みゆはん

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【みゆはん インタビュー】
いろんな悩みを抱えている
主人公たちの
テーマソングを詰め込んだ

個性的な歌声と、嘘偽りのないリアルな歌詞世界、たまに見せる遊び心あふれる楽曲が支持を集めているみゆはん。ニューアルバム『Downer』には彼女の魅力が詰まった、ジャンルレスでさまざまな姿を確認できる11曲が並ぶ。そんな今作について訊く!

どんな状況下であっても、
どこかしら希望は持っていたい

アルバム『Downer』はタイトルから世界観が見えるものになりましたが、どのように制作されたのでしょうか?

この世界には弱さや痛みを抱えながら、頑張って生きている人がたくさんいると思うんです。そういったいろんな悩みを抱えている人たちを主人公とした、まさに“テーマソング”を詰め込んだアルバムにしようという想いから制作が始まりました。

みゆはんさんは以前から人間のモヤモヤとした部分や闇の部分を言語化することがすごく得意な印象があるのですが、今回改めてそこにフューチャーした作品を作ることで気づいたことはありましたか?

今回はいろんな主人公のテーマソングを作るにあたり、さまざまないろんなことで悩んでいる人の事例をネットやドラマなどで吸収して、感情移入した上で曲を作っていったんです。そうすることでより多くの痛みや弱みに気づくことができたんですよね。楽曲を通してより多くの人に寄り添えられたらいいなと思っています。

いろんな人たちの事例や体験談を読むことで、自分の気持ちが引っ張られることはありませんでした?

引っ張られますね。例えば虐待を受けた子供のテーマソングを書こうとした時に、体験談を読んでいくうちにどんどん気持ちが暗くなってしまうことがありました。

どう対応していたんですか?

大学時代に心理学を専攻していて、音楽とネガティブな感情について研究していたことがあったんです。その時に、“人は自分の気分に合わせた音楽を選んで聴く”ということを学んだんですね。人ってすごく悲しい時は悲しい曲を聴くし、ちょっと悲しい時は明るい曲を聴きたがるらしいんです。そうやって気分に合わせて音楽を聴いているとしたら、私のような作り手側は悲しい気持ちになったまま悲しい曲を作れば、より刺さる曲になるんじゃないかって思うようになったんです。

なるほど。だからこそ、あえて引っ張られることを選んだんですね。

そうですね。でも、どんな状況下であっても、どこかしら希望は持っていたいという気持ち、願いがあるから、曲は必ず光が差すものにしているんです。じゃないと救われないですからね。もともと心理学を専攻したのも、人のことを救いたくて臨床心理士を目指していたからなんですよ。でも、いざ実際に人の話を聞いているうちに、どうしても引っ張られすぎてしまう部分があったので、その道を諦めてしまったんです。だからこそ、音楽で少しでも助けられたらいいなと思っていて。

なぜ、そこまで深く“人を助けたい”と思ったのでしょう?

私が学生時代にいじめられた経験があったのもそうですし…あとは、別のクラスで仲の良かった子もいじめられていることを知り、その子の家に行って話を聞いているうちに、友達が“救われた”と言ってくれたことがあったんです。その時に、そういう仕事に就きたいと思ったんですよね。

それが音楽という道に続いたあともつながっているのは、とても素晴らしいことです。

そうですね。それもあって音楽を作る時は、絶対に自分よがりだけにはならないと決めているんです。

すごく素敵ですね。そして、そんなさまざまな主人公になりきった楽曲たちは、とにかくタイトルが印象的なものが多いですね。

今回は愛猫のケセラを見てできた「猫になりたい」も収録しているんです。曲を作っている時に、ケセラが本当に自由にじゃれてきて、相手の状況をまったく考えることなく、甘えても許される存在っていいなって思ったんですよね。好きな時に、起きて、寝る、そんな猫になりたいという想いを込めて作りました。サウンドはケセラの自由気ままな雰囲気を出すためにバラード調にしたので、共感してもらえたら嬉しいです(笑)。

これは聴いた人全員が共感できそうですね(笑)。今回はヒャダインさんをはじめ、KEYTALKの首藤義勝さんなど、全曲アレンジャーの方も違うのですが、どのような人選になっているのでしょうか?

私からお願いした方もいますし、アレンジをお願いする際にリファレンスをお伝えして、サウンドディレクターさんがマッチングしてくれた方もいるんです。特にヒャダインさんにお願いした「コロコロ魂!」はすごかったですね。私がパソコンで打ち込み、大雑把に組み立てたデモ音源をお渡ししたら、ヒャダインさんが持っている音楽性や世界観がプラスされて返ってきて、よりこの曲の解釈が深まったんです。そこからもっとやりたいことが出てきて、プラスして…という作業をやりとりさせていただくうちに、さらにいい曲に仕上がっていきました。

コロコロコミックとのタイアップということで、みゆはんさんの心の中の小学4年生男児が喜んでいるのが歌詞から伝わってきます(笑)。

自分もコロコロコミックを読んでいたのですごく楽しかったです! 童心に返って制作することができましたし、普段は絶対に出てこないような言葉がポンポン出てきたんですよね。実際に小学4年生の男児になった気持ちで作りました(笑)。ライヴでも何度か披露しているんですが、ものすごく盛り上がるんですよ。

これは盛り上がるのは間違いないですね! 「化け猫ビート」も印象的でした。

この曲は「化け猫ワルツ」(2017年9月発表のアルバム『リスキーシフト』収録曲)という楽曲を平成リミックスのようにしてライヴで披露したいという願いから生まれました。たぶん、この曲でパラパラを踊りたかったんだと思います(笑)。表向きには“にゃーにゃー”で歌っていますが、歌詞カードには訳があるのでそれを読みながら聴いてもらいたいですね(笑)。
みゆはん
アルバム『Downer』

OKMusic編集部

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