高松亜衣「自分にはヴァイオリンしか
ない」 殻を破り決意新たに~「悪魔
」をテーマに三都市ツアー開催へ
今年2月、オリジナル曲『PRISM』をメインとするプログラムで東京・名古屋・大阪の三都を回ってから約半年。9月に開催する本ツアーでは、メインビジュアルで高松が漆黒のドレスに身を包み、イタリア語で「悪魔」を意味する “Diavolo” をタイトルを持つように、「悪魔」をテーマにした楽曲を演奏予定で、彩りが大きく変わる内容だ。前回ツアーからの半年間、またヴァイオリニストとしての活動への思い、そして本ツアーに向けた今の心境を語ってもらった。
多分それは、やりたい・やりたくないの前に、どう見えるか・どう思われるかを考えすぎてたと思うんです。そんな中で、「3年ごときで何をへこたれてるんだ」「もっと頑張れよ自分」と思うようになって、ちょうど前回のツアーが終わった頃から閉じこもっていた殻を破ろうと吹っ切れて今に至っています。
子供の時から、発表会が終わると悲しくて泣くくらいにはコンサートが好きでした。コンサートが好きでヴァイオリンをやっていた、と言える位でした。
“殻に閉じこもらない”ためにも、コンサートはやりたい時にやろうと決めました。
無事に音楽高校に受かって高校も楽しむ内に、レベルの高い音楽を目指すために東京芸術大学を受けることを決めました。ヴァイオリニストとして生きていく大変さは分かっていたので、「芸大に現役で行けなかったら辞めよう」と思って受けたんです。
そうして入った芸大では、周りがみんな上手で私自身もコンクールの成績が思うようにならず「辞めようか」と思う機会がありました。そんな時、普段はほとんどやらなかったSNSを始めてみてヴァイオリンを続ける道が開けたんです。
ヴァイオリンを弾くこと自体には、そんなに自信がないんです。周りにはもっと上手い人がいる!と思うことも多くて、褒められても素直に受け入れられない時もまだあります。
最近は社会の役に立ちたい、と思ったりもします。自分の中で一番得意なものがヴァイオリンだから、これを何かに活かしたい、と思うんです。
元々人のことを知るのが好きなんですけど、クラシック音楽の場合は、どういう風に思ってこの曲を作ったのか、この部分はどうしてこうなっているのか、などを読み解かないといけなくて。まさにこういう、演奏する曲のことを知ることが好きなんじゃないかな、と。
初めて聴いたのは高校生の時で、でもその時は『難しそう』って思う位でした。その後、自分が取り組むようになっても好きにはならなかったんです。
そうしたら、色んな感情がすっと入ってきて、涙が出てきて、ちょっと感情を表に出すことが出来たんです。この曲はオペラの色んな場面がぎゅっと詰まった曲で、色々な感情とか要素を一気に感じられたんだと思います。
それ以降は曲を気に入って、沢山聴くうちに曲のいいところがたくさん見えるようになっていきました。きっかけだけでなく、曲の内容も含めて、今では一番大好きな曲になってます。
この曲は兄が弾いていたのを聴いて以来、ずっと弾きたかった曲です。作曲家・タルティーニが夢で悪魔が弾いていた旋律を元に書いたと言われている曲で、悪魔と直接結びつくこの曲は、このテーマのプログラムには外せないと思って選曲しました。
実は24番は、今年に入って特に沢山弾いていて、今回のリサイタルでも取り上げるべきか迷ったんです。でも、やっぱりパガニーニ、そしてヴァイオリンの人気曲ということと、せっかくなら、一年に何度も取り上げる曲があってもいいと思って。このリサイタルでの演奏が今年一番のクオリティになるように、という気持ちも込めて取り上げることにしました。
カプリース24番と同じ主題からの変奏曲で、とっても難しいんですが、パガニーニのダイジェストみたいな曲で本当にかっこいいんです。
作曲したミルシテインは、20世紀の世界的なヴァイオリニストの1人です。その人物が、200年以上前の作曲家に心酔して現代のヴァイオリニストが曲を書いている、ということが面白いと思いました。私もヴァイオリニストの1人として、ミルシテインのこの曲を演奏会で弾いてみたいと思って、今回取り上げました。
この曲も変奏曲です。主題は簡単で、ヴァイオリンを習いたての人もレッスンで弾くようなメロディーなんですけど、変奏の部分がすごく難しいんです。使える指は4本しかないのに8つ押さえる瞬間があるとか。今回のテーマに沿った曲でもありますけど、ヴァイオリンやられてる方にとっても、変奏含め楽しんでもらえるかな、と思い選曲しました。
あとは一つ一つの音をすごく大切にされていると思います。演奏の動きに、一つ一つの音を愛して、音楽そのものに対して「これで良いんだよ」と話しかけられているようで、お母様としての姿のような、音楽への母性を感じる演奏でした。
きっとストレス発散にもなると思います。好奇心をくすぐりに、ぜひ来てもらいたいです。
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