s**t kingzの持田将史・小栗基裕とジ
ャズピアニスト小曽根真による鼎談模
様が公開 舞台『ある都市の死』

2023年12月6日(水)から東京・大阪にて舞台『ある都市の死』が開幕する。
本舞台は、映画『戦場のピアニスト』の主人公としても知られるポーランドのピアニスト、ウワディスワフ・シュピルマンが壮絶な第二次世界大戦の戦禍を生き延びた軌跡を、シュピルマンのみならず、彼の息子・クリストファー、そして敵国ながら彼を助けたドイツ軍将校ホーゼンフェルト、それぞれの目線で描かれている。
出演者は、s**t kingzの持田将史(shoji)・小栗基裕(Oguri)と、世界で活躍するジャズピアニストの小曽根真。持田は主人公のシュピルマン、小栗は息子であるクリストファーやドイツ軍将校ホーゼンフェルトを演じ、またダンスで表現。さらに、小曽根もシュピルマンとして舞台上に存在しつつ、戦争によって破壊されていく街の魂もピアノで表現する。戦争は人から何を奪うのか。人の心に何を残してしまうのか。なぜ、戦争はなくならないのか。そして、なぜ、この世には音楽や芸術が必要なのか。生の舞台でしか表現の出来ない、一度きりのピアノの演奏、声、ダンスを通じて、「一度きりの人生」を描き出す。
上演台本・演出は『スラムドック$ミリオネア』『ザ・ビューティフル・ゲーム』で菊田一夫演劇賞を受賞した瀬戸山美咲。
この度、持田、小栗、小曽根のインタビューと持田と小栗がポーランドへ視察に行った模様が公開された。
この時代だから届けたい作品に——
(左から)小曽根真、持田将史、小栗基裕
持田と小栗は、2019年・2021年に、演出家・瀬戸山美咲とタッグを組み朗読劇『My friend Jekyll』を上演。その後、どんな作品に挑戦しようかと考えていた中で、小曽根のピアノと出会い、『戦場のピアニスト』というテーマが浮かんだと言う。
小曽根が奏でるピアノについて、持田は「初めてのリハーサルで、小曽根さんがポーンと一音弾いただけで、街の情景が見えるような不思議な感覚がありました。僕たちが演じるセリフを聞いて、その瞬間に小曽根さんが捉えた音を弾いていく。それにより、セッションのように、どんどん新しい空気が生まれるんです。音楽ってすごい力を持っているんだなと改めて感じながらリハーサルに取り組んでいます」と話し、「僕自身も、この作品は大きなチャレンジで、どう向き合うべきか、日々葛藤しています。人生のターニングポイントになると言ってもいいくらい。充実した時間を過ごしています」と語る。
小栗は、1940年代、壮絶な戦禍を生き延びた『戦場のピアニスト』主人公の実話をもとに描かれる今作について「僕が演じる役のひとつ、息子のクリストファーは、ストーリーテラーとしての要素もあり、歴史的な事実をきちんと伝えていかなければいけません。そして、ドイツ軍でありながシュピルマンを助けたホーゼンフェルトは、このナチスドイツによる虐殺に疑問と怒りを持っていた。そもそも、どうしてこんな悲劇が生まれたのかと、本を読み、ドキュメンタリーや映画を観ても、簡単に定義づけられることではない問題だなと思います。この作品が、みなさんにとってもっと知りたくなる、考えたくなるようなきっかけになれたらいいなと、精一杯作品と向き合っています」と明かした。
小曽根は、2人の演技・ダンスについて「吸収力が本当に素晴らしく、常にアンテナを張って、僕が出した音から瞬時に何かを捉え、パフォーマンスにつなげてくれます。同じ場面を稽古していても、毎回全く違うので、セッションをしているような楽しさを感じながらリハーサルに臨んでいます」と新たな化学反応を楽しんでいると言う。ショパンの作品に対して特に顕著な芸術活動を行った世界の芸術家へポーランド政府から贈られるというショパン・パスポートを授与されている小曽根によるショパンの旋律も見どころのひとつ。劇中では、ショパンの「ノクターン第20番嬰ハ短調」も演奏。小曽根は、「演奏会ではなく、シュピルマンというピアニストの物語の中で、僕がどんな風に弾くのか。想像力を高めて臨みたいと思います」と作品への意気込みを語った。
物語の舞台であるポーランドへ視察も
ワルシャワの街
持田・小栗は、この作品を演じるにあたり、舞台であるポーランド・ワルシャワへ。ユダヤ人居住雨域として詰め込まれたゲットーのエリアや旧市街、アウシュビッツ強制収容所も訪問した。
惨劇の傷跡を目の当たりにし2人は「ここで何人もの命が奪われてしまったこと、その事実だけでも胸が苦しくなりました」と振り返り、「ポーランドの街には、ゲットーの壁の跡、銃撃戦の弾痕など、いたるところに戦争の記憶が残されていました。この悲劇を忘れないように、という意思とともに、破壊されて跡形もなかった建物を昔の写真や絵画をもとに再現し、こんなに美しい街を復興させたポーランドの人々のパワーも感じました」と語った。
現地では、瀬戸山とも合流し、地名や道の幅など、ワルシャワの空気を感じたり、ドイツ軍将校ホーゼンフェルトと出会った場所にも立ち、作品への理解をさらに深めた。
登場人物のひとりであり、『戦場のピアニスト』主人公の長男とも対面
(左から)小栗基裕、スピルマン氏、持田将史
さらに、持田・小栗は、シュピルマンのご子息であるクリストファー・W.A.スピルマン氏と対面した。実は、近代日本思想史の研究者として長く日本に住むクリストファー氏。息子から見たシュピルマンを描いた著書「シュピルマンの時計」(小学館刊)は、舞台の原作のひとつ。
「父は寡黙な人で、毎日ピアノと向き合う日々でした。そんな父は、お願いしても自転車を買ってくれなかったり、僕が危ないことをしたときには過剰に怒りをあらわにしていました。いま思うと、ですが、きっと、もう二度と家族を失いたくないという思いだったのかなと思います」と父親像を語ってくださいました。クリストファーさんは、シュピルマンさんの体験記を屋根裏部屋で見つけ、初めて父親がユダヤ人であり、壮絶な戦禍を生き延びたことを知ったそうだ。刻銘に記録された体験記について「想像することしかできませんが、頭の中にある恐怖の記憶をすべて詰め込んで、忘れたかったのかもしれません」と振り返る。
クリストファー氏の話をうかがい、持田は「シュピルマンさんが本当に実在していたんだなということ。と、同時に、特別な人物ではなく、ひとりの“父親”であったことを改めて感じました」と、親族の方からの話を聞くことで自身の役作りへのヒントを集めていた。
(左から)小栗基裕、持田将史
ゲットーのユダヤ人たちが立ち上がったワルシャワ・ゲットー蜂起から80年目を迎える2023年。舞台『ある都市の死』の東京公演は12月6日(水)~12月10日(日)草月ホールにて、大阪公演は12月12日(火)・13日(水)サンケイホールにて上演。本作はブリーゼウクライナやイスラエルでの紛争など、世界情勢が不安定な中、いま改めて考えるきっかけになるであろう。
今回の舞台について持田は「この作品は、“一人の人間が生きる”ということを描いています。皆さんにとっても、“どう生きるのか”何かを感じていただけるきっかけになればと思っています」と話し、小栗は「いまの時代にも通じるテーマがたくさん詰まった作品です。小曽根さんのピアノとともに作り出すこの世界をぜひ体感しにきてください」と意気込みを示した。

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