MIKOLAS

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【MIKOLAS インタビュー】
信じられないぐらい
クレイジーなことが起こったと思う

ありのままの自分の気持ちを
そのまま曲にした

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(笑)。そんなミコラスさんの性格も分かったところで、ここからは再リリースされた楽曲たちについて質問していきます。「Lalalalalalalalalala」はどんなきっかけで作った曲だったのですか?

その時の恋人からインスピレーションを受けて書いた曲です。MVは大袈裟に描かれていますけど、要は“もう、気持ちの整理をしなきゃいけないよね”という内容です。ちょうど自分がそういう心境だったんです。この曲はありのままの自分の気持ちを曲にしたもので、人に聴かれることとかを意識せずに書いたから英語の汚いスラングを使ったりしているんですね。僕の中では、そのスラングをきれいな言葉に変えずともヒットしたことが自分を自由な気持ちにしてくれました。

MVで血みどろになった意図は?

いい質問ですね(笑)。あのMVですが、実は血みどろのせいでフランスやイタリア、ポーランドでは放送禁止になったんです。だから、放送禁止になった国ではレーベルが作った、僕が出ていないダンスビデオがテレビでオンエアされていて。それを観ている人たちは、この曲を歌っている僕の顔を知らないんです(苦笑)。

えっ!? そうなんですね。日本では観れますよ。

なぜ映像の中で僕が血みどろになったのかと言うと、当時の自分の心情をビジュアルにするとあれでした。嘘偽りなく、当時の自分の心は血みどろだったということです。

血みどろになるというのは自ら提案したアイディアだったのですか?

はい! 自分のアイディアなので、放送禁止になったことは自分の責任です。僕は『NARUTO -ナルト-』の大ファンなんですけど、ヨーロッパで『NARUTO -ナルト-』のアニメがディズニーチャンネルでストリーミングされていたんです。でも、途中から内容的に子供向けではないと判断されたのか放送されなくなってしまって。

あの作品も流血、血まみれシーンが出てきますからね。

今思えば、僕のビデオもそれと似たようなことが起こったのかなって。
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確かに。次は「Boys Don't Cry」について。こちらはどんな経緯で書いた曲でしょうか?

僕の曲はつき合っていた人がきっかけで作ったものが多くて。みなさんの前ではあるけれども、曲を通してその時の自分の気持ちの清算をしていくというのがだいたいのパターンですね。だけど、この曲はちょっとパターンが違っています。実際に誰かとつき合った体験をもとにはしておらず、古い考え方の男性像に対して疑問を投げかけているんです。自分の国では、一般的な男性像から外れた表現をすると批判の対象となってしまうんですよ。だけど、そんなものに縛られるのではなく、健全でリアルな男性像、その在り方を賞賛すべきだろうと思って、この曲を書きました。

“男は泣くんじゃない!”と言われても、泣きたい時は自分の感情を素直に出していいんだと。

特に僕らの世代の人たちに向けて“自分の正直な気持ちを出していいんだよ”ということを、僕は伝える側の人間でいたい。この曲を書いた裏にはそういう気持ちもありました。

恋愛をモチーフにしながらも、実はメッセージソングだったんですね。

はい!

MVでは血ではなく雨でずぶ濡れになっていましたね。これも自身のアイディア?

そうです! 僕のアイディアではあるですが、撮影した時期が本当に寒くて(笑)。未だに憶えていますけど、1月で雪が降っていたんですよね。MVの監督が日本人だったのですが、前日に僕のところに来て“制作側は準備万端だけど、もし嫌ならこのアイディアは止めてもいいよ”と言ってくれたんです。“いやいや。やろうよ!”って僕はすぐに返答しましたね。それで翌日、実際に現場でバケツをひっくり返したような水が僕に降ってきた時は、寒さで“うっ!”となりましたね。僕もあと少しで“もう止める”と言いそうになりました(笑)。でも、そういう時こそ自分のやりたいことのために頑張らなきゃいけないと思って最後まで撮影をしたんです。撮影した1週間後に肺が炎症を起こして病院行きになったんですけどね。

めちゃくちゃ身体を張っているじゃないですか!?

時にはこういうハードなこともやっています。

あの雨は涙を表現していたのですか?

そうです。このMVは編集作業までかかわったのですが、映像の中では僕がスピンしたところで雨が降ってくるんです。なので、実はその雨が涙であるというのが分かってもらえて嬉しいですね。その他にも、ここでは人の批判から解放された自分…雨によって人の批判が流され、自分の心がきれいになった時の開放感を表現しています。このシーンは僕の好きなブロードウェイのミュージカル『雨に唄えば』の雨に濡れて踊るシーンにインスパイアされた部分でもありますね。

深いですね!

