筋肉×魔法×シュークリーム 山盛り
の要素で描かれる『マッシュル-MASH
LE-』THE STAGEのオフィシャル稽古レ
ポートが公開
今作の演出を手掛ける伊藤今人(梅棒/ゲキバカ)の明るい声が響き渡る稽古場。その熱量の高さに感銘を受け、このレポートも少々テンション高めでお送りしたい。
スタッフクレジットに作詞・音楽・振付とあることから、どうやら歌もダンスも入るらしい、とは認識していたが、これはもう「入る」どころではない。全編を通してものすごく、歌って、踊っている。これはもうミュージカルではないのか︕︖ ステージ…︖
この舞台において重要な要素である魔法、その魔力を表現する手段として使われているのが、歌、だというのだ。
もちろん、映像など最新の技術も取り入れながらではあるが、演劇的な身体表現とともに歌の力を使って魔法を表現している。
物語の舞台は、魔法が当然のものとして使用される世界。そんな魔法界に生まれたマッシュ・バーンデッドには秘密があった…それは、魔法が使えないこと。この世界では魔法が使えない者は排除され、罪人と同じ扱いを受ける。
育ての親である“じいちゃん”ことレグロ・バーンデッドと平穏に暮らしていたマッシュだったが、ある日魔法警察に見つかり、命を狙われる身となってしまう。マッシュが再びレグロと平和に暮らすための条件は、「神に選ばれし者」として様々な特権を与えられる"神覚者"に選ばれること。そのために名門魔法学校に編入したマッシュは、レグロの教えにより筋トレに励んで鍛えぬいた筋力(パワー)を魔法に見せかけて、様々な試練を切り抜けていく。
そう、物語の主役であるマッシュ・バーンデッド(赤澤遼太郎)は、歌わないのである。歌という武器を持たずに戦うのだ。
ここに今作のタイトルがあえて『マッシュル-MASHLE-』THE STAGEとなった理由があったと気づき、感嘆した。
同時に、ミュージカル界のレジェンド的存在である岡 幸二郎が、魔法学校の校長であるウォールバーグ・バイガンを演じる意味を理解して唸った……間違いなく最強の魔力を持っているではないか︕
ブロック通しというのは、これまでの稽古で場面ごとに細かく作り上げてきたものを、数シーン分繋げてみる、という稽古だ。
演出の伊藤今人が前に立ち、各キャストの動きの流れを確認しながらシーンを作り上げていく。高さのある可動式のセットで場面の切り替えや立場の違いを表し、息をつく間もなくシームレスに物語を進行させる演出は、様々なジャンルの舞台芸術で縦横無尽に活躍してきた伊藤今人の腕の見せ所だ。
2幕では、赤澤演じるマッシュを中心としたアドラ寮のメンバーと、笹森裕貴演じるアベル・ウォーカーが監督生を務めるレアン寮、その中でも特に優秀な実力者が集まった七魔牙(マギア・ルプス)との戦いがスピーディーに展開していく。
それぞれのシーンの振付は、梅棒の野田裕貴、多和田任益と、えりなっちが分担している。自身もパフォーマーとして活躍し、独自のスタイルで人気を集める3人の振付には、キャラクターの性格を重視した、ただ踊るだけではない“身体表現の1つとしてのダンス“の意味が感じられる。
(c) 甲本 一/集英社 (c)「マッシュル-MASHLE-」THE STAGE製作委員会
魔法の応酬による戦いが繰り広げられる中で、魔法を使えないマッシュの存在の異質さが際立つ。
それでいて、その大きな武器を持たずとも全ての魔法を粉砕していくパワーがマッシュにはある。その1つはアクションだ。
さらにこの舞台特有の表現方法がある。マッシュの筋力(パワー)の概念として登場する“マッスルズ”である。
情報解禁時から疑問符だらけの反応が飛び交っていたが、マッスルズを演じる彼らはプロダンスリーグ、Dリーグで戦う“肉体派舞闘集団” FULLCAST RAISERZとRAISERZ A.R.M.Yのメンバー。“クランプ”というジャンルの全身を大きく使ったアグレッシブでパワフルな動きを得意とする彼らが、マッシュの尋常ならざるスピードとパワーを“観客の目に見えるように”具現化する存在となって、共に戦う。その不可思議で絶妙な所作は、時折挟み込まれるシュールなギャグとの相性も抜群だ。
(c) 甲本 一/集英社 (c)「マッシュル-MASHLE-」THE STAGE製作委員会
加えて、前述のウォールバーグ校長や、マッシュたちが目指す“神覚者”でありフィンの兄であるレイン・エイムズ(佐々木喜英)、養父のレグロ・バーンデッド(ウチクリ内倉)、魔法警察のブラッド・コールマン(澤田拓郎)と、何れ劣らぬ個性派揃い。
稽古の様子を見ていて確信したが、間違いなく、最高のカンパニー、最強の布陣である。
(c) 甲本 一/集英社 (c)「マッシュル-MASHLE-」THE STAGE製作委員会
筋肉✕魔法✕シュークリーム︕ という世界観の中で描かれる、友情と戦いとシュールなギャグを、芝居・歌・ダンス・アクションといった舞台ならではの方法で表現するというのだから、この山盛りの要素だけでも面白いことは約束されているし、目が足りないのである。
まだ何の装飾もない、中身だけで既に面白いのだ。これが劇場で音響・照明・映像効果と合いまった時、どんなものになるのか、楽しみで仕方がない︕
なお、TVアニメ✕舞台連動特別企画として、アニメ✕舞台のキャストによる『TVアニメED主題歌「シュークリーム・ファンク」踊ってみた!』、舞台キャストによる『アドラ寮 vs レアン寮 舞台稽古中でも対決してみた!』、さらに舞台稽古リポート(今後公開予定)など、舞台の裏側やキャストの熱気を伝える動画が続々公開中。
アカウントごとに異なる動画を投稿しているため、アニメ・舞台の公式TikTok、公式YouTube、各チャンネルをフォローして楽しもう。
SPICE
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