内田 彩

内田 彩

【内田 彩 インタビュー】
再会した方々と
一緒に制作できることが
何にも変え難い幸せ

内田 彩のアルバムが帰ってきた。前作『Ephemera』(2019年11月発表のアルバム)から約4年。待望の最新作は彼女をアーティストデビュー当初から支えてきた制作ディレクター・井上哲也を再び迎えて生み出した会心の作。“王道”であり“最新モード”でもあることを強く示す新録曲はもちろん、約10年間のアーティスト活動で感じる自身の変化についても訊いた。

私たちに迷う時間なんて
全然なかったんです

なんと約4年振りとなるアルバム『MUSIC』がついに完成しましたね。

『Ephemera』を発売してから本当にいろいろとありましたよね。個人的には“気づかないうちに4年振りになっちゃったんだ!?”というのが正直な気持ちで、あえて間隔を空けていたわけではないんです。世界がコロナ禍に突入してアルバム制作どころではなかったわけですが、私自身も流れていた時間の早さに驚かされました。

今回は2020年3月発売のシングル表題曲「Reverb」をはじめ、4枚のシングル収録曲に加えて4曲の新曲を収録しています。

感覚としては、今回のアルバム制作はシングル制作の延長のような心持ちで取り組めたんです。2019年までは今作の倍近い新曲を歌っていたかと思うと恐ろしすぎる(笑)。

内田さんはシングルよりも“アルバムが主体なアーティスト”として活動するタイプでしたからね。だからこそ、アルバム制作への思い入れもあるのでしょうか?

きっと私の性格的にもアルバムのほうが向いているんだと思うんです。制作や発売についてを決めるのはあくまでスタッフさんですが、だからこそデビュー作『アップルミント』(2014年11月発表のアルバム)の頃から“内田さんのアルバムを作りたい”と思ってもらえていることがとても嬉しくて。あの当時にたくさんの楽曲で一枚の作品…いわば物語を作る感覚や、その楽しさを味わえたことの意味がとても大きかったし、決められたテーマの中で、“アルバムだからこそ”という楽曲選びに悩んだり、“何をしようか?”と考えたりするのが、今でも好きなんですよ。

なるほど。それで言うと今作の制作過程で特に悩んだ部分は?

それが、悩んでいる暇が一切なくて(笑)。今作では私のアーティストデビュー当時からお世話になってきた、制作ディレクターの井上哲也さんとまた一緒にお仕事ができることになって、アルバム制作について話し合ったのですが、なんとその打ち合わせのためだけに井上さんが新品のプロジェクターを買ってきていて(笑)。

まさかの機材投資ですか(笑)。

“お世話になった方だからこそ成長した姿を見せるぞ!”なんて考えていましたが、井上さんのほうがもっと意気込んでいてくれていました(笑)。しかも、井上さんがアルバムをイメージした動画からイメージイラストまで、完璧なプレゼン資料を用意してくださっていたんですよ。その時に“完全に頭の中でアルバムが出来上がっているんだな”と知りました。

内田さんの手元にそれらしきプレゼン資料が見えたのですが、各楽曲にイメージカラーがついているんですね。

そうなんです。楽曲ごとにフォント、文字の背景色など、細かなイメージまで固められていたので、アルバムタイトルと収録曲はその場ですぐに決まりました。というより、4つの新曲のうち一曲はほぼ完成していて、残り2曲のデモも取り揃えられていたんです。ついこの間まで、コロナ禍でアルバム制作に躓きそうだったところから、一気に物語が動き出した感覚がありましたね。

差し支えなければ、アルバムタイトルの候補案などをうかがえますか?

“POWER OF NOW”や“NOW”。あとは、“再集結”を意味する“REUNITED”。すごくお洒落なフォントで“FEEL”なんていう案もありました。どれも井上さんから見て、音楽活動を約10年してきた私がどう見えているのか。はたまた、私自身がコロナ禍を通して今、何を感じているのか。この数年、ファンのみんなも当たり前が当たり前でなかったことに気づいたと思うので、だからこそアルバムのテーマとして“今”を掲げています。

そして、最終的に“MUSIC”に決まったと。

あっ! タイトル候補を映像でプレゼンされている時の最後に、ひらがなの文字がポンッと動いて出てきた“まるで元気”という案もあったのですが…その場にいた全員からの“これ、なんですか?”というツッコミを他所に井上さんは淡々と“実は「まるで元気」は楽曲もフルサイズで完成しています”と明かされたんです。いやぁ、本当に私たちに迷う時間なんて全然なかったんですよね。

制作に関する流れなどがよく分かりました。前談が長くなってしまいましたが、ここからは各新曲について聞かせてください。前述の「まるで元気」は「アップルミント」(『アップルミント』収録曲)の歌詞をサンプリングしたり、アウトロでアルバム『Blooming!』(2015年7月発表)の表題曲「Blooming!」のメロディーをオマージュしたりと、過去作とのつながりを感じられる曲になりましたね。

ここ数年は常に新しいことに挑戦しようと頑張ってきたのですが、活動が長年にわたってきたからこそ、このタイミングで王道な作品を出してみたくなって。なので、この楽曲では“アーティスト・Aya Uchida”の原点であり、最新モードというイメージを表現しました。しかも、タイトルは“まるで元気”。

“まるで”の部分が気になりますね。

私自身も初めてタイトルを聞いた時に“元気じゃないってこと?”と井上さんに訊いてしまって(笑)。井上さんから“内田さんっていつも元気じゃないですか。ライヴが終わったあとも疲れているはずなのに“もう一本やりたい”とか言い出しますよね。あれこそが、まるで元気だよ”と説明されたんです。確かに喉を壊してしまった時とか、気持ちは元気なのに身体がそうじゃない時もあったと思って。でも、パッと見で私っていつも元気なんですよ。この約10年間、私を見守ってくれた井上さんだからこその歌詞だと思います。
内田 彩
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OKMusic編集部

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