藤巻亮太、主催フェス『Mt.FUJIMAKI
』が目指す野外音楽フェスの形 「山
梨の魅力に触れていただきながら2日
間を楽しんで」

あの素晴らしい景色をもう一度。初秋の穏やかな気候の中で、雄大な富士山と山中湖をバックに、豪華アーティストの共演がたっぷり楽しめる唯一無二の野外音楽フェス『Mt.FUJIMAKI』が、今年も10月7日と8日に山中湖交流プラザ きららで開催されることが決まった。今年のラインナップは初日がバンド、2日目がソロやユニット中心で、ジャンルを超えてライブパフォーマンスに絶対に強みを持つアーティストばかり。一体どんなフェスになるのか主催者の藤巻亮太に今年の『Mt.FUJIMAKI』の魅力を語ってもらった。
『Mt.FUJIMAKI』は親子三代で来ても楽しめるフェス、みたいなものがいいなと思っているんです。前の方で盛り上がっても、後ろの方でレジャーシートを敷いてゆっくり観てもいい。安心して来ていただきたいです。
――配信を入れると今年で5回目。『Mt.FUJIMAKI』も、だんだん歴史が重なってきました。
2018年から始めて、本当に素朴に「地元である山梨でフェスをやりたい」という思いの純度が上がっているという感じなんですけど。コロナがあって、開催できなかった2020年、都内からの配信の2021年を経て、去年は3年ぶりに地元で開催できたので、今年へのすごく大きなモチベーションになりましたね。
――去年は初の2日間開催でした。
去年は、尊敬する大先輩のアーティストから、同世代、若いバンドにも出ていただきましたし、コロナを経て地元で『Mt.FUJIMAKI』を開催できる喜びを感じました。地元の方も、県外から来てくださった方も、本当にすごくいい時間でしたよね。
――しかもお天気が最高だったんですよ。2日間とも、ほぼ雲一つない快晴。
こればかりは感謝しかないです。
――藤巻さんが晴れ男だから、というのがスタッフの間での共通意見ですけどね。
いやいや。そこで「僕だ」というのは違うと思うんで(笑)。やっぱり富士山ですね。マウント・フジから名前を半分いただいていますから、富士浅間神社に「よろしくお願いします」と「ありがとうございました」ということを、今年もやってきました。去年は本当に天候に恵まれて、初秋の気持ちのいい環境の中で、素晴らしい音楽をみなさんが奏でてくださって、「こんなフェスはなかなかないんじゃないか」と思いながら、これが『Mt.FUJIMAKI』の醍醐味かなと思っていましたね。
『Mt.FUJIMAKI 2022』撮影=photo by Ryo Higuchi
――毎年、ここを改善しようとか、特に意識しているところはあるんですか。
フェスは音楽がメインですけど、食であったり、いろんな文化的なものも総合的に楽しんで、「いい1日だったな」と思っていただけるように、音楽以外の広がりは毎年トライしている部分ではあります。ステージの転換時間もしっかり取って、その間にいろいろ楽しんでもらえるようにしています。協力してくださる方が年々増えてきているので、音楽以外の部分は、自分がお客さんだとしても楽しいだろうなと思える部分を毎年みんなで考えながら、コラボレーションしてやっていますね。
――去年の、アウトドアグッズの展示販売スペースは大人気でした。
今年もやらせていただく予定です。アウトドアと音楽との相性はすごくいいと思うので。
――ほかのフェスに出演する時も、やっぱり舞台裏が気になったりして?
