2024年ミュージカル『アニー』製作発
表レポート~初参加・須藤理彩の意外
な「ハニガンらしさ」が明らかに

【THE MUSICAL LOVERS】ミュージカル『アニー』第53回

ミュージカル『アニー』2024 製作発表レポート~初参加・須藤理彩の意外な「ハニガンらしさ」が明らかに

2024年の丸美屋食品ミュージカル『アニー』(主催・製作:日本テレビ放送網/協賛:丸美屋食品工業)の製作発表会見が、2024年2月6日に都内で行われた。
日本テレビ主催によるミュージカル『アニー』は、1986年から日本での上演がスタートし、本年で39年目を迎える。世界大恐慌直後の1933年、真冬のニューヨークが舞台。誰もが希望を失う中、本当の両親が迎えに来る「明日」を信じて生きる孤児・アニー。そんなアニーをとりまく個性あふれる孤児たち、アニーによって変わってゆく大人たちが繰り広げるストーリー展開と、「Tomorrow」をはじめとする名曲の数々が、これまでのべ191万人におよぶ日本の観客に感動を与え続けてきた。また、これまで誕生したアニーは計72名にのぼる。2024年は4月20日(土)~5月7日(火)、新国立劇場 中劇場にて東京公演が行われ、夏には呉・大阪・仙台・名古屋公演も予定されている。演出は山田和也、音楽監督は小澤時史、振付・ステージングは広崎うらんが担当する。
今回の製作発表に登壇したのは、2023年10月にオーディションで決まった新しいアニー2名(Wキャスト)と、大人キャスト5名、そして演出を担当する山田和也だ。
大富豪ウォーバックス役には、2017年度から2021年度までの4年間、そして2023年にも同役を務めた藤本隆宏。
アニーたちが暮らす孤児院の院長ハニガン役には、『深夜食堂』シリーズをはじめ数多くのドラマに出演、2023年にはブロードウェイミュージカル『ピーター・パン』のダーリング夫人役でミュージカル初出演を果たした須藤理彩。ミュージカル『アニー』には今回初参加となる。
大富豪ウォーバックスの秘書グレース役には、2021年度より4度目の出演となる笠松はる。
ハニガンの弟ルースター役には、2022年度から3度目の同役となる財木琢磨。
ルースターと組んでアニーたちをだますリリー役には、ミュージカル『ロミオ&ジュリエット』やNHK大河ドラマ『どうする家康』にも出演を果たした天翔 愛。ミュージカル『アニー』には今回初参加だ。
チーム・バケツ アニー役の岡田悠李(おかだ ゆり。2013年生まれ10歳・小学校4年生・東京都出身)は、主な出演作に、ミュージカル『ジェーン・エア』ヤング・ジェーン/アデール役(2023年)がある。ミュージカル『アニー』オーディションは2回目で、今回、見事アニー役を射止めた。
チーム・モップ アニー役の絢田祐生(あやた ゆうき。2012年生まれ・11歳・小学校5年生・神奈川県出身)は、主な出演作に、ミュージカル『レ・ミゼラブル』リトル・コゼット/リトル・エポニーヌ役(2021年)がある。ミュージカル『アニー』オーディションは3回目で、今回、晴れてアニー役を獲得した。
会見では、はじめに日本テレビ放送網株式会社 取締役 執行役員の澤 桂一氏が登壇。
「日本テレビ主催でのミュージカル『アニー』は今年で39年目を迎えます。昨年、この場で"とにかく長く続けているということは、本当に価値のあることだ"と申し上げましたが、今年もその思いは全く変わっておりません。
