『蒼い炎Ⅳ-無限編-』(扶桑社)書影

『蒼い炎Ⅳ-無限編-』(扶桑社)書影

不世出のスーパースター大谷翔平と、
藤井聡太や羽生結弦ごときを「天才」
と一括りにするな!

漫画のような存在として称賛される若き天才たち 近年様々なジャンルで活躍する若き天才たちがいます。そういった若き天才たちの中で、真っ先に名前が挙がってくるのが、WBC優勝も記憶に新しい大谷翔平、将棋界で史上最年少6冠を達成した藤井聡太、五輪にてフィギュアスケート2大会連続で金メダルを獲得した羽生結弦でしょう。彼らの現実離れした活躍に対して、「漫画やアニメの主人公が現実世界に現れた」と評する声もあります。
 でもちょっと待ってください。大谷翔平が超弩級に物凄いのは分かります。メジャーリーグという世界最高峰の舞台で、投手として二桁勝利をあげ、打者としてホームランを打ちまくり、一昨年はホームラン王を争う活躍を見せてMVPを獲得。WBCで投打に見せた活躍は漫画の主人公を超えた、と絶賛されているのももっともです。
 そんな前代未聞のスーパーヒーロー大谷と、藤井聡太や羽生結弦ごときを同列に扱うのってどうなんですかね。
 日本において、運動神経がいい少年は大抵野球かサッカーをやります。その中で、才能がない選手はどんどん淘汰されていき、最終的に生き残った選手がプロの道に進みます。日本においてトップアスリートは野球選手かサッカー選手なんです。ですから、大谷と比する存在として、サッカーの三笘薫や久保建英をあげるのなら分かります。
羽生や藤井は所詮少ない競技人口の中でのトップ では、大谷と並び称される羽生結弦はどうか。フィギュアスケートは、練習する施設がそこかしこにあるわけではなく、日本中で一度でもやったことがある人すらごくごくわずかです。レアな種目なので、裕福な家でないと、継続的に取り組むことも難しいでしょう。
 冬季五輪の種目に総じて当てはまりますが、たまたまその種目を練習できる環境にあった、というのが、その種目でトップになった一番の要因です。仮に日本中でフィギュアスケートやらカーリングやらをプレーできる環境が整えられていて、学校の体育の授業でもそれらの種目をやる機会があったとしたら、全然別の選手が日本のトップに立っているに違いありません。プロ野球選手やプロサッカー選手が仮に幼少時代みんなフィギュアスケートをやる機会があったとしたら、大抵の選手が羽生結弦より上手くなっていたんじゃないですかね。
 藤井聡太はどうか。日本中の頭が良い少年が皆将棋をやり、段々と淘汰されていって、残った神童がプロ棋士になる、という環境であれば、藤井聡太は確かに凄いかもしれません。でも、実際は頭が良くても将棋を真剣に取り組んだ子供なんてごくごくわずか。フィギュアスケートとまったく同じ話になってしまいますが、学校に将棋の授業があって、皆が将棋に取り組む機会があったら、藤井聡太より上手い棋士なんてゴロゴロ出ていたに違いありません。むしろ藤井聡太がプロ棋士になれていたかすら怪しいものです。
 羽生結弦も藤井聡太も、その世界の中では確かに凄いかもしれませんが、あくまで、ものすご~く少ない競技人口の中でトップを取っただけです。ボクシングの井上尚弥なども同様です。そういったマイナー競技の井の中のトップと、野球という運動神経が良い少年なら大抵一度は通るであろう競技でトップとなり、さらに前人未到の二刀流を成功させ、投手、打者の両方で、メジャーリーグでもトップを張る大谷翔平とを比べるなんてのは、ちゃんちゃらおかしいのです。
 羽生結弦は2018年に国民栄誉賞を受賞しました。藤井聡太もこのまま活躍し続ければ、国民栄誉賞を受賞するでしょう。大谷翔平も然りですが、大谷に受賞させるのであれば、そんなハードルの低い賞は役不足です。「国民栄誉賞OF国民栄誉賞」みたいな、国民栄誉賞よりさらに格が高い賞を大谷のために創設するべきでしょう。

文/田崎寿司郎
写真/『蒼い炎IV-無限編-』(扶桑社)

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