ナナヲアカリ ライブで体感すると一
際ワクワクさせられる、キュートであ
り雄々しさも兼ね備えた歌声で魅了し
たツアーファイナル公演をレポート

NANAOAKARI 2023-2024 RPG TOUR

2024.1.20 Spotify O-EAST
2023年11月4日(土)、大阪・心斎橋BIGCAT公演を皮切りにスタートした『NANAOAKARI 2023-2024 RPG TOUR』。北京、上海、広州での公演を残しつつも、日本でのファイナルを飾ったのは1月20日(土)、東京・Spotify O-EASTでのライブ。チケットはソールドアウトとなり、1階フロアはもちろん、2階も満杯となった公演の模様をレポートする。
開演を告げるSEが流れるや否や、フロアから沸き起こった手拍子がものすごい。熱気をまざまざと肌で感じたに違いない“えんじぇるズ”のタイヘイ(黒田タイヘイ/Dr)、かとりーぬ(香取真人/Gt)、つよぽん(かのーつよし/Ba)、野良いぬ(VJ)に続いてナナヲアカリが登場すると、地鳴りのような歓声が上がった。そして1曲目に放たれたのは「パスポート」。躍動するビートを絶妙に乗りこなし、ドラマチックなメロディを完璧に歌う様は音源で聴いても素晴らしいが、ライブで体感すると一際ワクワクさせられる。続いて披露された「奇縁ロマンス」と「メルヘル小惑星」は、背景に浮かび上がる多彩な映像とサウンドがリンクする様が美しい。観客の全力のコールと大合唱も随所で加わり、会場内は早くもライブの佳境のような状況となっていた。
「外、寒かった? 雨も降ってた? ほんまにごめんって感じ(笑)。ここで温まってもらおうと思うんですけど、みんな、準備はできてますか?」――最初のMCを経て披露された「ヤンキーダンス」「忘れないでベイベー」「事象と空想」は、豊かな表現力をますます感じさせてくれた。キュートでありつつ雄々しさも兼ね備えている彼女の歌声は、耳を傾けていると深く引き込まれる。ステージから届けられる音を噛み締めながら胸を震わせている観客の波動が、周囲の空気を通じて伝わってくるような気がした。
ナナヲが白いエレキギターを弾きながら歌った「んなわけないけど」の後に迎えたMCタイム。「前回のO-EASTの時に左ひざを強打して……。今日はあまりお立ち台に立たないでおこうかな(笑)。2月21日に4年ぶりのEPの『DOPING!!!!!!』を発売します。結構マインドが変わってきていて。“自分のことで精一杯です”という感じだったのが、最近は“全人類に幸せになって欲しい”“それぞれの幸せを手に入れてください”という歌を作ったり、ある不幸せな2人の物語を作ったり、すごく等身大というか。新しい自分の価値観を具現化できたEPになっているので、ぜひチェックしてください」。そして披露された「あなたじゃなくても」は、澤田 空海理とのコラボレーション。心が真の意味で通い合わないまま終わっていく恋が鮮やかに表現されていた。その次に歌った「Jewel」は、GeGがプロデュース。歌を通じて伝わってくる想いがとても温かかった。
「ハノ」も披露された後、ツアーで回った各地でご当地ソングを生み出してきた『ナナヲアカリとえんじぇるズのMake a songのコーナー』が始まった。「東京といえば?」と問いかけられて、観客から寄せられたのは“もんじゃ焼き”“スクランブル交差点”“地下鉄がダンジョン”。この3つを盛り込みつつ、えんじぇるズたちの演奏に合わせて歌った即興ソングは、「もんじゃ焼き食べるのむずくない?」「鰻屋さんの方が好きだったりする」など、彼女らしさを感じるフレーズが満載。ナナヲとえんじぇるズの絶妙なコンビネーションも示されたコーナーだった。
超学生とのコラボレーション「メルティックヘル」、GaLとのコラボレーション「FASHION」も大盛り上がりとなった。怒涛の展開を遂げるこの曲を完璧に歌えるナナヲはもちろん、えんじぇるズの演奏スキルも半端ではない。観客の気合いたっぷりのコールで彩られた「完全放棄宣言」。ダイナミックに響かせた歌声が人々の興奮をさらに高めた「ダダダダ天使」……エネルギッシュな曲が連発されたところで再び小休止。「EPの新曲制作と同時進行でツアーを回っていたんです。ツアーしながら新曲が増えていくことが予想されて、RPGの仲間が増えていく感じっぽいと思ったんです」と、ツアータイトルについて説明した後、彼女は想いを語った。「また会える時までちょっと期間が空いちゃうのかもしれないけど、みんな心も身体も健やかに生きて欲しい。ここ1、2年でそう思うようになって、ちょっと視野が広くなりました。自分に優しくしたら他人に優しくなれるから。自分に余裕がない時は、他人に優しくできないと自覚があるんです。だからなるべく自分に優しく。“自分に優しく”と“エゴ”を履き違えないように。自分に優しく幸せに生きていてください。そうしたらまためちゃくちゃ良いライブができるからね。楽しい幸せなライブで会いましょう!」――ファンを大切にする気持ちを感じたMCの直後に届けられた「チューリングラブ」は、サビの振り付けを完璧に踊る観客の一体感がものすごかった。
フロアから起こった歌声も熱かった「Higher’ s High」。猛烈な手拍子を誘っていた「オトナのピーターパン」で本編は締め括られたが、大歓声と手拍子に応えて行われたアンコール。えんじぇるズの4人がツアーグッズのTシャツを着ている中、ナナヲだけが『DOPING!!!!!!』の完全生産限定盤に封入されるTシャツを着ているのが目を引いた。「かわいい! 寺田てら大先生にジャケットを描いていただきました。通常盤のカラーリングもめっちゃ好き。実はナナヲアカリのグッズでてらちゃんのイラストは初なんです」――最新EPのアートワークがスクリーンで公開された後、アンコールで届けられたのは2曲。「ここぞとばかりに極限まで跳んでください!」という言葉が添えられた「NOBODY KNOWS PARTY」は、玉屋2060% (Wienners)とのコラボレーション。配信が始まるのが1月24日なのでこのライブの時点ではリリース前だったが、お馴染みの曲であるかのように《NOBODY KNOWS PARTY ALL NIGHT LONG》という大合唱が起こって驚かされた。そしてラストの「$ラリ無双」は、生き急ぐかのようなBPM、ドラマチックな展開、躍動するビートが一体となって炸裂。パワフルに歌うナナヲの姿が、まるで真っ赤に燃え上がるかのようだった。
こうしてエンディングを迎えた『NANAOAKARI 2023-2024 RPG TOUR』の東京公演。記念撮影をした後、ナナヲとえんじぇるズの4人が楽屋に戻ってからも、興奮状態の歓声が会場を熱く満たしていた。先ほども少し触れたが、ライブでのナナヲアカリは本当にかっこいい。音源やMVなどでもすごさはよくわかるはずだが、彼女の歌に惹かれている人にはライブ会場に足を運ぶことを強くお勧めしておきたい。ますます大好きになれるはずだ。
取材・文=田中大 撮影=このタイミングで秋山

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