ああ、それは確かに。「どういうふうに運営されてるんだろう」とか。でも結局は、ステージが気持ちいいかどうかを、ミュージシャンとしては見てしまうので。その場所をみなさん選んでるわけですから。場所の気持ちよさみたいなものが、そこでしか聴けない音楽になっていると思うので、そこの部分は(Mt.FUJIMAKIは)唯一無二の場所だと思っていますね。
――客席の雰囲気もそうですよね。『Mt.FUJIMAKI』は比較的大人の客層、ファミリー層も多くて、落ち着いた雰囲気があります。心地よいです。
『Mt.FUJIMAKI』は、親子三代で来ても楽しめるフェス、みたいなものがいいなと思っているんですよね。もちろん前の方で盛り上がってくださる方がいてもいいですし、後ろの方でレジャーシートを敷いて、家族、友達、恋人と、ゆっくり観ていただくのもいいと思いますし。そこの部分で、『Mt.FUJIMAKI』はかなりいいところだと思うので、安心して来ていただきたいです。それと今回は、「高校生以下無料」なので、高校生同士でも、家族で引率してくださってもいいですし。
――楽しみです。では、ここからは、確定した2日間のラインナップ(順不同)を紹介してもらいたいと思います。
ACIDMANは先輩ですけど、「赤橙」を最初に聴いた時の衝撃がすごくて。「こんなにエモくてこんなにポップな曲があるんだ」って、その時のことは忘れないですね。(レミオロメンは)同じスリーピースバンドですし、「僕たちも頑張っていい曲作らなきゃ」と思いましたね。そこから進化を遂げて、グルーヴもかっこいいし、作品としてどこまで行けるかをずっと追求されているかっこよさがありますし。フェスで会うことも多いんですよね。そこで大木(伸夫)さんとも話をして、「僕がやってるフェスにもいつか出てほしいです」と言っていて、それが実現しました。
ずっとオファーはしていたんですけど、最近(藤巻が所属する)スピードスターレコーズのフェス(3月18日「SPEEDSTAR RECORDS 30th Anniversary 『LIVE the SPEEDSTAR』」)で一緒になって、あらためてライブがかっこよくて。エモーショナルな部分がありつつ、最近はアコースティックアルバムを出されたり、アレンジの幅も広がっていて、すごいなと思います。自分のラジオにも来てくれて、いろいろ話してくれたり、ちょうど同級生くらいなんですよね。だから、出ていただけることがすごく嬉しいんですよ。どんなアレンジになるかも楽しみですし、THE BACK HORNの世界観を、あのかっこいいバンドアンサンブルが聴けることを楽しみにしています。

OAU
TOSHI-LOWさんは震災復興の活動をされている経緯で、一回ラジオに来ていただいて、いろんなお話をさせてもらったんですけど、それが縁でアコチル(『ACO CHiLL CAMP 2022』)に呼んでもらって。そっちは御殿場でやってるんですけど、「(富士山の)反対側で藤巻くんもやってるみたいだね」という感じで(笑)。そこで見たOAUのステージが本当に気持ち良くて、今度はぜひとも来ていただきたいと思ってオファーさせていただきました。篭坂峠っていう峠があるんですけど、そこを超えて山梨側に来ていただこうと(笑)。こちら側の富士山もすごく美しいですよということで。OAUはBRAHMANのメンバーにバイオリンとパーカッションが加わって、素晴らしいアンサンブルで、この会場に本当に合うと思うので、ぜひ聴いていただけたらと思います。

The Songbards
(ボーカル&ギターの)上野くんが「3月9日」をカバーしてくれた縁で出会って、対バンに呼んでくれたんですよね。そこからThe Songbardsの曲をプロデュースするところまでやらせていただいて、わりと密に、バンドの曲作りの中に入らせてもらったというか。僕自身は交通整理みたいな役割だったと思ってるんですけど、一緒にクリエイティブなことをやらせてもらったので。それはすごく楽しくて、勉強になりましたし、しかもすごくいい曲を書いてきて、それがさらにいい雰囲気に仕上がったので。彼らが持っているポップ感はすごく素敵だと思っているので、出ていただけるのがすごく嬉しいです。彼らが書く曲は、青空がよく似合うと思うので、とても楽しみです。
『Mt.FUJIMAKI 2022』撮影=photo by Ryo Higuchi
――そして、もちろん藤巻亮太のステージもあります。初日はアコースティックですか?
