MyGO!!!!!、羊宮妃那、青木陽菜、林
鼓子インタビュー『BanG Dream!』プ
ロジェクトの新バンド・MyGO!!!!!は
いかにして生まれ、歩んできたのか?

『BanG Dream!』プロジェクト発「“現実(リアル)”と“仮想(キャラクター)”が同期するバンド」MyGO!!!!!。2022年にキャストを伏せて活動を開始した本バンドは、2023年4月開催の4th LIVE『前へ進む音の中で』でキャストを発表し、同時にアニメ『BanG Dream! It's MyGO!!!!!』の放送も解禁した。

ファン待望のアニメは先日6月29日から放送が開始。描かれるのはMyGO!!!!!の結成に関する物語だ。これまでの『BanG Dream!』シリーズとは一味違う重厚感溢れるストーリーは、シリーズファンの域を超えて大きな話題を呼んでいる。
今回SPICEではMyGO!!!!!から高松燈役・羊宮妃那、要楽奈役・青木陽菜、椎名立希役・林鼓子へインタビュー。MyGO!!!!!結成からアニメ放映に至るまでの心境の変化、そしてアニメ『BanG Dream! It's MyGO!!!!!』と、その主題歌である「壱雫空」「栞」にまつわるエピソードまで存分に訊いた。
(c)BanG Dream! Project
――SPICEとしてみなさんにお話を伺うのは今回が初となります。活動開始からしばらく、キャストであることを隠しての活動でした。当時感じていた難しさはありますか?
林:ステージ上で立希としてどう振る舞うべきかを考えて、いちから作りあげていくことは難しかったですし、時間がかかりました。お客さんは私たちキャストのことを何も知らない、100%キャラクターとして見ているわけですからね。少しもそこから外れるわけにはいかない、それはずっと意識していました。
青木:MCとかも結構大変だったよね。テンションが上がってくると、ついつい自分たちの素が出そうになる。それを押し殺して役に徹していた時は何度もありました。
林:あったあった、MC中につい笑いそうになって「いかん、こういう時に立希は笑わない……」って思ったことは何度もある(笑)!
(c)BanG Dream! Project
――それはかなり大変ですね……。羊宮さんにも難しさがあったのでは?
羊宮:ありましたね。もうなんでしょう、ありとあらゆることが難しかったのでもう何からお話したらいいか迷うのですが……。そもそもとして、自分の素を出さず、燈ちゃんとして歌わないといけないんですけれど、それを徹底しているうちに自分のエゴと燈ちゃんのキャラクター、その境界線がわからなくなってきてしまう。その見定めがすごく大変で、もうずっと悩みながら向き合っていましたし、今でも悩み続けています。
――羊宮さんは燈とは通じる部分が大きいというお話をされていましが、それでもやはり、自分を出さないようにするのは難しいんですね。
羊宮:私と燈ちゃんが似ているからこそ難しいとさえ感じますね。似てはいますけど、全く同じではない。ちゃんと意識していないと燈ちゃんとしてではなく、自分自身から出てくる感情で歌ってしまいそうになるんです。それをやってしまうと燈ちゃんを演じていることにはならないので、すごく慎重になる必要があるんです。
――似ているからこその難しさがあったと。林さん、青木さんの場合、演じながら演奏するという難しさもあったのでは?
林:ありましたね。立希はMyGO!!!!!の中で作曲も担当しているキャラクターで、演奏技術も当然高い設定なわけです。そんな彼女の技術力に追いつかないといけないのはすごく大変でした。林鼓子としてステージに立っているわけじゃないので「成長していく過程を楽しんでください」というスタンスではいられませんでしたから。
青木:私の場合も、楽奈との演奏技術の差を埋めるのが一つ課題にはなりました。彼女はとにかくギターがめちゃくちゃ上手いキャラクターなわけですから、そこに追いつくのはやはり生半可な努力ではなかったです。加えて、楽奈ってギターが上手いけど普段はちょっと不思議ちゃんじゃないですか。彼女がステージ上でどんな振る舞いをするのかも一つ悩みどころだったんですよ。参考となる人を探しに、いろんなライブに行き、メンバーの方の動きを観察したりもしましたね。
――具体的に参考にしたバンドマンの方を挙げると誰になるのでしょうか?
青木:二人いるんですよ。一人はBLUE ENCOUNTの江口雄也さん、演奏の時のあのギターを引き倒す姿と、それに反しての安定した指さばきはすごく参考になると感じました。あともう一人はthe band apartの川崎亘一さん、もう存在自体が楽奈に近いといいますか……。
(c)BanG Dream! Project
――楽奈に近いキャラクター性を川崎さんには感じていると。
青木:そうなんですよ。演奏する時はすごく情熱的なのにMC中はちょっとボーッとされているように見える感じとかすごく楽奈だなと。なので私のステージ上での振る舞いの基礎は川崎さんの真似ですね(笑)。
■高松燈を演じるには事前の準備が欠かせない、その理由とは?