昨今ではアニー役を経験した方が大活躍されています。ディズニー映画(『リトル・マーメイド』)日本語吹き替え版の主人公(アリエル役)を務めたり(2008年アニー役:豊原江理佳)、ブロードウェイミュージカル『ピーター・パン』の主演(2019年アニー役:山﨑玲奈 ※﨑は「たつさき」)等、その姿を見るのは本当に嬉しい限りです。また、1992年にアニーを務めた方(河野由佳)がお母さんになって、その娘さん(設楽乃愛)が今回、孤児(チーム・バケツ ペパー役)として『アニー』の舞台に立たれるということで、ミュージカル『アニー』が親子の絆としても確実に浸透し、世代を超えて認められるコンテンツになっていると改めて思っています。
今年のアニー役は、後ほど紹介します岡田悠李さん、絢田祐生さん。そして孤児役とダンスキッズも決定しています。子どもたちを支える大人キャストは、今年新たに須藤理彩さん、それから天翔 愛さんに加わっていただきます。ハニガン役に関しては、4度マルシアさんに務めていただき、独自の世界観を作っていただきました。須藤さんに変わってどういうハニガンを演じていただけるか、注目しています。そして継続していただく方々、特に"ミスター・ウォーバックス"といっても過言ではない藤本隆宏さん、さらに笠松はるさん、財木琢磨さんには、今回も引き続きお世話になります。そして演出は、山田和也さんが7回目で、すでにベテランの域です。今回もまた新しい『アニー』を見せてくれると思うと、4月の開幕が待ちきれません。最後になりますが、このミュージカル『アニー』を長年ご協賛いただいている、丸美屋食品工業様。このあと阿部社長にもご登壇いただきますが、協賛いただいているだけではなく、本当に心から『アニー』を愛して応援してくださっています。改めて熱く御礼申し上げます」と挨拶を述べた。
澤 桂一 日本テレビ放送網株式会社 取締役 執行役員
続いて、丸美屋食品工業株式会社の阿部豊太郎 代表取締役社長が登壇。丸美屋食品は2003年よりミュージカル『アニー』に協賛し、今年で企業協賛22年目となる。
「今年も企業協賛させていただくことになりました。裏方として楽しい舞台ができあがるよう全力でサポートしていきたいと思います。新型コロナウイルス感染症が少し落ち着き、オーディションの方法も平時に戻りました。元気よく才能あふれる子役たちが、舞台の上で踊って歌って躍動する、これが『アニー』の見どころのひとつだと思いますので、4月からの公演を楽しみにお待ちいただければと思います。今、世界のあちこちで戦争や紛争があり、日本国内でも地震があるなどで、大勢の人たちの顔から笑顔が消えているのではないかと思います。逆境にめげず明るく元気に生きるアニー、このストーリーを通して、間接的ですが、元気と笑顔が届いたら大変嬉しく思います。我々は裏方として、元気が出る製品を差し入れさせていただき、楽しい舞台を創っていただければと思います」と、『アニー』愛とともに、公演を胃袋から支援する意向を示した。
阿部豊太郎 丸美屋食品工業株式会社 代表取締役社長
阿部社長の言葉を聞きながら、飾られている丸美屋製品を見てうなずく司会の中島芽生アナウンサーが印象的だった。
製作発表会場の一角に飾られた、おなじみの丸美屋食品コーナー
いよいよ出演者たちの登場だ。まずは大人キャスト、ウォーバックス役の藤本隆宏、ハニガン役の須藤理彩、グレース役の笠松はる、ルースター役の財木琢磨、リリー役の天翔 愛が、それぞれ舞台衣裳をまとって現れる。次は、主人公アニー役2名(Wキャスト)の登場だ。「『アニー』に出演する子どもたちは、毎年一般公募されています。10月のオーディションで、歌、ダンス、演技、表現の審査を勝ち抜きました!」と司会者の紹介で、<チーム・バケツ>アニー役の岡田悠李と、<チーム・モップ>アニー役の絢田祐生の名が告げられると、それぞれ「ハイ!!」と元気に登場した。その後、演出の山田和也も登壇し、合計8名が製作会見に臨んだ。
(前列左から)岡田悠李、絢田祐生、(後列左から)天翔 愛、笠松はる、藤本隆宏、須藤理彩、財木琢磨、山田和也