いや、2日間ともバンドでがっつりやろうと思ってます。
――おっ。それはもう言っちゃっていいですか。
いいですよ。もしかしたら、(初日の)頭にアコースティックで1曲ぐらい歌うかもしれませんが。今回は2日間とも藤巻はバンドでやります。しっかりと、野外で楽しんでもらえるセットリストで臨みたいと思っていて、たっぷり演奏したいと思っています。
――という、初日はバンドづくしのラインナップになってます。
バンドのアンサンブルの広がりを、楽しんでいただける1日になると思いますね。エモーショナルな。そう考えると、2日目はカラフルな感じですよね。
デリコさんは、僕がデビュー前から聴いてましたけど、その衝撃たるや! 日本のポップス、ロックはどうしても母音が強くて、メロディに制約があると僕は思ってるんですけど、デリコさんはそのニュアンスを突破していく。すごく洋楽的なメロディを難なく歌っていく、その衝撃は未だにありますね。そのパイオニアだと思います。そういう意味でもずっと尊敬しているお二人なので、出ていただきたいなと思ってオファーさせていただきました。デリコさんってたぶん、風がすごく似合うと思うんですよね。野外の気持ち良さが際立つと思うので、ファンのみなさんも、秋の気持ちのいい山中湖で、デリコさんの曲を聴いていただけるのは、かなり楽しみなんじゃないかと思います。僕自身が楽しみです。
PUFFYさんも、デビュー前からずっと聴いてました。去年の唐津のフェス(『Karatsu Seaside Camp 2022』)を始め、何度もご一緒させていただいてるんですけど、今回お声がけさせていただいて、受けていただきました。とにかく知ってる曲が多くて、口ずさめる曲ばかりなので、間違いないですよね。いろんなフェスに引っ張りだこだと思うんですけど、あらためて『Mt.FUJIMAKI』という、親子三世代が楽しめるフェスにどんぴしゃでハマってくださるのが、PUFFYさんなのかなと思ってます。どういう形態でやっていただけるのかも、注目していただければと思います。

■TRAICERATOPS
初年度は(和田)唱さんがソロで出てくれたんですけど、TRICERATOPSは、僕がレミオロメンの前に組んでいた大学のバンドで「Raspberry」をコピーしていたぐらい好きだったので。デビューしてから、ご一緒させていただくタイミングが増えたんですけど、去年のアルバムがすごく挑戦的なアルバムで、それを聴いた時に、25年経ってもどんどん新しいことに挑戦していく姿が本当にかっこよくて。去年の『ARABAKI ROCK FES』でステージを一緒にさせてもらった時も、あらためてかっこいいバンドだと思いましたし、それを言葉で伝えさせてもらったんですね。今度はバンドで(Mt.FUJIMAKIに)来ていただけないかというオファーを出させてもらって、受けていただきました。本当に嬉しいです。
川嶋あいさんとは、一緒に「どうにか今日まで生きて来た」という曲でコラボをさせていただいて、その時間がすごくクリエイティブで。川嶋さんが詞を書いて、僕が曲を作って、という中で、コロナ禍でしたからLINEでやりとりをしたり、めちゃ長電話をしたり。そこで話したことが歌詞になったり、すごくいい時間だったんですよね。そのあと、2021年に配信で行った『Mt.FUJIMAKI』に出てくださって。「今度はぜひ山梨で」と言っていて、なかなかわなかったんですけど、その約束を果たすべく今回来てくれるということが、とても素敵だなと思っていて。僕自身も楽しみですし、川嶋さんをあの場所へお連れして、あの気持ちのいい場所で、あの名曲もあの名曲も、歌っていただけるんじゃないかと思います。期待していてほしいです。
高城れにさんは、この中で一番、みなさん新鮮に驚いてくださるんじゃないかな?と思うんですけど。れにさんは「3月9日」をカバーしてくださっているんですね。しかもすごく大事にしてくれていて、ご本人から聞いたんですけど、れにさんはひいおばあさんにすごく大事にされて育って、二人の思い出の曲が「3月9日」だったということで。ひいおばあさんが亡くなった今でもその曲を大事にしながら、自分の記念日にも、たとえばファンクラブのライブを3月9日にやったりとか。自分の手を離れたところで、そんなにもこの曲を大事にしてくださっていることを知って、僕自身もモモクロの曲、高城れにさんの曲を聴くようになって、本当にパワフルで、すごく勉強になることばかりで、ぜひともいっしょにステージに立ってくださいませんか?ということで、オファーさせていただきました。以前に対談させてもらった時にも、アイドルというものにプライドを持って取り組んでらっしゃることをすごく感じて、アイドルというよりも表現者ですよね。自信とプライドを強く持って、しかも楽しく表現されていることに、僕自身すごく刺激をいただいてるんですよね。たぶん『Mt.FUJIMAKI』バンドの演奏でパフォーマンスを披露してくれると思うんですけど、一体どうなるのか。ももクロのファンの方にも新鮮に感じてもらえるように、しっかりと準備したいなと思っています。
『Mt.FUJIMAKI 2022』撮影=photo by Ryo Higuchi
中学生、高校生で体感する音楽は、将来の仕事、感覚や感性に繋がっていく部分があると思っていて。そういう場所になってもらえるように、「高校生以下無料」にすることでモチベーションがすごく高くなります。
――という、例年にも増して豪華なメンバーが集結した2日間。間違いないです。そして冒頭で言われた「高校生以下無料」という、初めての試みもあります。これについては?