エモーショナルなものを表現するとそうなりますよね。

では、次に「Delilah」です。この曲の中でも中毒性があるフレーズの“ネバダ、ランバダ、ハヴァナ”がどのようにして思いついたのかを知りたいです。

曲作りの終盤直前までその部分はずっと“NaNaNa”で歌っていたんですよ。歌詞を書く時に、僕は歌メロを考えて出てきたワードに寄せた単語を入れ込みたいので、実際の言葉の意味よりも韻を重視していったらこの言葉になっただけです(笑)。他の人は違うかもしれませんが、僕は曲を聴く時に歌詞の言葉の意味ではなく、曲の雰囲気から入っていくんですよ。なので、この曲を聴いた友達からも“あれは何か言っているの? それともNaNaNaって言っているだけ?”って訊かれたこともありました。何回も聴いていけば、あとから単語が入っているんだということが分かる。そういうところも自分の狙いではあります。

なるほど。それではエモーショナルなバラード「Never Get 0ver You」はどんなきっかけから生まれた曲だったのですか?

つき合っていた人について書いたもので、この曲は2017年に書き始めて、トロントにいた時にようやくかたちになりましたね。初めて書いた本格的なバラードだったので、完成までに時間がかかってしまって。ヴォーカル的にもまだまだ自分はテクニックが未熟だったから、自分の想いをエモーショナルな歌に乗せるのに2年ぐらいかかりました。なので、ようやくこの曲から抜け出せた感じがあります(微笑)。

ライヴでオーディエンスが一斉にスマホのライトを点けて振っているシーンがロマンチックで印象的でした。

僕のライヴでは観客が「Boys Don't Cry」でステージに花を投げてくれるんですけど、それは男の子だって花をもらってもいいじゃないかというパフォーマンスのひとつとして、みんながやってくれているんですね。ただ、この曲でスマホのライトをみなさんが点けてくれたのは、地元で初めてやったライヴで、まだこの曲がリリースされてない時期だったんです。その時にあのリアクションがきたので、自分としては本当に嬉しかったです。この曲は自分の内面の奥底まで曝け出しているバラードだから、ここまでみんなに自分の心の細部まで見せるのは非常に怖さがありましたが、1回目からライトを点けてくれたことで、こういうものも受け入れてくれるんだと感じましたね。

その時のステージやMV、今日も白いタンクトップを着てらっしゃいますが、何かこだわりがあるのですか?

あははは! 確かに今日もそうだね! これでスタイリストがいないことがバレちゃった(笑)。基本的には自分が好きなもの、着心地が良いものを優先して着ているだけなんだけど。今後はタンクトップじゃなくて、たまにはTシャツにしようと今思いました(笑)。

では、そんな4曲が再デジタルリリースされ、日本のファンのみなさんにはどんなふうに楽しんでもらいたいと思っていますか?

「Lalalalalalalalalala」と同じようにどの曲も自由に楽しんでもらいたいです。

ぜひ、来日してライヴをしてもらいたいです。

日本に行ってパフォーマンスをして、僕のライヴを日本のみなさんにも観ていただきたいと思っているので、早くお会いしたいですね!

取材:東條祥恵

配信シングル「Lalalalalalalalalala」2023年11月24日リリース avex trax
配信シングル「Boys Don't Cry」2023年11月24日リリース avex trax
配信シングル「Delilah」2023年11月24日リリース avex trax
配信シングル「Never Get Over You」2023年11月24日リリース avex trax
MIKOLAS プロフィール

ミコラス:チェコ共和国のシンガーソングライター、プロデューサー。1995年10月4日、チェコ共和国プラハ生まれ。2018年に発表したシングル「Lie to Me」のヒットでチェコ代表として『ユーロビジョン・ソング・コンテスト』に出場し、6位入賞を果たす。その後は20年から23年までの3年間は活動を休止し、楽曲制作に精を出す。復帰後に発表したシングル「Delilah」が大きな話題を呼んでいる。さらに20年発表のシングル「Lalalalalalalalalala」が時を経て日本で大人気となっている。同年11月に「Lalalalalalalalalala」、「Boys Don't Cry」、「Delilah」、「Never Get Over You」の旧譜4曲を再リリースした。MIKOLAS オフィシャルInstagram
MIKOLAS オフィシャルLINE

「Lalalalalalalalalala」
【日本語歌詞付きMusic Video】

「Boys Don't Cry」
【日本語訳付きMusic Video】

「Lalalalalalalalalala」MV

「Lalalalalalalalalala」
Official Dance Video

「Lalalalalalalalalala」
Official Acoustic Video

「Boys Don't Cry」MV

「Boys Don't Cry」
Behind The Scenes

「Delilah」 (with Mark Neve)
Visualiser

「Boys Don’t Cry」(Live in Paris)

「Never Get Over You」
Official Audio

OKMusic編集部

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