――そして今年4月に開催した4th LIVE『前へ進む音の中で』ではキャストも公開となりました。
羊宮:あの日は本当に大変でした。途中で羊宮妃那としてMCをして、その後すぐに高松燈として歌わないといけなかったので、その切り替えが本当に難しくて……。
――MC後すぐに燈として歌う、それは簡単なことではなかったと。
羊宮:そうなんですよ。燈ちゃんは自分の中に言葉をたくさん溜め込んでいるキャラクターなので、私自身も燈ちゃんになるにあたって、時間をかけて自分の中に言葉を蓄積して、燈としての自分を固めた上で演じてきたんです。ただ、あの瞬間は演出的にそれができなくて……。
――羊宮さんは全ての作品で、キャラクターとして演じるにあたって時間をかけて準備をされるのでしょうか?
羊宮:そうですね…。ただ、向き合い方はキャラクターにもよります。
――4th LIVEでの素顔公開以後、活動で変化した部分はありますか?
林:一番は私の口から「MyGO!!!!!って最高なんですよ!」って言えるようになったことだと思いますね。私自身、立希という女の子が大好きで、演じながら「この子可愛くない?」ってみんなに言いたくて仕方がなかったです。それが公然と言えるようになったのはすごく嬉しく感じています。
青木:あとは、私たちの身の回りに起こった出来事についても話せるようになったのも嬉しいですね。私自身、MyGO!!!!!を演じるメンバーのことが大好きなんですよ。なので、メンバーの魅力や面白エピソードも各所で話せるのがすごく幸せです!
■まさかアフレコで舌打ちをすることになるとは思っていなかった
――6月29日にはアニメ『BanG Dream! It's MyGO!!!!!』の放映もスタートしました。ストーリーを知った際の印象はいかがでしたか?
青木:すごく生々しくて、演じるのにカロリーを使うストーリーだと思いましたね……。もともとアニメの脚本をいただく前からMyGO!!!!!のバックグラウンド、今回描かれるストーリーの概略は知らされていましたが……ここまで重たいものになっているとは思っていなかったです……。
林:演じるにあたって相当な体力が必要でしたね。アフレコのたびに感情剥き出しの演技をして、終わるとヘトヘトで家に帰るみたいな感じでした。あと、まさかセリフの中で本気の舌打ちをすることになるとは思っていなかったです(苦笑)。
(c)BanG Dream! Project
――林さんにとっても舌打ちは想定外だったと。
林:流石に(笑)。そもそもいただいた台本には舌打ちの指示はなかったんですよ。それがアフレコ時のディレクションで「そこ、舌打ちしてもらっていいですか?」と言われまして。「本当にいいの?」って思いながら収録したのを覚えています。立希、よくあんな態度でバイトの面接通りましたよね。
――演じている林さん自身もそれは感じるんですね(笑)。羊宮さんはアニメを通して気づいた燈の新しい一面はありましたか?
羊宮:思っていた以上に人間味のあるキャラクターなんだな、ということは感じましたね。第4話で「私のせいだから……CRYCHICが解散したの……」という台詞があるのですが。私は燈ちゃんが落ち込んで発したセリフだと思っていたんです。ですがディレクションを頂くと「拗ねている感じでお願いします」とディレクションを頂き「燈ちゃんってこの時拗ねていたんだ!」ってすごく驚きました。
――燈は拗ねたりしないと思っていたと。
羊宮:そうなんですよ。拗ねるって自分のわがままを通したい時にとる態度じゃないですか。そういう態度を人に対して取らない子だと思っていましたから。
■どの瞬間の燈として「壱雫空」を歌うべきか、迷いながらの歌唱だった
――『BanG Dream! It's MyGO!!!!!』ではMyGO!!!!!初、アニメ主題歌を担当することとなりました。これまでの楽曲と違った難しさもあったのでは?
羊宮:ありましたね。特に今回は、MyGO!!!!!が主人公のアニメ主題歌を、MyGO!!!!!自らが歌っているじゃないですか。それがすごく難しくて……。
(c)BanG Dream! Project
――主人公として主題歌を歌う、そこに難しさがあったと。
羊宮:そうなんです。だってMyGO!!!!!は、高松燈ちゃんは、話を追うごとに成長していくじゃないですか。どの瞬間の燈ちゃんとして歌うかがすごく難しい。例えばオープニングテーマ「壱雫空」の「もしこの雨が上がっても 忘れずに歩いてくよ」という歌詞ひとつをとっても、「この雨」が指すものを知っている燈ちゃんが歌うのか、まだ知らない燈ちゃんが歌うのかで、歌い方って全然変わってきますから。
――羊宮さんの中で、レコーディングの際の落とし所はどこだったのでしょうか?