■メインビジュアル、解禁
まずはメインビジュアルが初のお披露目となる。
今年のメインビジュアル
スクリーンに大きく映し出されると、アニー役の2人が腕を振りながら「キャー!」「ハハハ!」と、興奮がおさえられない様子。メインビジュアルの感想を聞かれた岡田は、「写真を撮っていたときは白のバック(背景)だったので、どういう画面になるかわからなかったけど、今見たらすごい豪華で、大人キャストさんの写真も入ってたのですごくビックリしたし、すごく嬉しい」。絢田は、「綺麗で可愛くて、ビックリしすぎて泣きそう。それに今年はサンディー(犬)がいる。前(のビジュアル)まではあまりサンディーがいなかったんです。ワンちゃんと一緒に写れたからすごく嬉しいです」。司会者も、「そうなんです。数年ぶりにサンディーが(ビジュアルに)復活したということで、さすが、詳しいですね」と、アニー博士ぶりに感心しきりだった。
大富豪ウォーバックス役の藤本は、「我々も完成版を見るのはこれが初めてです。すごく楽しそうで、アニーが初めてウォーバックス邸に来た時の笑顔に見えるし、グリーンと赤のコントラストが、(『アニー』の舞台である)クリスマスをイメージしていて、すごく素敵だと思います」。孤児院の院長ハニガン役の須藤も、「皆笑顔で、(悪役の)私まで仲間に入れてもらえる感じ」と微笑むが、周囲から「(孤児院の院長ハニガンの弟)ルースター(財木)だけ、ちょっと不機嫌」「やらかしそうな顔してます」という声が飛び交い、ハニガン姉弟のコントラストが際立つ形に。司会者が、「素敵です。これを見るだけで今からワクワクしてしまいます」とまとめ、キャストの紹介コーナーに移った。

■大人キャストの意気込み
大富豪ウォーバックス役を演じる藤本隆宏は、演出が山田和也に変わった2017年から2021年、そして2023年も同役を務めた。2年連続、6度目の出演で"ミスター・ウォーバックス"とも呼ばれる藤本は、共演者たちとのつながりを述べる。まずは初共演となるアニー2人(岡田悠李、絢田祐生)、須藤理彩、天翔 愛とのエピソードから語った。
アニー2人について、「昨年のクリスマスコンサートに会っているんです。その時は泣きそうな顔で、すごく緊張していたけれど、今日はすごく元気だね。アニー2人は、(岡田はミュージカル『ジェーン・エア』、絢田はミュージカル『レ・ミゼラブル』等)すごくキャリアがあるんです。舞台の怖さも知っていると思うので、交流しながら芝居ができると思っています。よろしくお願いします」。その言葉にアニー2人も「お願いします!」と元気に返した。
須藤とのつながりは、「実は去年ドラマで共演をしていまして、その後、須藤さんがハニガン役をやると知り、僕はもうピッタリだなと思って。というのは、須藤さんの役が犯罪の濡れ衣を着せられる役だったんです」。須藤も、「藤本さんが私に冤罪をかけて、私は獄中死するという悲惨な役でした」と当時を振り返る。藤本は続けて、「その時、マスコミが須藤さんが住んでいるアパートに来て写真を撮って、(犯罪を)やったのか問い詰めると、須藤さんが炭酸が入ったペットボトルを振って、記者たちにぶっかけるシーンがあり、それを見て"ハニガンがピッタリだな!"と思いました」と、須藤の意外な"ハニガンらしさ"を明らかにした。また、「撮影時の控え室では、お互い子どもが主役のミュージカルをやる(藤本は『アニー』、須藤は『ピーター・パン』)という話で盛り上がっていたので、その1年後にこんなご縁があるとは。ミュージカルが大好きだとおっしゃっていたので、どんなハニガンが見られるのかと楽しみにしています」
