BRAHMAN『RUSH BALL 2023』ライブレ
ポートーー夕陽に染まるステージに降
臨「今日の天気もわからねぇからこそ
、今この瞬間を全力で!」

『RUSH BALL 2023』BRAHMAN
傾き始めた夕陽の下、オレンジ色に染まったステージから最初に投下されたのは「THAT’ S ALL」だった。KOHKI(Gt)、MAKOTO(Ba)、RONZI(Dr)、そして白いタンクトップ姿のTOSHI-LOW(Vo)の4人が作り出す強靭なグルーヴがオレンジの空の下に轟くと、場内はたちまち興奮の坩堝と化していく。ステージ最前に大勢のオーディエンスが続々と押し寄せ、今度は笑顔で観客エリアに次々と戻っていくという歓喜のループが生まれる。
BRAHMAN
「大雨で中止! 明日どころか、今日の天気もわからねぇ。だからこそ、今この瞬間を全力で!」
前日に行われた『RUSH BALL』初日の後半戦は、凄まじい雷雨のため中止を余儀なくされた。今ここで我々が音楽を共に楽しめていることは、決して当たり前ではないのだと、TOSHI-LOWの言葉で思い知る。昨日悔し涙を飲んだ全ての人たちのための雪辱戦のように、「SEE OFF」のエモーショナルな歌声と激しいギターが鳴り響く。
そこから怒涛のライブが続き、いつの間にか上半身裸になっていたTOSHI-LOWが歌い始めたのは、Dragon AshのトリビュートアルバムでBRAHMANがカバーしたDragon Ashの名曲「few lights till night」だった。すると、この日のトリを飾るDragon AshのKjが、同じく上半身裸でステージに登場。ロック界が誇る筋肉の共演に場内も大熱狂だ。
「25周年おめでとう、Dragon Ash。ありがとうKj」
BRAHMAN
バラッド調に生まれ変わった「few lights till night」を歌い終えた後、『RUSH BALL』より一足早く昨年、デビュー25周年を迎えたDragon Ashに感謝の言葉を送るTOSHI-LOW。
続けて「フェスがあんまり好きじゃない頃から『RUSH BALL』には出ていたけど、同じ空間にいたはずのDragon Ashのことは無視してたし、全然喋らなかった。今考えると恥ずかしい。ちょっと視野を広げればこんなにも仲間がいたはずなのに。それができなかった自分が恥ずかしい。そして、28年前の1月17日を思い出すといつでも恥ずかしい。ボランティアを、復興の唄を歌ってる人を偽善だと思ってた。若かったから……いや、わかってないからだった。若い頃の自分に教えたい。わからないからもしれないけど、お願いだから、この歌を一緒に歌おうって」
BRAHMAN
そんな言葉に続けて最後に披露されたのは、1995年に起きた阪神淡路大震災を機に生まれた「満月の夕」のカバーだった。
今も東日本大震災の復興支援を続けているTOSHI-LOW。その歌声が、夕陽のオレンジと水色が重なる空の下、真っ直ぐに響く。恥や後悔を何度も重ね、それでも人は生きていく。バンドマンとしてのたくましい背中だけじゃなく、恥も弱さもさらけ出す。そんな頼もしい男たちの頭上には、ふっくらとした白い半月が浮かんでいた。
BRAHMAN
取材・文=早川加奈子 撮影=渡邉一生
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『RUSH BALL 2023』BRAHMAN
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(『RUSH BALL 2023』オフィシャルレポートの一覧はこちら)

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