【flumpool インタビュー】
不幸なことが多い時代の中でも、
希望だけは持っている
バンドでありたい
優れた音楽性や魅力的なバンドキャラクターなどで多くのリスナーを魅了し、シーンの中で確固たる地位を築いているflumpool。そんな彼らからデビュー15周年を飾るベストアルバム『The Best flumpool 2.0~Blue[2008-2011] & Red[2019-2023]~』が届けられた。同作は初期の楽曲を収めたBlue盤と2019年以降に制作した楽曲を収めたRed盤という2CD仕様で、flumpoolの魅力をたっぷりと味わえる。山村隆太(Vo)と阪井一生(Gu)に、新作や15年の歩みなどについて語ってもらった。
ただ既存曲を並び替えた
ベストアルバムにはしたくない
デビュー15周年を飾るベストアルバムがリリースされますが、収録曲はどんなふうに決められたのでしょうか?
山村
制作に入る前にベストアルバムを作る意図を明確にしたくて、みんなで話し合いました。その話し合いの中で、“サブスクが主流の現代にベストアルバムをリリースするなら、ただの既存曲の並び替えアルバムにはしたくないよね”ということになったんです。そこで、改めて15年の変化を一番感じてもらえる楽曲のかたちとは何なのかと考えたところ、ポリープ手術や発声障害での活動休止(2017年12月~2019年1月)など、バンドの歴史が一番詰まっている“声”の再録音がいいんじゃないかという意見が多く出たんです。それなら現在と比べて変化が大きい初期の楽曲を選曲しようという流れで、まずはBlue盤に入れる曲を選んでいきました。
では、そのBlue盤に収録されている楽曲の中で、それぞれ特に思い入れの強い曲や印象深い曲を挙げるとしたら?
山村
「花になれ」です。理由は今回改めて歌をレコーディングする時に昔の音源と聴き比べながら録音していたのですが、この曲は昔のラブレターを読み返しているような気持ちになったので。きっと今の自分には持ち得ない衝動や、いい意味での未熟さ、魅力的ながむしゃらさといったことを感じて、こんなふうに今は歌えないと思ったんです。だけど、レコーディングする中で、今しか伝えられない葛藤や潔さ、強さという新しい感情が芽生えてきました。そういう意味で、印象深い一曲です。
阪井
僕も「花になれ」ですかね。この曲で人生が変わったし、15年経っても自分自身背中を押してもらってる、一番大事な曲です。
Blue盤はflumpoolならではの洗練感を纏ったメロディアスな楽曲を軸としつつダンサブルな「星に願いを (Ryu-Take 2023 ver.)」や、切迫感を帯びた「MW ~Dear Mr.&Ms.ピカレスク~ (Ryu-Take 2023 ver.)」なども収録されていることが印象的です。では、2019年から2023年までの楽曲で構成されているRed盤のほうは?
山村
今回は“青春の青”“成熟の赤”というテーマのもとに2CDという形態にしたんですね。2019年以降に作った楽曲たちの根っこには活動休止やコロナ禍といった出来事の中で感じた想いが詰まっているので、Red盤はその中で学んだこと、気づいたことをもとに書いた曲を収録しました。
Red盤は「ビギナーズノート」や「青空ブランニュー」といったCD未収録曲が入っていることも注目ですね。そんなRed盤に収録されている楽曲の中で、それぞれ特に思い入れの強い曲や印象深い曲は?
山村
「Magic」が一番思い入れの強い曲ですね。“15年も越えて音楽を作りたいと思う原動力とは何か?”“これからも音楽を作り続けていく意味とは?”みたいなことへのひとつの答えのような楽曲なので。そして、僕の人生を支えてくれた全ての人たちに向けた想いを綴った曲でもあります。
阪井
僕は「HELP」ですね。活動休止を経てできた曲で、僕らには珍しく歌詞先行で曲を作ったんです。説得力があって力強い歌詞だったので、この世界観を大事に曲作りしたことを今でも覚えていますね。
メンバーみなさんの想いや意思などが明確に反映されることで、より深みのある楽曲になっていることを感じます。そして、Red盤には新曲の「泣いていいんだ」も収録されていますね。
山村
「泣いていいんだ」は“家族”ということがテーマになっているアニメ『柚木さんちの四兄弟。』の主題歌として書きました。大切な人の涙を見た時に感じるさまざまな感情、そのひとつに“僕が守りたい”という気持ちがあって、自分の中から生まれる強さや絆を感じた際に生まれた歌詞です。
阪井
この曲はすごくストレートで、切なくも心温まる曲にしたいと思って作りました。flumpoolらしく、自分たちの武器を最大限に活かせた曲になったと思いますね。