「3月9日」という曲もそうですけど、高校に歌いに行かせていただく機会がすごく増えているんです。コロナ禍でいろんな行事が中止になって、みんなでいろんな思い出を共有したいんだけど、共有する場がなかったという話を聞く中で、『Mt.FUJIMAKI』に友達と来てもらって、それが一つの共有できる思い出になってもらえるのであれば、その場所を提供したいなという思いがあって。去年までは「中学生以下無料」だったんですけど、今年は「高校生以下無料」にさせていただきました。やっぱり中学生、高校生で体感する音楽って、いろんな意味で将来の仕事であったり、感覚や感性に繋がっていく部分があると思っていて。僕も最初に見たライブを覚えていますし、そういう場所になってもらえるように、「高校生以下無料」にすることで、特に僕はモチベーションがすごく高くなりますし、いいライブをしたいなという思いが高まっています。
――みなさんぜひ。ほかに何か、新しい試みはありますか。
毎年、山中湖中学校のBLUE LAKE BEATというジャズバンドにオープニングを飾っていただいてるんですけど、今年も初日にやっていただこうと思っていて。そして2日目は、山梨県にゆかりのある方で、音楽家を目指している方のオーディションをしまして、2日目のオープニングアクトという形で、一組の方にステージに立っていただきます。そこの部分でも、山梨県が育んだ音楽というものを楽しんでいただけたらなと思いますし、僕自身もそうですけど、コロナ禍で大変だったミュージシャンで、アウトプットする場がなかった人が多いと思うんです。オーディションの最終審査が8月なんですけど、そこでもいろんな方に演奏していただいて、その中の一組が『Mt.FUJIMAKI』のステージに立っていただけるということなので、そこも楽しみにしていただけたらなと思います。あとはヴァンフォーレ甲府さん、はくばくさんを始め、コラボレーションした食のほうも充実させたいと思っています。サントリーさんが毎回天然水を提供してくださるのもすごくありがたいですし、暑くなる時間帯もあるので、水分の補給もしっかりしていただけたらなと思います。
――藤巻さん自身のステージは、どんなふうに?
僕のステージは、ある種の王道で行きたいなと思います。フェスとして盛り上がるもので、メリハリも付けたいですし、みんなが楽しめるセットリストでがっつり歌って、楽しんでもらうことですね。僕自身は、バンド編成で回った『Sunshine』ツアー(2~3月)が気持ちとして大きかったので、「藤巻はやっぱりバンドだな」と思っているところがあるので、Mt.FUJIMAKIバンドに乗せてがっつりと演奏したいなと思います。ツアーよりも人数が多い編成なので、アレンジの広がりも楽しんでいただきたいなと思ってます。
――ひょっとして、初披露の新曲も聴けたりとかは?
できたらいいですよね。自分なりに思っているところはあるので、「期待しないで」というよりは、「してくれていいよ」というぐらいで(笑)。今、そのぐらい充実した曲作りをしているので、楽しみにしていてくれていいと思います。
――最後にあらためて、『Mt.FUJIMAKI』ファンのみなさんへメッセージを。
みなさんが来やすいように、こちらも頑張りたいと思います。バスツアーもありますし、連休ですから、2日間泊っていただいて、山梨の魅力に触れていただきながら楽しんでいただけたら、山梨を応援している僕自身も嬉しいなと思います。素敵な場所がたくさんありますから、ぜひとも2日間楽しんでいただきたいですね。山梨を好きになっていただくきっかけになったらいいということが、『Mt.FUJIMAKI』を始める時のテーマの一つでもあったので、そこの部分を楽しんでいただけたらなと思います。

取材・文=宮本英夫
撮影=大橋祐希
『Mt.FUJIMAKI 2022』撮影=photo by Ryo Higuchi

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