新国立劇場、「こどものためのバレエ
劇場 2024」で『人魚姫』を上演 振
付は貝川鐵夫
嵐の夜、人魚姫は海で溺れていた王子を助けます。人魚姫は王子に憧れ、魔女の魔法で人間となりました。再び出会った二人は互いに惹かれあいますが、王子には既に決められた婚約者がいたのです……。
吉田都舞踊芸術監督よりメッセージ
今回の企画は新国立劇場バレエ団から振付家を育てるため、デヴィッド・ビントレー元舞踊芸術監督の発案・監修のもとに発足したプロジェクト「NBJ Choreographic Group」において、「全幕バレエを」という構想からスタートいたしました。2021年に“物語バレエ”をテーマに作品を募集し、貝川さんの『人魚姫』を「こどものためのバレエ劇場」の新作として膨らませることとなりました。
童話として親しまれている『人魚姫』をバレエにすることで、お子様やバレエにあまり馴染みのない大人の方がバレエを楽しまれ、身近に感じてくださることを期待しております。
バレエは言葉を発しないため、子どもたちの受け止め方は無限で、さまざまな想像をかき立てられることでしょう。「子どもたちの想像力・創造力を豊かにしたい」。貝川さんや私が「こどものためのバレエ劇場」へ向けて持つ思いです。新国立劇場、そして「こどものためのバレエ劇場」がお子様たちの未来を育む場になるよう、努めてまいります。
新国立劇場バレエ団に在籍中は、立ち役から主役、クラシックからコンテンポラリーまであらゆる役や作品を経験させていただきました。また、ビントレー元芸術監督時代に「NBJ Choreographic Group」ができ、それ以来振付活動をしてきました。その結実として、今回このような機会を頂戴することとなり、感謝申し上げます。『人魚姫』はパ・ド・ドゥとして最初に「NBJ Choreographic Group」で発表しましたが、吉田芸術監督に見出され全2幕の全幕バレエとして生まれ変わります。
今作品はアンデルセンの「人魚姫」をモチーフにしました。
彼女が王子との恋は実らず泡となってしまうという切ないストーリーは多くの方が親しまれているかと思いますが、実は泡となったその後300年間、天国に召されるまで風の精として過ごすという結末をご存知の方は少ないかもしれません。「親から愛しみを受ける子どもを見つけて私たちも微笑むと 300年の試練は1年ずつ短くなる。逆に、親を悲しませる悪い子を見て涙を流すと1日ずつ長くなる」。物語のラストで人魚姫は他の風の精霊たちからそのように教わります。何か教訓めいたその示唆は、私たちに問題を出されているような、ここに大事なことが隠されていそうな…そんな思いを抱きながら作品全体を構想しました。
使用楽曲はドビュッシー、サティ、グリンカ、メンデルスゾーン、ヴェルディ、ロッシーニ、マスネなど、19世紀に活躍した作曲家の音楽を中心に選びました。19世紀はクラシック音楽においてあらゆる音楽表現が生まれた時期とも思えるのです。美しい旋律、形式、ダイナミック性、繊細性、呼吸、その1音1音が物語表現に欠かせない存在です。
人魚姫は深海奥深くから、人間の魂に憧れ、未知の地上へと足を踏み入れ、様々な人間模様、喜び、おかしさ、寂しさ、醜さ、辛さを経験します。
そして、人魚姫は人間の魂をどのように思い生きていくのか。
この物語にはわかりやすい答えがある訳ではありません。子どもたち一人ひとりの感じるままに、このバレエをご覧いただきたいです。
SPICE
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