『スラダン』をトレパクしていた末次由紀は作品回収の処分を受けたが、NBAの公式写真を無断でトレパクしていた井上はノーダメ。ダブルスタンダードでは?
理由21 八村や渡邊の方がすごいのに今更復活されても…
 現実世界で、魚住より大きい八村塁や渡邊雄太がNBAで3Pをバンバン決めて大活躍しているのに、フィクションでわざわざレベルの低いバスケを見せられても興ざめだ。
理由22 名言がたいしたことない
「諦めたらそこで試合終了だよ」:安西の一番有名な台詞だが、当たり前すぎ。語尾が「だよ」と「ですよ」の2パターンある。
「安西先生……バスケがしたいです」:三井の自業自得というだけの話。それに誰からもバスケを禁止されてないが、誰に断りを入れてるのか謎。
「リバウンドを制する者は試合を制す」:冷静に見れば、ただのバスケの格言で名言でも何でもない。それだけ作中に名言がないのか。
「いいからテーピングだ!」:怪我でも気合いで出場する赤木のスポ根発言。社畜の人がこの言葉を聞いて元気をもらってそうだ。
「左手は添えるだけ」:ステフィン・カリーやノビツキーは左手はボールを支えるために使っているそう。嘘を教えるな!
「天才ですから」:桜木の口癖で作品最後の台詞。桜木は本当に身体能力的に天才だから、優生思想の類いだろうか。

やっぱりしょぼい いかがだろうか?
 漫画内の描写をこと細かく見ていくと、矛盾点やご都合主義、納得のいかないシーンがたくさんあることに気いたはずだ。誰かは知らないが『スラムダンク』の作者は『黒子のバスケ』を百回読んだ方が良いだろう。
初出/『実話BUNKAタブー』2023年2月号

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