そして天翔については、「弟である(藤岡)真威人くんとは先日までずっと共演していて、"姉がミュージカル大好きなんです。『アニー』が大好きなんです"という話を聞いていたので、まさか共演するとは」と述べると、天翔も、「私も、去年『アニー』を実際に劇場でお客さんとして観劇していたので、本当にこの作品に参加できることが楽しみです」と嬉しさをにじませた。藤本はこれまで『アニー』で共演した笠松、財木にも触れ、「笠松さんは劇団四季出身ですし、ミュージカル畑の方と思いがちですが、芝居が素晴らしいんです」と讃え、「財木くんとは、同じ福岡県出身ということで仲良くなりました」と述べると、財木は「めちゃくちゃ仲良いですよ!」と、ちょっとルースターっぽい声色で答え、場を盛り上げた。
藤本隆宏(ウォーバックス役)
孤児院の院長ハニガン役の須藤理彩は、ミュージカル『アニー』初出演。舞台では初となる悪役を演じることについて、「私は去年初めて本格的なミュージカル(『ピーター・パン』)に挑戦し、今回2回目で、多くの方が知っている名作『アニー』に出演できるとは、まだ夢を見ているような感覚です。演出の山田先生は、"とにかくハニガンはアニーを含め、子どもたちにとって、とても怖い存在であってほしい"と力強く言われました。なので、"普段は優しいお母さんみたいな役が多いんですが、家ではハニガンですよ"とお話しました」とユーモアを交えて述べ、「厳しく怖いだけじゃない、強さの裏に弱さがあったり、色気があったり、可愛らしい部分があったり、いろんな表情が見られる女性でもあると思うので、表現豊かに一所懸命に頑張っていきたい」と、役柄を多角的にとらえたコメントで、独自のハニガン像を語った。
須藤理彩(ハニガン役)
ウォーバックスの秘書グレース役を演じる笠松はるは、2021年から2023年にわたって同役を演じている。4年目となる今回について、「『アニー』という作品は私の人生においてとても大切なものになっている、と感じています。グレースは最初、真面目で固い印象のある女性です。ですが物語が進んでいくにつれ、アニーと触れ合って、心がどんどんほどけてきて、いい意味で型から少しずつはみ出していって、人間に余白が出てくるようなところがグレースの魅力だと思っているので、そこを大切にしたいなと思っています。また、グレースの初めての登場はアニーとハニガンさんとの3人のシーンです。今年初めて共演させていただくお三方からたくさんのものをいただき、グレースのスタート地点がまた大きく変わってくるのでは、と、私自身とても楽しみにしています」と、人と人との触れ合いで変化していくグレースらしいコメントを述べた。
笠松はる(グレース役)
ハニガンの弟ルースター役を演じる財木琢磨は、2022年・2023年にも同役を演じた。「3年目ですが、やはり緊張します。とにかくまた新しくルースターを作り上げる、1年目のような気持ちで、子どもたちに負けないようにフレッシュに頑張ります!」と、前列に座るアニー2人にペコペコと挨拶し、コミカルにフレッシュさをアピールした。
財木琢磨(ルースター役)
ルースターの恋人であり、アニーたちをだますリリー役の天翔 愛は、ミュージカル『アニー』初出演である。「世界中で愛されている世界の名作『アニー』という作品に出演させていただけること、本当に嬉しく光栄に感じております。リリーという役はアニーに対して少し"たくらみ"を持つ役で、私にとっては今まで演じたことのないタイプの役ですが、演出の山田先生は"アニーが生きる時代(1933年・大恐慌時代)を必死に生き抜いた強い女性でもある"と。そうした部分を含め、私が初めて『アニー』という作品を観た時の感動をそのままお客様にお届けできる、新生リリーとして頑張りたい」と、困難な時代をなんとしても生き抜くたくましさをのぞかせた。
天翔 愛(リリー役)

■今年はどんなアニーに出会える?