羊宮:迷っている状態すらも歌に込める、それが落とし所でしたね。もちろんフレーズごとに込めている想いや、感じている想いがある状態ではあります。
林:やっぱりそこは意図的だったんだ! 毎曲、ようちゃん(羊宮)の歌声には新しいチャレンジを感じるんですよ。中でも今回はチャレンジの度合いが大きいと思っていたんですが、狙ってのことだったんだね。
羊宮:気づいてもらえて本当に嬉しい!
(c)BanG Dream! Project
――「壱雫空」は林さん演じる椎名立希が作曲している設定です。曲を聞いての感じる部分もあったのでは?
林:感慨深いものがありますね。いわゆるメロコア的な要素が詰まった楽曲で、この曲を作るために立希は相当量のメロコアを聴き込んだんだろうな、なんてことを想像しちゃいました。オープニング曲らしい、爽やかさと疾走感、そして爆発力のある楽曲に仕上がっていて、今後『壱雫空』がMyGO!!!!!の大切な曲になるんだろうな、と思いました。
青木:すごく映像が浮かぶ曲になっているよね! アニメ映像を見る前からMyGO!!!!!の面々が笑いながら歌っているのが目に浮かびました。迷っている空気がありつつも、すごく前向き。すごくMyGO!!!!!っぽい曲ですよね。
■『迷うことに迷わない』、タイトル通りの心情で5th LIVEにのぞみたい
――エンディングとして使用される「栞」もMyGO!!!!!が歌唱を担当しています。こちらはどんな想いを込めて歌ったのでしょうか?
羊宮:それは、アニメ放映が全て終わっていない今はまだ言えないです……。ただ、『BanG Dream! It's MyGO!!!!!』を見て、その上で歌詞を読むと本当に泣けてくるものにはなっているので、今はそれだけお伝えしておきたいです。
林:パッと聴いた印象だと、どこか寂しさや切なさを感じる楽曲かと思うのですが、同時にすごくあたたかくて、聴いた人の背中をそっとさすってくれるような歌詞になっていますよね。ようちゃんの歌声も、すごく優しさに溢れている。
MyGO!!!!! 3rd Single「壱雫空」通常盤 (c)BanG Dream! Project
――2番では羊宮さんの歌声に対して林さんもコーラスを入れていますね。
林:そうなんですよ。あの部分は、すごく難しかったですね。燈の歌声に寄り添いすぎてしまうと、少し違うというか。立希は「燈のことをわかってあげたいし、守ってあげたい」と思っていそうですが、いきすぎると保護者のようになってしまう。立希自身、まだ幼いところがあって、突っ走って空回りしてしまう部分もあるので、あたたかさを持ちつつ、どこかまだ迷いがあるような感じで、燈ちゃんと対等な目線になれるようにすごく気を使いました。あのコーラス部分は、アニメサイズに入っていないのですが……。
羊宮:そこはYouTubeにあがっているMVを見ていただきたいです!
林:そうだ! みなさんMVを是非ともチェックしてください!
青木:あと、「栞」ってMyGO!!!!!初のアコースティック曲にもなっているので、そこにも注目してほしいですよね。燈ちゃんの歌声ってアコースティックの演奏とマッチする、私は前からそう思っていたんですよ。その組み合わせがついに実現した曲になので、じっくり聴いてもらいたいです。
MyGO!!!!! 3rd Single「壱雫空」Blu-ray付生産限定盤 (c)BanG Dream! Project
――最後に、5th LIVE『迷うことに迷わない』への意気込みをお伺いしたいです。
羊宮:まずはライブタイトルである『迷うことに迷わない』という言葉を大切にしていきたいと思っています。燈としてステージに立つ上で、このタイトル通りの心情をもっていけるように頑張りたいです。
林:この短期間でMyGO!!!!!のいろんな面が一気に披露されて、私たちもどんなライブにするか迷っている最中ですが、MyGO!!!!!を見つけてくださった皆様に楽しんでいただきたいという気持ちは、1st LIVEのときから今もずっと変わっていません。だから、メンバーみんな力を合わせて、アツいライブにできたらいいなと思います。
――1st LIVE『僕たちはここで叫ぶ』以来のライブハウスでの開催、そこも一つ注目ポイントになるのではないでしょうか?
青木:そうなんですよ、そこは私たちもすごく楽しみにしています。1st LIVEから今日に至るまで、MyGO!!!!!のいろんな面、それこそアニメでは暗い面を見せてきました。それでも、今も未来も音楽は楽しいってことは届け続けていきたいと思っています。なのでみなさん、是非とも遊びに来てください!
(c)BanG Dream! Project
取材・文:一野大悟

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