さて、いよいよアニーの出番だ。高らかに名前を述べて自己紹介する2人は元気いっぱいで、お腹から大きな声が出ている。司会者も、「元気いっぱいのご挨拶で、こちらも元気をいただきました」と微笑む。アニー役に選ばれたことについて、岡田は、「まさか自分が選ばれるとは思っていなくて、呼ばれた瞬間はただただすごく嬉しかったし、すごくビックリしました。最初は自分がアニーになったとは感じていなかったんですが、ニュースやSNSで合格発表を見てくれた周りの方々が応援してくださったので、どんどん"本当にアニーになったんだ"って思いました。宣伝写真を撮る時も、今まで家で着けていたコスプレのカツラと衣裳じゃなくて、本物をかぶれたり、着れたりしたので、とっても嬉しい気持ち」と答えると、「じゃあ、今日も本物を着てとても嬉しい気持ちですね」と、司会者が優しく相槌を打つ。
チーム・バケツ アニー役の岡田悠李(おかだ ゆり)
絢田は、「私は3回受けていて、2回目は最終で落ちてしまった。その時は悲しくて泣き止まなくて、近くの公園で友達と励まし合って、何とか泣き止んで帰ったのですが、3回目の今年も最後の最後まで呼ばれなかったので、また公園コースかと思ったんです。でも呼ばれたので、まさかのハッピーコースで、とても嬉しかったです」と述べると、「ハッピーコースで良かったですね」と、司会者も笑顔で共感を示した。
チーム・モップ アニー役の絢田祐生(あやた ゆうき)
どんなアニーを目指しているか問われると、岡田は、「実はまだ、どんなアニーになるかを真剣に考えている途中なんですが、なかなかパーフェクトな答えにたどり着けなくて、でも、公演が始まる前には、私らしくポジティブで明るく、自分に合っているアニーを演じられるように頑張ります」。
絢田は、「『アニー』を観てくれたお客様の心も体もハッピーに包まれて、そのお客様のお友達やご家族の方もハッピーに包まれて、ハッピーが広がっていくようなアニーになりたいです」。2人がどんなアニーを見せてくれるのか、ますます楽しみになってくる。
来年(2025年)は日本テレビがミュージカル『アニー』を主催して40周年となる。その前年となる今年について、演出の山田は、「ご承知のように、(日本テレビ主催の)『アニー』は1986年から脈々と上演され続けてきました。僕が演出を担当したのは2017年ですが、その前に、既に30年を超える歴史を持ったミュージカルです。今年が39年目で来年が40周年、その間、毎年のようにこの作品を待ちかねてくださっているお客様がいるからこそ、この作品が続いてきている。今年の『アニー』を楽しみにしてくださるお客様に、最高のアニーをお届けしたい。お客様に感謝し、ここにいる才能あふれる皆さんのお力を借りて、最高の『アニー』を今年もご用意いたします」。長い年月にわたって上演され続ける『アニー』は観客に支えられている、という視点に、アニー2人も山田のほうを向いて拍手をおくった。
山田和也(演出)
記者からの質問で、今年のアニーに期待するものを問われた山田は、「アニーって実はお行儀のいい子ではない。ずる賢い、抜け目ない、平気で嘘をつく。それでも生き抜いていく。なぜ生き抜いていくかというと、お父さんとお母さんに会いたいからですよね。そういう、"お行儀が良くなりすぎないアニー"でいてくれたらいいなと思っています」とアニー2人に語りかけた後、大人キャストのほうを振り向き「みんなもお行儀良くなりすぎちゃダメだよ!」とハッパをかけた。
来週の2月14日がバレンタインということで、『アニー』の舞台であるアメリカでは男性からチョコレートを渡すのが主流だとのこと。藤本・財木・山田は誰に渡したいか問われると、藤本は、「隣(須藤)からすごい圧がかかってくるのですが(苦笑)、私はグレースさんです」とキッパリ。財木は、「やはり彼女のリリーに渡して……(須藤からの圧を感じて)どうしよう、姉(ハニガン)に怒られると怖いので、姉にも渡すのが正解かな」と震える。山田は、「もちろんアニーの2人です。間違いありません」と胸を張った。
自分とアニーとの共通点を問われたアニー2人。岡田は、「いくら辛くて悲しくても、生きる強い力が2人ともある」と、Wキャストの絢田のことも交えて答える。絢田は、「私はポジティブなところがアニーと似ていると思います。友達にも言われるし、自分でもいつでもポジティブに生きたいって思うからです。悲しいことがあっても、一晩寝るか、おいしいものを食べるか、どっちかをするとすぐ元気になれます!」。この絢田の口調が本当にポジティブで、登壇者も会場も、大きな笑いに包まれた。
どのような子ども時代を過ごしたか問われた大人キャストたち。天翔は、「学校の勉強より友達に会いに行くことがすごく楽しくて、修学旅行とか学校行事が大好きな、元気な子どもでした」。笠松は、「パンの白いところがすごく好きな、食い意地の張った子どもでした。食パン一斤の、真ん中の白いところだけ食べたくて、真ん中をちょっとずつこっそり食べていたらトンネルができちゃって。怒られると思ってひっくり返しておいたら、食べようとした父が"うわーっ!"て叫んで、結局叱られました」。藤本は、「すごくシャイな子どもでした。人前に出るのが絶対ダメで、でもそれを直さなきゃ……と体育委員長をやって、朝礼の時に(前に出て)体操をして。今でもちょっと人前に出るのは苦手で、なんでこの仕事をやっているんだと思うんですが、でも気持ちよかったりもするので、そういう子どもの時の経験があるのかなと思っています」。須藤は、「私は物心つく前からすごく足が速くて(高校時代、陸上インターハイ全国ベスト16)、とてもおてんばで活発な子どもでした。一方で人見知りがあり、七五三の時に着飾ったら近所の方に、"わー、可愛いね"って言われたその瞬間、見られている恥ずかしさで泣き出してしまいました。子どもの頃は私も藤本さんと同様に、今なぜ人前に立つ仕事でいられるのだろう、という状態でした」。財木は、アニーの舞台上の年齢(11歳)頃のエピソードとして、「小学校の5~6年生ぐらいの頃は、ドッジボールを毎日していました。骨折をしたのに気づかず一週間やっていたぐらい。骨折をすると毎日病院でギプスと包帯を巻くんですが、ドッジボールはしているので、包帯に砂ぼこりの汚れが毎日ついて、怒られてましたね」。
すると藤本が、「山田さんにも聞きたいんですが、ニックネームが"タラちゃん"ですよね?なんでタラちゃんなのか、それをちょっと聞きたくて」と問いかけると、山田は、「タラちゃんっていうのは、大学を卒業して今の会社(東宝)に入った時、当時の上司だった人が、御園座の頭取部屋で、日曜日だったので『サザエさん』を見ていて、その時『お前、タラちゃんそっくりだな』って言われて……定着しないだろうと思っていたら定着しちゃいました! 子どもの頃は僕も引っ込み思案でしたッ!」と、意外なエピソードが語られ、会見は終了した。その後、フォトセッションの時間となり、山田はしれっと記者席へ移動。アニー2人に、「ピースしてくださ~い」とお茶目にカメラを向け、思い通りの写真を撮ってご満悦の様子。製作会見前日は都内にも雪が降り、積雪の残る中の会見だったが、ユーモアいっぱいの場内は、終始あたたかく楽しい空気に包まれていた。
演出・山田との3ショットで、おなじみのポーズを決める、岡田悠李、絢田祐生
丸美屋食品ミュージカル『アニー』は、2024年4月20日(土)~5月7日(火)、東京・新国立劇場 中劇場にて計27回上演予定。夏には呉・大阪・仙台・名古屋公演も予定されている。前売りは2024年2月10日(土)午前10時より、全席指定9,500円。4月23日(火)12時チーム・バケツ公演、4月24日(水)12時チーム・モップ公演 / 16時30分チーム・バケツ公演、4月25日(木)12時チーム・モップ公演の計4公演は、「スマイルDAY」特別料金で全席指定8,000円(通常より1,500円お得)となる。なお、ルーズベルト大統領(SPICEでの連載表記は、ローズベルト大統領)は ひのあらた、大人アンサンブルキャストは、天野翔太、鹿志村篤臣、後藤光葵、齋藤信吾、八百亮輔、矢部貴将、AYAKA、近藤萌音、三上莉衣菜、吉岡花絵に決まった。ちなみに吉岡花絵も2013年にアニー役を演じており、今回『アニー』の世界に戻って来るのも、長い上演歴史を持つ作品ならではの醍醐味だろう。
阿部豊太郎 丸美屋食品工業株式会社 代表取締役社長を囲む、『アニー』出演者たちと演出家
取材・文=ヨコウチ会長
写真撮影=安藤光夫(SPICE編集室) ※転載・転用禁止

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